未来話:遊ぶように働く時代の『この指止まれサイクル』
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO61319910Z00C20A7000000
日経新聞の記事に会った "遊ぶように働く" というキーワードから考えた記事です。
有料会員用だと思うので概要を記載します。
【紹介されていたこと】
・仕事はつらいもの、という価値観は旧来のもの
・遊ぶように働く、を重要とみなす企業が増えている
・それを「一部の話」に終えない工夫
・ゲーミフィケーションという工夫
(引用)
"ベンチャー企業の中には「遊ぶように働く」を重要なカルチャーとして取り入れ、オフィスに無料バーを備えたり、無料で利用できるスポーツジムなどの施策を提供したりして、環境づくりに力を入れているところも増えています。"
(引用)
"そのような中、「遊ぶように働く」を一部の企業における特殊事情としないために、どのような工夫ができるのか。その糸口となるのが「ゲーミフィケーション」です。
ゲーミフィケーションとは「ユーザーエクスペリエンスやユーザーエンゲージメントを向上させるために、ゲーム以外の文脈で運用されているシステムにビデオゲームの要素を取り入れる」ことを言います。かみ砕くと「楽しんで自ら進んで使いたくなる使用感」と言い換えることができます。"
※この場合のユーザー、は社員のこと
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【それを受けて考えたこと】
遊ぶように働く、という視点から考えた。
"遊び"には
「無邪気な意思/純粋な好奇心」があり、
「新しい発見」があり、
「ある種の無計画性」がある。
計画できて、かつつまらないことは、
ITその他によって代替/淘汰されてしまう時代に、
必要なことではないだろうか。
そこで、
そういった"遊ぶように働く"の1つの形として
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◆『この指とまれサイクル』◆
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とでも呼べるものを検討してみた。
・会社で行う業務の大部分をプロジェクト単位にして、随時手を挙げた人が取り組む、という形を突き詰めていったらどういう可能性があるのか、ということだ。
(イメージ)
「次の四半期の経理業務を、やりたい人募集~」
「事業改善のプロジェクトに参加したい人募集~」
※動きの速いベンチャー企業など、すでにこの感覚が当たり前になっているのかもしれないが、
1.一部ではなく、どの会社でも実現できる状態
2.小人数時の一部のフェーズではなく、仕組み化して継続していけること
3.個人の本当の才能発揮エリア、やりたいことを生かす
こういった点でさらに検討を進めて考えました。
【実現したい状況】
・社内外あらゆる人が、自主選択的に取り組んでいる。
×惰性 ×これしかできないから
〇やりたくてやってる
【必要な要素】
・個人の素質や意志の精度UP
※コーチングその他
×思いつきや憧れのみ
・流動性の高い採用や異動
〇経理(例)の潜在希望者を社内外で把握
・希望や意思を出しやすい環境/仕組み
・理念などをどう守り、それに合った人を採用するか
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上記の世界観を実現しているのがどういう状況なのか、ストーリー形式で書いてみました。
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★イメージストーリー★
<<遊ぶように働く時代に
~「この指とまれサイクル」が持つ可能性~>>
(とある中小企業の、そこそこの経理社員Aさんの話)
IT化、グローバル化、コロナ禍、様々な状況はもちろん多大に関わっているが、それはマクロの話であって、会社がつぶれない限りはあくまで一社員である自分にはそこまで関係のないことだ、時流の先端をゆく一部の企業で起きている変化だろう。
そんな戯言は一掃され、現実を考える恐ろしさからそう目を塞いでいた未来はあっという間にやってきた。
これは、"よくある日本の中小企業"にまで及んでいる時代の変化についての話だ。
『四半期ごとのプロジェクト参加者募集システム』
8月上旬、社内SNS上に人事からの投稿が頻発した。
「10月~12月期の経理プロジェクト参加者を募集します」
「10月~12月期のカスタマーサクセスプロジェクト参加者を募集します」
こういったやりとりが、次の四半期が見えてくる頃にいつも交わされる。
それは、すでに今経理を担当している私にとっても関係のないことではない。
『ゼロベースでのwant to面談
~前進する気がない社員は最大のリスク~』
半年に1回の直接の面談、月1回のオンライン上のアンケート入力がある。定例でとりあえずやっている事だから適当に答えておこう、などとみくびっていると痛い目に合う。
そこで問われるのは
"あなたは何に価値を見出し、これからより何をしていきたいですか?"というものだ。
"今までやっていたので..." はうちの会社においてほとんど通用しないと言っていい。
とりあえず得たポジションで何も考えず取り組んでいた人にとっては恐ろしく、何かしらの意味を見出していこうとする人にとってはチャンスでもある制度があるのだ。
それが、うちの会社が取り入れている
"オーディション制度"だ。
もはやこれはお飾りの制度ではなく、会社が本腰を入れて
