見出し画像

心拍変動:LFまたはHFの絶対値とは?

私達の心臓はドキンドキンと脈打ちますが、実はこれは一定のリズムではありません。細かく見ていくとちょっと早くなったりちょっと遅くなったりというゆらぎがあります。心拍変動とはこのゆらぎの程度を見る指標になります。

そしてこのゆらぎはある程度あったほうが良いともされています。私達の体には心身の状態を興奮させる交感神経系や、その反対にリラックスさせる副交感神経系があります。交感神経系が強すぎるとゆらぎが減って、副交感神経系がしっかり働くとゆらぎが大きくなるからです。その意味で、ゆらぎが少ないというのは、交感神経系優位で気が張っていることを示します。気が張っているのも、たまにはいいですが、これが続くと体の負担が強くなってしまいます。

今回取り上げる論文は、心拍変動を分析する上で使われるLF(低周波成分)とHF(高周波成分)についての測り方について説明したものになります。

心拍数変動のパワースペクトル分析: 神経調節メカニズムを調査するツール
Power spectrum analysis of heart rate variability: a tool to explore neural regulatory mechanisms.

数学的は話になるのですが、波形を分析する方法にフーリエ変換というものがあります。高校数学をちょっと思い出してほしいのですが、波というのはいくつかの波の重ね合わせになります。例えばギザギザの短い波とゆったりとした長い波が合わさって、複雑な波が出来上がります。

フーリエ変換を使えば、その複雑な波を再分解して、どのような周波数の波がどの程度の強さがあるのかを知ることができます。

そうして求められた値はパワースペクトル密度(PSD)として以下の図のように示すことができます。


そしてこのPSDは面積として表すこともでき、また図にあるように、LF、またはHFのそれぞれの面積として表すこともできます。

これを絶対的な値(そのままの面積値)として表す方法もあれば、相対値(LFとHFの比率)として表すことも出来ることが、この論文で説明されています。

Q: 急性ストレスは心拍変動にどのような影響を与えるのだろうか?

明日読む論文:
健康な若年男性における急性ストレス要因としてのレジスタンストレーニング:心拍変動、α-アミラーゼおよびコルチゾール濃度との関連性
Resistance training as an acute stressor in healthy young men: associations with heart rate variability, alpha-amylase, and cortisol levels

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?