引きこもりの私にプレゼント
娘からの退職祝い
病気で手術と治療をした後も体調が優れずについに退職することになった。
病気をしてからというもの歩ける範囲で散歩をするが、ほとんど家に引きこもることが多くなっていた。
1人で買い物に出かけ、出先で歩けなくなったことがあってからは家の中にいる方が安心だった。
そんな私に娘が「母娘で行く日帰り旅行」を退職祝いと言ってプレゼントしてくれた。
娘のプランだと新幹線に乗るという。気持ちは嬉しかったが、長距離を歩けるのか不安だった。
そこで夫に相談すると、「気晴らしも必要だよ。」と背中を押してくれた。
体調が心配で迷惑をかけることになるかもしれないと娘に話すと「ゆっくり歩けばいいよ。」と気遣ってくれた。
「いつ何が起こるか分からない」と病気になり身をもって経験したばかりなので、先延ばしにすることはやめにした。
不安はあるものの、娘のプレゼントをありがたくいただくことにした。
久しぶりの遠出に胸が高鳴った
新幹線に乗車したのは久しぶりだった。
前回は母を大学病院に連れていくために乗車した。「癌の疑い」で手術を受ける母を励ましながら大学病院まで送り届けた。
術後の検査で母は良性が確定し、母といっしょに胸を撫で下ろした。その時は、まさかその翌年に私が癌になるとは思ってもみなかった。
母が入院した当時はコロナ禍で行動制限があった。母を大学病院に送り届けた帰りに私が乗った車両には他に乗客がいなかった。
今思えば嘘のような光景だった。
今回は、たくさんの人が新幹線に乗車していた。ニュースで外国の方々が日本に訪れていると聞いていたが、実際に見るとその多さに驚いた。
私が病気を患い、その後家に引きこもっている間に世の中は大きく変わっていた。
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