取り組んでいる事だとはっきりとわかる。
企業は気づいてしまったのだ。
未来への意味を見出さず、失敗をしないように
"今まで通りのそれなり"を目指す社員を雇い続けることが、一番のリスクだと。
『オーディション制度』
あらゆる社員は、3つの関わり方を選ぶことができる。
1.STAY
2.IMPROVE
3.CHALLENGE
1つめの「STAY」はその名の通り、現状維持をしたいということだ。
ただし、同じことを同じ時間をかけてやっていると、むしろ評価は「後退」になるので注意が必要だ。
例えばIT化が進む中で、以前60分かかった作業は、今は45分で出来て同じ評価、などがあったりする。
2つめの「IMPROVE」は、"カイゼン"をしていくということだ。
私で言えば経理業務をより"ミスなく","速く","負担なく"していくことなどを掲げている。
例えば営業社員の交通費精算の手間を減らすべく、新しいサービスの導入を提案したり、といった具合だ。
3つめの「CHALLENGE」は新たな部署やプロジェクトへの挑戦だ。
Aタイプとしては、今の職種、つまり経理に関わってより新しい挑戦をすること(財務や、経理に関わる社内システム改善など)
Bタイプとしては、"カスタマーサクセス"に挑戦する、"部活動委員会"への参加で社内を活性化する、など完全に新たな取り組みなどがある。
もちろん中には今までの業務を続けながら出来ることもあれば、それ単体では給与に影響のない有志での活動もある。
『ポイント制と結果論的評価』
ただし、今月すぐの給与に反映されないと言っても、長期的にはかなり重要になってくる。
どれくらい新しい挑戦をしたか、言われるままではなく新たな価値を創ろうとしたのか、それらは可視化され、ポイントとなる。
もはや "形ばかりの定性評価"の時代は終わり、"定性の可能な限りの定量化"が実現されたのだ。
(前四半期の評価)
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・経理担当として
:現状の業務遂行〇(問題なし)
:IMPROVE : 15pt (内訳~)
・CHALLENGE要素
:参加率が低かった部活動を仲間と盛り上げ、オンラインで出来る事へも対応した。それにより発言がしやすい空気づくりが進んだ。 10pt
[ポイント]
・現状の改善への貢献: 15pt
・未来の価値創造への貢献:10pt
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簡素化したが、こうして、いくつかの軸に沿ったポイントが蓄積されていくのだ。
それによって何が起こるかというと、
・例えば「改善への貢献」ポイントが100ptなど一定数溜まっていくと、
〇経理とは違う部署での「カイゼンプロジェクト」の募集があった時に、参加できる可能性があがる。
〇普段関わらない部署からも信頼を受けてスタートできる
といったようなメリットがある。
さらに、こういった動きを繰り返すことで、
〇自分が何をしたいのか、向いているのかがシャープになっていく
〇人事もそれを把握できる
といった事が起きたのである。
『導入当初と現在の変化』
このシステムが導入された当初、正直なところ私にとってそれは迷惑なことにしか思えなかった。
そこそこに経理をやってきて、なんとか自動化の波にのまれずにいられないか、変化の行き届きづらい中小企業を転々とすれば差し当たってはなんとかなるのではないか、
そんなことばかりを考えていたからだ。
けれど、実際に体感してみて、以前に戻りたいとは決して思わない。何が良くなったかと言えば、
〇評価されづらいコア業務以外の工夫・改善も可視化されるようになった
〇どうせ同じ時間を使うなら前向きに思えることをしたいと思えた
〇自分には~しかない、と思っていたが、挑戦してみて幅が広がった
〇周囲の人との会話も、何がいけなかったか、よりも"より何ができそうか" をベースに話すようになった
その結果として
〇ストレスが減った。やりたいかどうかを定期的に確認し、より向かいたい方に行くのだから当然だ。
〇給料も少し増えた。まだまだ日の目を見た取り組みは小さなものだが、今後もCHALLENGEをして評価に繋げていきたいと思う。
一方で、安易に誰にとってもポジティブなだけとは言い切れない面もある。
それは、今までは"部署間"ですら壁があり、ある意味で"何をやっているのか、どのくらい出来ているのか、が分からなくても密室のため守られている" という状況だったのが、
今や "社内と外"の壁すらほとんどなくなりつつある。
つまり、何も意欲なく、改善もチャレンジもなくい続けることはますます難しくなっているのだ。
"全員が可能な限りやりたいことで力を発揮する、それが会社としても強さの源泉になる"
考えはシンプルで、理想的だ。
でもそれが本当に可能なのか、と思う面もあった。
その背景にこの制度を支える、とある仕組みがある。
『オープンヒューマンリソースサイクル』
通称"OHRS"と呼ばれている。
システム、のSでもあるが、
サイクル、のSでもあることが時代を物語っている。
もはや自社のシステム、社員というよりも、
社会と人というリソースの循環、という意味合いだ。
どういうことかと言うと、
・次のプロジェクトの参加者を募集する際に、
「他部署どころか、社内の人間か、社外の人間か、ということに関係なく」オープンに募集しますよ、ということだ。
期間が限定的で、
それに応じた募集をする。
それって "全員が派遣ではないのか?"と思ったが、そうではなかった。
過去の"派遣"と決定的に違うのは、
