音 アリス(Alice.O)
珈琲豆を挽き、一滴一滴のしずくがまるで瞑想のような世界。 豆を挽く。滴をためる。小さな波紋が広大な宇宙につながり、人間という私の体を駆け巡る。今日の豆はどこの世界から?
青春をこじらせて人生の時間を過ごしてしまったおばさん。 高校生や学生のカップルを見るとつい、後をつけてしまう衝動にかられる。勝手に妄想に耽る日々。
超短編。全5話 毒親・虐待サバイバーの半生記。
1人オーケストラ、1人交響楽団と言われた音楽の才能あふれる兄を亡くし姿を消した妹。
どこからともなく自身の中で響く声。声の主は誰なのか。 幼いころから、虫の知らせのようにヴィジョンで予知できた少女。 成長するにつれ、頭の奥底か隅から声まで聞こえるようになる。 少女はこの時代、どう生きていくのか。
退院後のある日主治医から 「突然お母さんから電話があったよ」 と言われた。 私が入院していることは言ってない。 私のパートナーから連絡がいったらしい。 パートナーは、一応「親」だから連絡をしたという。 しかし、先生の話を聞いて言葉がでなかった。 「私、母親です。娘はどうなんですか? どれくらい入院するんですか?重いんですか? 母親なんですから教えてください!」 それを主治医の口から聞き、私は唖然としてしまった。 しっかり日本の法律で「個人情報保護法」が 定められている時
「先生、私。本当に弱い人間なんですね。こういう病気になるって…」 遠くのどこかを見てため息交じりに 弱々しく吐いた。 すると、主治医はこう答えた。 「弱かったらここに来てないでしょう」 意外な答えだった。 この言葉は2院目の診療内科で言われたことだ。 あ、そうそう。 私の人生の中の23年で、 心療内科2院 精神科1院 ご厄介になっている。 「弱い人間なら、ここに来る前に死んでるよ。 よくここまで生きてこられました」 主治医はまっすにぐに私をみて言った。 私は言葉がでな
私はサバイバーだ。 がんサバイバーは聞いたことがあった。 がんの宣告から治療をし生存し続けている人々と理解していた。 それに加え、戦場から生き残った人間のことを指して言う言葉とも。 生存者である。 生き残りである。 つまり「死」がそこにあったということだ。 誰よりも近くに。 もっというなら、死んでもおかしくなかったが生き残った者と言った方がいいだろうか。 このサバイバーと私は同じ立ち位置になるらしい。 私の戦場は 虐待とDVという暴力の日常だった。 家から一歩出るとき
サバイバーとして生き残った理由の一つ。 それは、私に「聖域」と呼べる居場所があったからだろう。 「仏壇」だ 先祖代々とか檀家とかそういうものではない。 一応、両親は宗教団体に属していたが活動なるものはしていなかった。 強制されたわけでないが、幼い私には心落ち着く唯一の場所だった。 神社・仏閣ではなく、家にある仏壇の曼陀羅に惹かれた。 墨で書かれた大小の文字が躍っているように私には見えた。 そこだけ空気が違うのだ。 人類に救いを求めることはできなかった。 血のつながった親
父親は嫌いだ。 母親はもっと嫌いだ。 勝手に生んで、 勝手にこの世の中に「私」という人間を登場させた親に感謝などするはずもない。 こんなことをどこかで誰かが言っていた。 「親も完全じゃないから」 だれも「完全」を求めていない。 寄り添ってくれる人間を求めている。 それが、この世で親が子供にはたすべき役割だと思っている。 親が「友達」になるのもおかしい。 その名は、子供と共に成長した親が後々獲得する別名だ。 聞いた話。 両親ともにいるからいいじゃないか。 うちは父親が早く