遺族厚生年金改悪?? 冷静に見てみると。。
こんにちは。よこちょうです。
お盆期間もあっという間に過ぎ去りましたが、今年は地震や台風で何かと不安な日々だったかと思います。
もうお仕事は通常モードに戻りましたでしょうか?
さて、先週の投稿は休暇モードで軽い感じの記事でしたが、今回は少し前に話題になった「遺族厚生年金」について考察したいと思います。
まず、見つけた以下の記事を紹介します。
実は、色々誤解されているな、と思う点もあり、そういう点を丁寧に解説した記事があったのですが、その記事は削除されてしまい、、、そちらの記事を基に考察しようと思っていたので、本当に残念です。
ただ、上記の記事も詳細まで触れているので、ぜひじっくりと読んで頂きたいと思います。
【遺族厚生年金の改定内容】
上記の記事内、記載内容をそのままコピペしちゃいますが、
<遺族厚生年金の見直し案>
配偶者が亡くなったときに、18歳未満の子どもがいない60歳未満の人は、性別にかかわらず、5年間の支給となります。
つまり、遺族が夫でも妻でも、60歳未満であれば、年齢にかかわらず5年間の有期の支給となります。
【社会背景の変化】
遺族厚生年金に限った話ではないですが、現状の制度は、基本「夫が家庭を支える」つまり働いて家計を支え、妻が家庭内を守ることを原則としています。
したがい、不幸にも夫に先立たれた妻の立場から見た場合、以降の就労+家計を支える事が厳しいとの想定から、遺族厚生年金のみならず、中高齢寡婦加算など、女性のみを対象とした制度を含め対応してきました。
一方で男性の場合は、就労して家計を支える事は、基本必要がないと考えられており、55歳未満の場合、遺族厚生年金の受給権は得られない状況になっていました。
加給年金などもそうですが、現状の年金制度は、年齢や男女差が残っている部分が存在しています。
厚生労働省の資料などを見ても、「会社員の夫+専業主婦+子ども」といった家庭の形態が以前と比較してかなり減り、女性の社会進出に伴い、共働きや主夫といった形の世帯も増えてきているのは明らかです。
こういった社会背景もあり、制度上の男女差をなくす方向に進む事が検討されてきていると考えます。
【現在と何が変わるか】
現在は30歳未満の子のいない女性が遺族厚生年金の受給権を得た場合、5年の有期支給となっています。一方で、30歳以上の女性や30歳未満でも子供がいる場合は、一生涯もらえる状況です。
また、遺族が男性の場合は55歳以上でないともらえないという状況になっています。
今回の改正案では、先に記載した通り、20代から50代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金を年齢要件に係る男女差を解消するという前提で、5年間の有期支給となることが検討されています。これは、配偶者が死亡した場合の生活再建が大きな目的となっており、その期間が5年という判断として、制度設計を行ったものと私は解釈しました。
つまり、遺族厚生年金の目的が、「一生涯の保障の支援」から「生活再建の支援」に舵を切る事になるものと、現状私は理解しています。
その他にも現在制度として存在している、中高齢寡婦加算や寡婦年金など「女性のみ」を対象とした制度の見直しにも触れており、社会情勢の変化を踏まえて「男女差」のある制度に踏み込んだ内容になっていると思います。
【この内容が報道された後の反応】
この報道に際して、YahooのコメントやXでの反応を見てみると、「改正後、すぐに遺族厚生年金は5年しかもらえなくなる」といった反応が多く見られました。
報道の仕方にも問題があると思うのですが、どうしても「5年しかもらえない」という部分が目についてしまい、「ではその後どうしよう?」といった発想になるのはある意味仕方ないのかなと思っています。
このあたりは、踏み込んで正確な内容をきちんと伝えて、そのうえで対象の方に寄り添ってお話を聞く事が肝要かと強く思った次第です。
【あまり報道されていない?実態の説明】
色々な反応を見てみると、不安に思われる要素として、
遺族厚生年金は、全員5年しかもらえない?
この改訂が、改定後「すぐに」実施される?
この2点に対して、きちんと説明が行われていれば、もう少し皆さんが冷静になれると思うんですがね。。また、背景などをもう少し丁寧に説明することも不安を少しでも払拭するためには必要かと思います。
上記の箇条書き部分を裏返すと、
60歳代以上に対しては、現在の制度が維持されます。
20歳代~50歳代でも「子のある方」に対しては、子の養育期間中は、世帯的にみた給付は担保されます。(詳細は説明が必要ですが。。)
*) なお、年金制度上は「子」といった場合、18歳未満の子を指します。つまり、高校を卒業されるまでの対応という事になります。この制度の実施にあたり、一定の「猶予期間」が設けられます(今回はかなり長く取られます)。
さらに、以下のような追加措置も検討されています。
給付される遺族厚生年金の増額(現行は亡くなられた方の老齢厚生年金の4分の3もしくはみなし25年相当)
給付制限(年収850万)の撤廃
日本の年金制度って、本当に分かりにくいし理解するのが困難なので、ついつい表面的な報道で「改悪だ!」と言ってしまいがちですが、実際のところはどうなんだろうという疑問を払拭する報道をマスコミにはお願いしたいし、SNS投稿への反応についてもきちんと裏付けを持って対応したいと思います。
【(簡単ですが)私としてのこの改訂に対する考察】
だいぶ長くなってしまったので、簡単に考察をしてみたいと思いますが、私が重要と思うのは、改定の「背景/目的」だと思うんですよね。
で、厚生労働省の資料を見ると、以下の記載があります。
<見直しの意義>
女性の就業の進展、共働き世帯の増加等の社会経済状況の変化や制度上の男女差を解消していく観点を踏まえて、20代から50代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金を見直す。
※ 施行日前に受給権が発生している遺族厚生年金については、現行制度の仕組みを維持する。
つまり、「女性の就業/共働き世帯の増加などの社会状況の変化への対応」および「制度上の男女差解消」を目的にしている事が分かります。
まず、社会情勢の変化については同一の厚生労働省の資料を見る限り、確かに女性の社会進出、それに伴う共働き世帯の増加は顕著に現れています。この傾向は今後益々進んでいくものと当然予想されます。
また、制度上の男女差解消についても、この社会情勢を踏まえれば私としては理解できますし、女性だけの制度については段階的になくしていくことも基本的には賛成の立場を取りたいと考えます。
ただ、一方で社会情勢が進んでいるとはいえ、やはり女性に対する処遇が完全に男性と一緒かというと疑問な所もあり、賃金格差/処遇格差の是正には今後も取り組む必要があり、この事が制度を円滑に進める前提になると考えます。
また、目的として「生活再建の支援」を中心とした制度に切り替わる事で、本当に支援が必要な方にどう支援していくか、金銭的な所だけではなく人的サポートなど具体的な方策も切り込んでいく必要があると思います。
今回は、昨今話題となっている「遺族厚生年金の改訂」について考察を交えて説明してみました。
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次回もぜひお楽しみに!