脳科学リサーチ【オフィスワンダリングマインド】

オフィスワンダリングマインド代表。脳科学・心理学に関するコンサルティング業務を行う傍ら…

脳科学リサーチ【オフィスワンダリングマインド】

オフィスワンダリングマインド代表。脳科学・心理学に関するコンサルティング業務を行う傍ら、大学院で脳科学の研究をしています。趣味は人間観察と考えること全般。執筆依頼はオフィスワンダリングマインド:https://what-is-man.me

最近の記事

恋愛ホルモンで愛と性行動がどう変わるのか?

人は恋に落ちると心持ちや行動パターンが変わってきますが、これには一体何が影響しているのでしょうか。今回取り上げる論文は恋愛に関する神経生理学の知見についてまとめた論文になります。 Neuroanatomy and neurochemistry of sexual desire, pleasure, love and orgasm 性的欲求、快楽、愛、オーガズムの神経解剖学と神経化学 この論文では愛と性に関わる様々な神経生理学的知見が述べられています。愛と性に関わるホルモン

    • アロプレグナロンが愛と性欲に与える影響

      人間の体には様々なホルモンがありますが、近年注目されているものにアロプレグナロンがあります。 これは性ホルモンであるプロゲステロンをもとに作られるホルモンですが、今回取り上げる論文は、このアロプレグナロンが愛と性欲を始めとする社会性に与える影響について論じたものです。 社会的、認知的、感情的、身体的機能に対する神経ステロイドの効果とメカニズム Neurosteroids' effects and mechanisms for social, cognitive, emot

      • βエンドルフィンと愛の関係とは?

        ラブホルモンといえばオキシトシンが有名ですが、近年注目されているホルモンにβエンドルフィンというものがあります。果たしてこのβエンドルフィンは愛に対してどのような効果があるのでしょうか。今回取り上げる論文は、βエンドルフィンと愛の関係について論じたものです。 Endorphins, oxytocin, sexuality and romantic relationships: an understudied area エンドルフィン、オキシトシン、セクシュアリティ、恋愛関係

        • オキシトシンは本当にラブホルモンなのか?

          私達の身体には様々なホルモンがあり、心身両面の機能を支えています。その中の一つに女性ホルモンの一種であるオキシトシンがあります。オキシトシンは通常出産前後に分泌が増加し、女性の母性を育むことから愛のホルモンとも呼ばれます。また母子関係だけでなく男女の絆や社会的つながりにも関わるとされいます。今回取り上げる論文は、このオキシトシンと愛の関わりについて深く調べたものになります。 オキシトシンと愛:神話、隠喩、そして謎 Oxytocin and love: Myths, meta

        恋愛ホルモンで愛と性行動がどう変わるのか?

          ラポール構築のためのコミュニケーション方法とは?

          ラポールというのは相手との信頼関係のことですが、これを築くにはどのような方法があるのでしょうか。今回取り上げる論文は、語学教師が用いている方略について調べたものになります。 Communicative Styles, Rapport, and Student Engagement: An Online Peer Mentoring Scheme コミュニケーションスタイル、信頼関係、学生の関与 この研究ではオンライン語学教師の発話内容と生徒の反応を分析し、教師がどのような

          ラポール構築のためのコミュニケーション方法とは?

          対面交渉はラポールを高める?

          お金を巡って交渉するにはタフさが求められますが、交渉をスムーズに運ぶには一体何が大事になるのでしょうか。今回取り上げる論文は対面での交渉がラポールと交渉にどのような影響を与えるかについて調べたものになります。 紛争解決における親密さ: 動機が複雑な紛争において、対面での接触がどのように相互協力を促進するかを説明する Rapport in conflict resolution: Accounting for how face-to-face contact fosters

          なぜ私達は同調するのか?

          ラポールを取るためには同調行動が大事と言われています。同じタイミングで頷いたり、同じように足を組んだりなどすることで心と心が繋がりやすくなるというのです。このようなことを意識的にすることもありますが、気心がしれていれば自然と体の動きが同調することもあります。しかし、脳科学的にはこの現象はどのように説明できるのでしょうか。今回取り上げる論文は、この同調行動を予測符号化と自由エネルギー原理と呼ばれる理論を用いて説明したものになります。 なぜ私たちは他人と同調してしまうのでしょう

          あなたは良い上司?上司のためのラポール管理尺度

          働く上で上司と部下の関係性は切っても切り離せないものですが、これはどのようにして評価できるのでしょうか。今回取り上げる論文は、上司のラポールマネジメントの評価方法について検証したものになります。 Development and validation of a measure of leader rapport management: the LRM scale リーダーの信頼 関係管理の尺度の開発と検証: LRMスケール 社会言語学分野にポライトネス理論というものがありま

          あなたは良い上司?上司のためのラポール管理尺度

          顧客とのラポールは顧客行動を変えるか?

