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ネパールのカマイヤ(債務労働者)だった女性たち

カマイヤだった女性たちの村で仕事をして、語り合って心を通わせて、少しずつ彼女たちの事が分かってきたので、ここに記載します。


カマイヤについて分かったこと

ネパールの債務労働者にはいくつか種類があって、そのうちの一つがタルー族のカマイヤだ。

タルー族とは、タライ平野(ネパール南部に広がる平野)の原住民とされており、独自の文化や言語を持っている人たちだ。

僕はある財団で働いていて、カンチャンプール郡(ネパール極西部)の村で、カマイヤだった女性たちと一緒にリーフプレートを作っている。

村の女性たちは、始めはあまり話してくれなかったけど、村に通い始めて1年が経過した今、カマイヤだった頃の過去について、話してくれるようになった。

カマイヤだった女性たちの証言

17年前にネパール政府によって、債務労働は廃止されたから、カマイヤの影響を直接受けて育ってきたのは20代後半以降の女性たちだ。以下、彼女たちの話をまとめてみた。

●親が借金の返済をできなくなって、一家で貸主のカマイヤになった。

●借金の金利は60%の場合もあり、そもそも返済できない金利だったらしい。

●みんな兄弟姉妹は5人以上と多い。

●子供の頃から、ほぼ学校に行かずに、他の家で赤ちゃんの世話をしたり、小作農として働いたりしていた。

●そこで働いた報酬は、お金ではなく穀物だった。しかも、砕けた米が多かった。借金の貸主がきれいな米を手元に置いていた。報酬がお金になったのは最近のこと。

●女性たちは深夜2時に起きて、手作業でもみ殻を取っていた。だから1日中眠かった。

●自分の子供たち(20歳以下)は、自分たちのような苦労はしていない。昔より、だいぶ良くなっている。

もちろん、彼女たちのストーリーは一人一人違う。親が障がい者だった人、マオイストの女性戦闘員になった人もいる。

僕の目の前にいて、同時代に生きている人たちだけど、まるで大正生まれだった僕の祖母の昔話でも聞いているような、生きてきた世界が違い過ぎて現実味がわかないのが正直な感想だ。

それでも信じられないことは

カマイヤという制度も信じられないけど、もっと信じられないことは、借金の貸主も同じタルー族だったことだ(例外あり)。

ハリヤという債務労働者もネパールにいたんだけど、彼らはダリットだったから、上のカーストが宗教的にも穢れているとされたダリットを債務労働者にすることは、1000歩譲って、そういう事もあるかもしれない。

でも、同じ民族同士で、借金漬けにして債務労働者にして、子供たちの未来も奪って、一体何をしているんだ、同じ民族なら助け合えよと思う。

なぜ僕はカマイヤに関わるんだろう

僕がカマイヤとか社会的に弱い人にこだわるのか。

もちろん仕事ということもあるけど、小中学校の時に友達がいじめられていて、本当はかわいそうに思っていたけど、自分がいじめの対象になるのが怖くて、守ってあげられなかったことを後悔しているからだと思う。

あと、カマイヤを通じて、社会不正義というか、社会不条理に対して怒りを感じていることも理由の一つだ。

だから、カマイヤだった女性たちの村で、収入向上のプロジェクトを立ち上げて、一緒に働けるのは本当にありがたいこと。

資金提供して下さった方々、関わってくれる方々に感謝。

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