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大型連休なんて、ない方がいいんじゃないかと。


ゴールデンウィークなんて、ない方がいいんじゃないか。



毎年この時期は、おなじような考えを浮かべながら、ソファーに沈む。

張り詰めていた緊張の糸が、ゆるんでほどけてしまったみたいだ。
いちどゆるむと、結び直すのに時間がかかる。


連休前まで保っていた気力が、ゴールデンウィーク中にじわじわと消費された。
そして、連休が明けてもまるで回復しない。

この、暑かったり寒かったりする気候のせいだろうか。
裏起毛のトレーナーを着た次の日、半袖シャツに腕を通しながら、「そりゃ体壊れるよ」と夫とぼやく。

晴れなのかとおもえば雨が降り、暑そうに見えて、風がある。
いまは、春なのか夏なのか。
はたまた冬を引きずっているのか。
「今って、春?」と長男にたずねられても、すんなり答えられない。もどかしい。


こんな調子で、リズムが乱れている。
わたしだけではなく、家族みんなで。


長男は、腹痛からはじまった。
5月のはじめに、1日だけ発熱。
そこから、食欲不振、うっすら咳、挙動もそわそわと落ち着かない。

思い返せば、昨年も同じ日に熱が出た。
どうやら彼は、5月4日に弱いらしい。

季節の変わり目に、じんましんが出たこともある。
長男もまた、気を張りつめていた4月を乗り越え、その反動が出ているのだろう。
おもに、5月4日に。


夫も、パサパサしはじめている。
夫は、一年の半分以上は顔色が悪いが、昨日、いつも身につけているスマートウォッチで、初めて「ボディバッテリー」が5%になったとうろたえていた。

「ボディバッテリー」が何なのか、わたしにはよく分からない。
でもたぶん、昔のポケモンでいうHPゲージのようなものなんだろう。
赤いピコンピコン状態の夫に、回復薬を与えられなくて、なんだか哀れだ。


次男も、風邪だ。
4月末から、変な咳をする。

夜中、「こいーん、こいーん!」という変な音で目を覚ますと、次男のおかしな咳だった。

病院で「どんな咳ですか?」と聞かれたので、「こいーん、こいーん!」と説明すると、看護師さんは真顔になった。
どうやら、伝わらなかったらしい。


あとで調べると、「オットセイみたいな咳、犬の吠えたような咳」というのがネットで出てきて、「それだ!」と手を打った。
オットセイ、そうだ、あれは紛れもなくオットセイだった。
幸い、病院ではそんなにひどくないと言ってもらったので、ひとまず薬を飲んで家に立て篭もる。

このオットセイのせいで、もともと控えていた次男の一大イベントが延期となり、高まっていたわたしの気持ちは折れた。




家族全員、こんな感じだ。
連休明けの家は、どんよりしている。

疲れすぎて、最低限の会話。
あきらめて、つけっぱなしになるテレビ。
のっそりとした、薄暗い電気。

よどんでる
空気がにごっている。


早く、早くリズムを戻したい。
だから、大型連休なんていらないのだ。

働いていただけの頃、仕事を休める連休は楽しみで仕方がなかった。
でも、いまは違う。
家族でリズムを乱し、体調を崩し、取り戻すまでに時間がかかる。

ゴールデンウィークは、壁だ。
乗り越えるべき、分厚い壁。

それでもやっぱり、ゴールデンウィークという言葉には、ワクワクする自分がいるんだけどね。



そんな調子で、noteを書く手も止まりぎみだ。
難しい本も読む気にならない。

ここ数日は、いまさら「現代短歌」の魅力に気がついたので、歌集を借りて眺めている。
ふふふ、と笑えるものが好きだ。


5月も真ん中になってくれば、リズムもすこしずつ取り戻せるだろうか。
その頃には、「梅雨が」とか「暑い」とか嘆いてそうだ。

とにかく、まずは寝て、野菜食べて。
晴れた日には、日差しと風を浴びながら。
体の声に、ぼんやりと耳を傾けたい。


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