          ラポールというのは互いの信頼関係を意味します。信頼関係があるところではコミュニケーションもスムーズにいきますし、営業でも契約に繋がりやすくなるのはイメージできるかと思います。 今回取り上げる論文は、顧客とのラポールが顧客行動にどのような影響を及ぼすかについて調べたものになります。 Customer-employee rapport in service relationships サービス関係における顧客と従業員の信頼関係 実験では銀行と歯科クリニックの従業員と顧客を対

          顧客とのラポールは顧客行動を変えるか?

          パーフェクト・デイズ

          ヴィム・ベンダース監督、役所広司主演の「パーフェクト・デイズ」を見る。あまりに作品の素晴らしさに、はからずもパンフレットを購入。俗世の欲を離れた美しい世界。しみじみしながら自宅で読む。パンフレットの最後にこの映画をプロデュースしたのが電◯とユニ◯ロの関係者だと知り、シュンとする。 乙女だと思っていた相手がゴリゴリのプロだったような、清い恋だと思っていたのが、単にタカられていたことに気づいたオジのようなそんな感じでもある。思い返してみれば、作品は素朴な生を謳っているが、同時に

          生徒と教員のラポール評価方法

          生徒が勉強を頑張ってくれるには、先生と良い関係性を持っていることが大事だと思うのですが、これはどのようにして測ることが出来るのでしょうか。今回取り上げる論文は、先生と生徒のラポールと学業成績の関係性について調べたものです。 Instructor–Student and Student–Student Rapport in the Classroom 教室における講師と生徒、および生徒と生徒の関係 この研究では、大学の教員と学生を対象に自己報告式のラポール評価尺度を使って調

          ことばの使い方でラポールが決まる?

          ラポールとは相手との信頼関係のことを意味しますが、これにはいったいどのようなことが大きく影響するのでしょうか。今回取り上げる論文は、ラポール構築における言葉の重要性について検証したものになります。 交渉における信頼関係: 口頭チャネルの貢献 Rapport in negotiation: The contribution of the verbal channel この研究では大学生のペアを対象に、相手の顔が見えないように衝立を立てた状態で模擬面接を行わせ、どの程度ラポー

          取り調べにおけるラポール評価尺度とは?

          昭和の刑事ドラマでは容疑者にカツ丼を食べさせラポールを取るような場面がありましたが、実際操作におけるラポールはどのように評価できるのでしょうか。 今回取り上げる論文は、取り調べにおけるラポール評価を作成・検討したものです。 The Development Of The Rapport Scales For Investigative Interviews And Interrogations, Observer Version (RS3i-O) Interviews An

          取り調べにおけるラポール評価尺度とは?

          ラポールとはどのように定義できるのか?

          ラポールというのは単に信頼性を構築するという意味だと思っていたのですが、実はその定義は定まっていないところがあるようです。 ラポールの定義が難しいと思われる理由と、その課題に対して何をすべきか Why Rapport Seems Challenging to Define and What to do About the Challenge この論文によると、ラポールは文献により定義が様々であることが紹介されいます。以下に具体的なものを示します。 "調和的、共感的、ある

          ラポールとはどのように定義できるのか?

          ラポールテクニックはほどほどが良い?

          相手と信頼関係を気づくことは仕事を進めるうえで大事になってきますが、これにはいくつかのテクニックがあることが知られています。一つは相手の言葉を繰り返すなどの言語的なもので、もう一つは相手の動きを真似すると言った非言語的なものなどです。しかし、これらの方法は実際のところ、ラポール構築にどれほど効果があるのでしょうか。 今回取り上げる論文は、それぞれのテクニックの効果について具体的に調べたものになります。 言葉による信頼関係と非言語的な信頼関係の有効性を比較した実験室研究-面

          ラポールテクニックはほどほどが良い?

          性格別に見たラポールの取りやすさとは?

          仕事にしてもプライベートにしても、一番大事なのは信頼関係です。この信頼関係は心理学用語でラポールと呼ばれています。 このラポールはフランス語で「橋を架ける」という意味になりますが、ラポールを取る上で性格傾向はどのように影響するのでしょうか。今回取り上げる論文は、性格別の組み合わせでラポールがどう変わってくるかについて調べたものです。 初期の二者関係における行動と認識のビッグ 5予測因子: 性格の類似性は、外向的と内向的には役立ちますが、「不快な人」には害を与えます。 Bi

          性格別に見たラポールの取りやすさとは?