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公的支出は教育支援と住宅補助のどっちに回すのがいいのか?

認知された世代間の流動性と福祉状態の選好のマルチレベル分析
A multilevel analysis of perceived intergenerational mobility and welfare state preferences

政治というのは限られた資源をうまい具合に分配する作業なのだろうと思う(これは普通の企業の経営もそうなのかもしれない)。

最もわかりやすいのはお金をどこにどう振り分けるかという作業だが、社会保障に限ればこれは最適解というのはどのようなものになるのだろうか。

今回取り上げる論文は、社会的流動性と社会保障に関する選好性について調べたもの。

この研究ではヨーロッパの33カ国を対象に、自分の社会的地位がどれくらい上がったか(あるいは下がったか)という認識と、どのような社会保障が望ましいと思っているかの関係性について調べている。

結果を示すと、

・自分が親の世代よりも社会的地位が下がったと感じる人は住宅補助や年金により多くの公的補助を当てることを望む傾向がある。

・自分が親の世代よりも社会的地位が上がったと感じる人は教育への公的補助を望む傾向がある。

・その理由としては、社会的地位が下がった人は、自分の境遇を社会のせいと考える傾向があり、社会的地位が上がった人は才能と努力のせいだと考えているため。

とのこと。

・貧すれば鈍す、のようにお金に余裕がなくなると目先の利益にとらわれる傾向(遅延割引の増大)があるが、抑うつ状態ではこの傾向が強まるんだろうか。

明日目を通す論文:
ヨーロッパ系アメリカ人およびアフリカ系アメリカ人の大学生におけるうつ病、苦痛耐性、遅延割引、およびアルコール関連の問題との関連。
Associations between depression, distress tolerance, delay discounting, and alcohol-related problems in European American and African American college students.

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