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実力以上の学校を受験する理由

秋ですね。

みなさん、いかがお過ごしですか?

わたしは「だって秋だもん」という、誰に宣言するでもない言い訳を自分に言い聞かせ、若干食欲が増し増しになってしまい、ややふっくらしております。

秋ですね。


さて、現在受け持っている高校受験生の皆さん、それぞれがこれまでに学習をした結果が、ちらほら見え始めております。

始めた当初「英語できないんです」って言ってたのに、授業を始めてみたら全然そんな事なく、「どうして英語できないって思いこんでるの?きっかけとかある?あなためっちゃ英語できると思うよ?」と伝えていた生徒さん。

前回の模試でついに偏差値60をマークできたとのことで、何よりです。志望校への合格率も90%以上との判定が出ているとのことで、本人としては、「では後は力を抜いて現状維持で勉強を」と考えているものの、お母様は現在志望校をランクアップさせるべく、学校探しを始めたとか。

さて、どうなりますかね。

同じく「英語どころかどの教科もできない」と言っていた生徒さん。確かに始めた当初から基本的な理解が足りていないご様子でした。志望校は決して高すぎず、現実的なラインの高校を希望しており、できないとは言え、このまま勉強を継続していたら平気じゃないかな?と思う周りの大人たち。

ところがどっこい、宿題はやらない、ノートは取らない、筆記用具はシャーペンのみ、テキストは答えを見ながらやっている、授業中に数十分姿をくらますなど、「このまま勉強を継続とは一体?」と思うほど、勉強の前の段階をどうしたら整えられるんだろうと、現在も私、右往左往しております。

現在志望校へ進学するのはほぼ不可能な状態でございまして、私にとっては心苦しい状況です。


さて、いろんな生徒さんがいる中、大変興味深いご家庭も。


生徒さんはやる気があり一生懸命勉強をし、実力よりもレベルの高い学校へ進学するべく、毎日受験勉強。ですが、残念ながら成績はもちろんのこと、内申点も足りていない状況です。

理由としては、生徒さんにとって魅力的な学校とは言え、かなりレベルが上の学校を目指した、ただそれだけです。

通常であれば、志望校のレベルを落とすことをおすすめします。現に学校の先生や別の塾の先生などからは、志望校の変更を勧められているとのこと。

しかしながら、お子さんのことを全力で応援したいタイプの保護者さんは「このまま勉強を継続したら大丈夫だと思うんです。先生からも本人にそう言ってやってください。」というご要望をお持ちでした。

かわいい我が子に、努力して成果を得る、つまり成功体験をさせたい、と。

なるほど。

これは、困りました。


例えば、A校(自分の実力より上)とB校(自分の実力と同じくらい、もしくは下)があったとします。

仮に私がかなり若返った(!)もしくはまだおりませんし予定もありませんが、我が子がいたとして。

その場合、私が選択するのはB校です。

すんごくすんごくすんごーく努力をしてA校に入学できたとします。その先はややしんどい学生生活が待っています。

一生懸命勉強しても赤点ギリギリ。同じクラスメイトよりも努力しているはずなのに平均点に届かない。受験勉強の時と同じくらい、もしくはそれ以上に勉強に時間を取られてしまい、思い描いていた学生生活が送れない。赤点が続くと、部活の参加を停止させられる学校さんもあります。

もちろんこの状況で、なにくそ、のし上がってやる(?)とハングリー精神に目覚め、飛躍する生徒さんもまれにいるかもしれません。しかし、ほとんどの生徒さんにとってこの状況を受け入れるのはむずかしく、激しくメンタルにきます。

そうであるならば、B校に行き、成績は上位グループ、部活や友人たちとの放課後もたのしむような学生生活を送る方が、心にとっては圧倒的に健全です。

B校であれば成績は3以上取れるでしょう。評定平均が高いのであれば、大学受験の時に一般受験だけではなく推薦も視野にいれることができます。もし海外に留学する機会があるのであれば、どの学校に通っていたかよりも、”評定平均”が大切になります。


だから、その自分の意見とは違うことを生徒さんに伝えるのは、はばかられます。

生徒さんの可能性をできる限り広げるのであれば、B校を推したい。

だがしかし、ここでむずかしいのは、生徒さんが「絶対にA校に行きたい」と思っている時です。


ここまで「B校だ!B校なんだ!」と言っていたのにお恥ずかしいんですが、生徒さんが望んでいるのなら「そうだよね!A校だよね!」と私は意見がころっと変わります。

それは、結果がどうであろうと、自分が望んだ道を進むべきだと思っているからです。

その先の道で何を見つけるのか、もしくは、これまで歩いた道を振り替えた時にどう思うのかは、生徒さん自身だから。

その邪魔をしたくない。

ええ、もちろん、生徒さんに伝えましょう。

「どんな結果が出ても受け入れられるくらい、夢中になって受験勉強をしましょう。私も一生懸命サポートします。」


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