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「うちの子、本当にできないんです」を信じていない

「うちの子、本当に英語ができなくって」

保護者の方がこんな風に言っちゃうのは珍しいケースなんかじゃない。めっちゃよくある。

お子さんの成績を心配するあまり、ポロっと口から飛び出しているのか、それとも、日本文化ならではな謙遜の精神がそうさせるのか。

教師だった時も、講師をしている今も、私の立場ではその言葉は使わない。

生徒に向かって「ホント英語できないね」みたいな言い方をする事は、今後もない。

ちなみに、生徒の心を傷つけるからとか、クレームになっちゃうからとか、そういう事が理由ではない。


できない状態ってなんだろう。

成績が悪い。

勉強しても成績が伸びない。

そもそも本人に勉強するやる気がない。

保護者の方とお話をすると出てくるのはこんな感じ。

それは、「できない」んではなく、ただ単に、正にその状態を示しているだけだと思う。


私が考えるに、できないと言うのは、「勉強してもできるようにならない」状態だと思う。

いくら勉強しても、努力をしても、1mmもわかるようにならない。

しかし、学校やその他の手段でもって、その教科の授業を受けている生徒の成績が悪い場合、それは、できないのではなく、知識が整理されていない、そして知識の使い方がわかっていないパターンがとても多い。


「うちの子本当に英語ができなくって」と言われていた生徒の授業をしながら、例えば問題を解いたとする。それで回答を間違えたとしよう。

その時にすることは、嫌味でもなんでもなく、言葉そのままの意味で、「どういう考え方をしたの?」と聞く事だ。

どう考えてその答えに至ったのか。

生徒のロジックが止まったところを把握しなければ、その生徒に必要な学習が見えてこない。

一つ一つ聞いていく。

どう考えたの?

ふむふむ、では、〇〇について知っている事を教えてくださいな?

なるほどなるほど、ではこういう場合、〇〇はどうなりますか?

こんな風に質問をするだけで、問題を間違えてしまった生徒が急に「あっ!」と声を出して、正しい回答へ直す事さえできる。

この状態は、生徒は知識を知っている、しかし使い方や考え方が適切ではなかっただけの事だ。

できない状態なんかでは、決してない。


確かに、知識そのものを理解していないケースもある。でもそれらは覚えてしまえば、あっという間に使うことができる。

そして、保護者の方はびっくりするかもしれないが、ほとんどの生徒さんたちは、こちらが2、3質問をするだけで、自分のチカラで正しい回答へ辿り着けることが多い。

そういう時に、思う。

お、やっぱりできたな。って。

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