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今日の天気は霧

外に出て、ここがラピュタの世界なのかと思うほど、視界が霧に包まれていた。いつもと変わらない建物や看板がそこにあるはずなのに、天気だけでこうも印象を変えてくるとは。

お引越ししてきて3ヶ月。この土地には、まだまだ私の知らないことがたくさんあるみたい。


濃い霧の中、私は駅へと歩いた。いつも早足に1分1秒を無駄にしないよう歩くけど、このまままだ知らない近所のどこかへ足を進めたい気分だった。電車が遅延していたら、たぶん少し寄り道していただろう。例えば、近所のおしゃれなパン屋さんに寄ってドーナツ片手に食べるのにぴったりな場所を探しに歩いたりだとか。

残念なことに、電車はいつもどおり動いていた。電光掲示板の数字と全く同じ時刻に電車はやってくる。乗り込む人も私もいつもと変わらないのに、颯爽と過ぎていく景色だけが、いつも見ているそれとは別物になっていた。息を飲む。広がる田畑が霧で絵本の国のような、映画のワンシーンのような世界に様変わりしていた。とてもきれいな景色だった。


私は日常に変化をもたらしたいなら自分が動いてナンボだと思っている。ちょっと新しいことや面白そうなことに手を伸ばしたり、いつもと違うことをしてみたり。
でも、こんなふうに自分の手が届かないところでも突然日常はがらりと変わっていく。面白いなぁ。




おもしろき
こともなき世も
おもしろく


と詠んだ歌がある。高杉晋作の有名なやつ。おもしろい世界にするのもおもしろいことがない世界にするのも、自分しだいだよ、みたいな意味だったと記憶している。

自分の手で自分の周りの世界を楽しくしていくことはきっとできる。でも、自分でどうにもできないことに対しても、楽しく受け取れるスタンスでいたらもっとおもしろいんじゃないかなぁと思いながら、霧を見て、昔の日本史の知識を思い出していた。

そんな朝の通勤時間。






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