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メリットと共に知っておきたい!   確定拠出年金の考慮点 

 皆様こんにちは、よこちょうです。
 前回は「確定拠出年金のメリット」と題して、確定拠出年金について利用者/実施する企業それぞれの面からのメリットをお伝えしました。
 これだけ見るとこの制度、なんか非の打ちどころがなさそうな気もすると思われるかもしれませんが、実は考えないといけないこともあるのです。
 今回は、私が考えるそういった「考慮点」を記載してまいります。


【確定拠出年金の考慮点その1:利用者の意識面】

 「利用者の意識」

 抽象的な表現で恐縮ですが、メリットばかりが先行して、そもそも何でやるのか?といった意識が不足したまま開始してしまうケースがあります。
 そうなると、結局表面的な利回りとかリスクとか、目立つ所(つまり運用方法とか日々の状況)に目が行ってしまい、本質的な目的を見失ったまま始めてしまう事になりがちです。
 また、色々なサイトにも記載されていますが、一般的には「投資教育」が必要とあります。これが結構曲者でして、実際に教育をやったとしても、制度の概要や、選べる投資信託の紹介など、表面的な内容である場合が多いような気がします(私が過去に企業型で経験したのもそうだった記憶があります)。まあ、投資教育という名前からして、仕方ないとは思いますが。

 この制度の意義(本質)って、「人生設計」であると思うんですよね。
 利用者皆様一人一人で異なる残りの人生をどう考えるのか、それに基づいて現況や将来の見込みなどを考慮して、その資産を後ろ盾としてどうサポートするのかを考えるのが本筋であると思います。ですので、ご自身の資産だけでなく、政治状況も含め周辺情報や将来に必要となる知識を含めて伝えていく必要があると思っています。

 結論ですが、この制度を開始するにあたり、少なくとも目的や意義を利用者に理解頂くのは必須であり、前提であると思います。

【確定拠出年金の考慮点その2:ポータビリティといっても。。】

 確定拠出年金のメリットとして、「資産が持ち運べる」(ポータビリティ)が必ず上げられています。
 仮に利用者の方が企業を退職したとしても、資産を移管できるというもので、企業型確定拠出年金が行われている企業に転職された場合には引き続きその企業の確定拠出年金に移管できますし、行われていない場合であっても個人型(iDeCo)に移管し、拠出を継続する事ができます。
 確定拠出年金は前回も記載しましたが、60歳まで引き出すことができませんので、継続する事になる訳ですが、、知っておくべき点があります。

 ・ 移管の際には一度解約が必要
  移管する場合、運営管理機関や資産管理機関などが変わりますので、一度解約が必要になります。
  前回記載しましたが、私は個人型への移管を経験しました。その際に、運営管理機関を変えなければそのまま運用が継続できると思っていたのですが、結果的に解約が必要と分かり、移管金を改めてどう運用するかを選択する必要がありました。

 ・ 移管を忘れた場合
  仮に移管の手続きを忘れてしまうとどうなるか。。
  6ヶ月以内に何も手続きをおこなわなかった場合には、資産は国民年金基金連合会に移されることとなっています。(確定拠出年金法第83条)
  こうなってしまうと、無利息の現金の状態で管理されるうえに、運用の指図もできなくなってしまいます。その一方で管理手数料は差し引かれることになります。またこの状態は制度としての期間に入りませんので、受け取りにも影響が出る可能性があります。
  要は、退職時には確実に移管手続きを行う必要があるという事です。

【確定拠出年金の考慮点その3:手数料の話】

 この制度ですが、掛金拠出にあたり、以下の手数料が発生します。

 ・制度導入時:初期手数料
  口座開設、導入手数料など、開設にあたっての費用が必要になります。
 ・毎月掛かる費用:運営手数料、資産管理手数料
  利用者口座、実施企業それぞれに一定の運営手数料を月額で払う必要があります。また、実施企業は資産管理機関に資産管理手数料を払う必要があります。
 つまり、利用者からしてみると、例えば月額10,000円と指定しても実質は手数料を引いた額で買い付けが行われるため、拠出額100%からのスタートになりません。その点は理解しておく必要があると思います。
 また、私も経験しましたが、転職などで移管する時にも手数料を払う必要がありますし、例えば事情で掛金を停止する際などにも費用が発生します。
 それほど大きな金額ではありませんが、マイナスの要素ではありますので、販売金融機関担当者にしっかりと確認しておく部分かと思います。

ご参考:SBI証券様の手数料

【確定拠出年金の考慮点その4:基本給与額が減る事による社会保険料などへの影響】

 この制度を行ううえでのメリットによく記載されている内容ですが、いわゆる給与の一部を掛金として拠出する「選択制」を採用してこの制度を始める場合、拠出額を給与とみなさなくて良いため、社会保険算定ランクが下がり、支払う社会保険料が少なくなり、手取りが増える(企業側では社会保険料負担が減る)事がメリットとして打ち出されています。
 しかしながら、この事により、実際の給付額が当然ながら減る事になります。その影響がどの程度になるのかなど、またその他健康保険や雇用保険に関する影響についても企業側/利用者側が理解し納得したうえで進めていく必要があります。

 また、選択制を採用する場合は、見かけ上の支払額は一緒でも、基本給与額が減る事で、それに影響を受ける例えば残業代の計算などを見直す必要が出てくる可能性があり、その場合、就業規則(賃金規定)や給与計算システムなどの改訂が必要となる可能性があり、その影響についても考慮する必要があります。

【まとめ】

 この企業型確定拠出年金を開始する際には(特に「選択制」で開始される場合)、上記のような内容を利用者(従業員)および企業側共によく理解する必要があります。せっかく始めることができても、結局後々トラブルになる事は避けたいものです。
 結局は、その場だけでなく、企業側/利用者(従業員)の継続的なコミュニケーションが、制度の円滑な運営、さらには従業員の皆様の将来をよりよくしていくポイントになるものと思います。

 いかがでしたでしょうか?
 次回は少し視点を変えて、確定拠出年金の今後の方向性について書いてみたいと思います。

 さて、前回も記載しましたが、確定拠出年金のみならず退職金や従業員のライフプランマネジメントにつきまして、ご興味ございましたら、株式会社JOYクリエイトのページからぜひお問い合わせください。
 私も、是非色々な皆様と資産形成についてお話したいと心から思っています! お待ちしております!