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精神疲労に関わる4つの仮説:脳の中に毒が貯まる?

精神疲労というのは、いわゆる一般に言われている脳疲労に当たるもので頭を長時間使い続けていることで、頭が十分に働かなくなる現象を指します。しかし脳科学的はどのようなメカニズムが関与していると考えられているのでしょうか。今回取り上げる論文は、精神疲労に関わる脳活動について詳しく調べたものになります。

精神的疲労状態の根底にある神経メカニズム:系統的レビューと活性化尤度推定メタアナリシス

Neural mechanisms underlying state mental fatigue: a systematic review and activation likelihood estimation meta-analysis

この研究では精神疲労と脳活動の関係について調べた研究データを取りまとめて総合的に解析しています。その結果以下のことがわかりました。

・精神疲労が進むと認知処理の中枢に当たるネットワークの活動が低下する。
・同時に精神疲労が進むと、ぼんやり感に関わるネットワークの活動が増加する。
・ぼんやり感に関わるネットワークの活動が強いほど、主観的な精神疲労が少ない。
・頭を使うことで脳の中に神経毒性のある物質(アミロイドβ)が蓄積され、それがぼんやり感を引き起こして、認知処理に関わる脳活動にブレーキをかけている。

ちなみに精神疲労に関わるメカニズムは以下の4つが現在仮説としてあるのですが、3つ目と4つ目の仮説が、今回の研究結果から妥当である可能性が高いのではないかと論じられています。

1.動機づけ制御理論:課題遂行における労力と報酬のアンバランスが精神疲労をもたらす
2.低負荷理論:単純で反復的な認知タスクにより退屈が生じ、それが精神疲労感やパフォーマンス低下を招く
3.資源消耗理論:認知資源の枯渇により、主観的疲労感と認知パフォーマンスが低下する
4.廃棄物処分仮説:神経毒性廃棄物の蓄積により認知制御ネットワークが抑制され、その結果疲労感やパフォーマンスの低下が生じる

Q:廃棄物処分仮説のことを知りたい。
明日読む論文:
The Controllosphere: The Neural Origin of Cognitive Effort
コントロールスフィア: 認知努力の神経起源

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