①先述したように "言われたことだけをやる" のではなく "自らの意思"で率先してプロジェクト単位で取り組むということ
②経理の人は次も経理で、という縛りはなく、単純なスキルマッチではないということ
そこにある仕組みはこうだ。
・流動的な人員異動が常にある
経理担当の私が、いつCHALLENGEの意思で、例えば "カスタマーサクセスに挑戦したい"となるか分からない以上、会社は潜在的にはその穴を埋められる人材を確保しておくことになる。
その方が、"社員の実力や意思を発揮できる会社" というエンゲージメントも、結局は高まるからだ。
〇現状以上の希望や挑戦をする場所がある会社
×希望もやる気もあるのに何もそれをぶつける先がない会社
その土壌をつくるために、
会社は社外の人と緩やかに繋がっているビジネスSNSなどの場で、
"すぐではなくても経理(例)に関心を持っている人"とつながりをもてる場をつくっておく。
そうすると、
「簿記〇級は持っていて、~なスキルがある。けれど自分の会社内では当分ポジションがあかないので挑戦したい」
というような人が "興味あり" を示してくる。
そうなった時に、
・もし、社内ですでに経理を担当する私が、やる気もなくぱっとしないのであれば、
・欠員が出たわけでもないけれど、より取り組む意欲のある人に関わってもらえた方が良い
という判断になる可能性もあるという事だ。
つまり、シンプルに言えばこういうことになる。
『オーディション制度は外部の人を含む』
一見、情もない競争社会的に聞こえるかもしれないが、
厳しさを生むだけではない。
〇働く1個人がマーケットを知れる
※"STAY"を選び続けてもいいけれど、その場合こうなる可能性がありますよ、と会社は具体的に提示する。
それを受けてさらなるIMPROVEか、CHALLENGEをするかは、その人次第だ。
〇いずれ分かることは早く分かった方がいい
社会情勢が動いているのに、それを知らずにラッキーにい続けられてしまうことの方が、よほどのリスクだ。
その1社、がつぶれたり何かの事情で居られなくなってしまった時に、10年分の遅れを取り戻すのは難しいからだ。
当然ながら、
〇自分が他社プロジェクトに参加するに移る側にもなれる
という点もある。
『"お互いが" 選びあう関係』
つまり、そういう関係ということだ。
他社も同様のOHRSサイクルを取り入れているので、かつて以上に "より力や意志を発揮できる会社" を探すことは誰にとってもしやすくなった。
見えづらかった定性評価も可視化される。
『プロジェクト修了者 推薦制度』
四半期、つまり3か月だけプロジェクトに参加したとする。
(かつて)
×短期的に離れたことはネガティブ
△営業など分かりやすく結果に繋がりやすい職種でのみ、短期間でも次に行く会社に 「信頼を担保できる材料」を持てた。それ以外の職種では難しい。
それがこのOHRSによって変わったのだ。
(今)
3か月など短期の関わりでも、会社が評価すれば、その人に"クレジットポイント"がつく。
〇それは他社を含めた次のプロジェクトに選ばれるために、個人にとってはメリット
〇会社も、人が飛躍する場を提供したということで、次のプロジェクト先で評価されれば、会社自体のクレジットポイントも上がっていく。
そうすると、募集をかけた際に良い人材が来やすくなる。
こうして、
いたずらに競争を煽るのではない中で、
無知や繋がりがないだけで失われていた可能性を繋ぎ、
一人一人の活躍と、企業の成長を、共存しながら取り組んでいく環境・仕組みが進んできたのだ。
会社を離れることは別れであり、継続できなかったという烙印であり、時には裏切りとみなされる。一所への忠誠心が価値となる。
...そんな時代はとっくに終わった。
お互いに、縛る関係ではないのだ。 一緒にいたくている。
したいことがあっている。 雇いたくて雇っている。
そんな世界は、今よりももっと笑顔と前向きな言葉にあふれているはずだ。
考えてみればあまりにも当然のこと。
人はより幸せになるために集団をつくっているのだから。
本質的な事は、一見シンプルで当然の事。
それを理想で終わらせない。
これは、そのための小さな一石としてのストーリー。
(ここまで)
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(後記)
『本質と向き合うこと ~変わる働き方~』
シンプルに言えば、
本質的であること、本質と向き合うことを
可能にしたのがこの話で書いたOHRSという「サイクル」の肝となる部分だ。
並行して、個人個人が自分の才能を自覚し、発揮していけるために、コーチングも取り入れられているという前提がある。(それについてはまた別途書けたらと思う)
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※補足
この話は社会の情勢や将来への未来像を私なりに咀嚼して表現したイメージストーリーです。
よりこの通りに実践されていく社会も、輪郭が少し違う形で浮き彫りになってくることも、いずれも歓迎します。
具体的な取り組みや知見をお持ちの方、興味を持ってくださり未来について共に考えたり、働きかけたり、活動していってくださる方は常に歓迎です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
何かお気づきのことがあれば、お気軽にコメントや、
jojikishigami*gmail.com (*→@)までご連絡頂ければ幸いです。
丈二
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