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半カオスって何?

Life is not on the edge of chaos but in a half-chaos of not fully random systems. Definition and simulations of the half-chaos in complex networks
人生はカオスの端にあるのではなく、完全にランダムではないシステムの半カオスの中にある。複雑ネットワークにおけるハーフカオスの定義とシミュレーション

数学ができれば、と思うことは多い。

現在、博士課程で脳波を使った研究をしているものの、当然数学的知識が求められる。

泥縄式にどうにかわかったようなふりをしてすすめていると、やはりここ一番という時に数学がわかんないのが仇になって立ち往生することも多い。

なんてことはない。

今回取り上げる論文は複雑系に関する研究で、数学がわかんないといけないのに、ちっともわからないままこの研究を紹介する怖さが先立っているのだ。

「生命とは何か?」という問いに対してはいろんな回答が成り立つとは思うけど、一つの回答として「秩序と混沌の間にあるものだ」というものがある。

ガチガチに硬直した状態ではなんのダイナミズムもないけれど、ダイナミズムしかない混沌とした世界では形あるものも生まれない。

ガチガチとバラバラの僅かな境目に、ガチガチになろうとしつつ、バラバラになろうとしている、そんな状態があり、そういった状態に「生命」が宿るんじゃないか、という話がある。

そういった状態は「カオスの縁」と呼ばれるらしいが、そここそが生命の宿る場所だろうと。

今回取り上げる論文は、数学的シミュレーションを通じて、生命は「カオスの縁」というよりも「半カオス」に宿るんじゃないかと論じたもの。

では「半カオス」とは何か?

この論文によると、あるシステムに小さな撹乱を与えると小さな変化が起こることもあれば、大きな変化も起こりうる状態だとしている。

これだけだと少しわかりにくいので補足すると、

混沌とした状態では小さな撹乱が大きな変化を引き起こすことがある。これはバタフライ効果と呼ばれるもので、カリブ海で蝶が羽ばたくと非線形的効果によってどこかでハリケーンが起こるというもの。

それに対して、完全に安定した世界ではカリブ海で蝶が羽ばたいても、それ相応の小さな変化しか起きない。

半カオスの状態では、小さな撹乱が小さな変化しか引き起こさないこともあれば、巨大な変化を引き起こすこともあり、こちらの状態のほうが生命の定義としてしっくりくるんではないかとの議論。

Q: 精神疾患ってそもそもなんなんだろう?サルとかでも統合失調症みたいなことは生じるんだろうか?

明日目を通す論文:
統合失調症の進化論: 皮質結合性、メタ表現、社会的脳
An evolutionary theory of schizophrenia: Cortical connectivity, metarepresentation, and the social brain


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