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初めて妊婦への嫌がらせを受けました【妊娠記録】

朝の通勤でのこと、妊娠前より30分前に家を出た。まだ時計は7時にもなっていない。この時間なら、座って乗り換えの駅まで行けるから、妊婦になってからは日が出るころに家を出るようになった。


妊娠してからのいつも通りの電車。いつも通りぽつりぽつり座席の空席が見える、そのひとつに座る。なるべく優先席には座らない。けれども、マタニティマークは見えるようにしてバックを膝の上にはのせている。
夜10時に眠ってもまだまだ体は睡眠を欲してるみたいで、電車の中はたいてい眠ってしまう。その日も眠っていた。

それは、そろそろ乗り換えの駅まで1駅2駅というころだった。

トントントン

左足のグレーのムートンブーツに何かがあたった感覚。はじめは気にしなかったけど、やっぱり何度もトントンされてる。眠っていた頭を起こして、意識する。これは、たぶん、いやきっと意図的だと気がついた。

おそるおそる目を開けた。少し怖くて薄目で。そこには、ほとんど白髪のおばあちゃんが私の目の前に立つのではなく、地べたに座り込んでいた。電車には空いてる座席はなく、満員ではないものの立ってる人は他にもたくさんいる。おばあちゃんは片手には杖、もう片方の手には昔ながらの二つ折りの携帯電話。そして、私を憎き仇であるかのように睨みつけては、携帯電話に何やら文字を打ち込んでいた。

咄嗟にまた目をぎゅっと閉じた。そうしているうちにも、私のムートンブーツを杖で小突き続ける鬼のような顔をしたおばあちゃん。

怖かった。異様だった。

おばあちゃんの隣に立つお姉さんは、スマホに夢中で見向きもしない。両隣のスーツのサラリーマンもスマホゲームをしている。向かいに座っている男性は漫画本を読んでいる。私を含めた誰もがおばあちゃんを見て見ぬフリをしていた。

私は席を譲ろうか迷った。そのために小突き続けていると思ったから。でも、正直に言うと、なんで妊婦の私が譲らなきゃならないの、周りにもっと健康で丈夫そうな人がいるのに、とも思った。さらに言い訳も加えると、ちょうどその前日から妊婦特有の腰痛が始まったところで、揺れの大きな電車の中で立ち続けていられる自信はあまりなかった。
結果、私は席を譲らなかった。
というよりも、迷っているうちに乗り換えの駅に到着した。


そそくさと座席を立つと、おばあちゃんが杖をわざわざ私の足元に向けた。私はつまずくことはなかったけど、そういう意図があったのかもしれない。それからぶつぶつと何かを言っていたけど、耳を傾けなかった。とにかく怖かった。

今まで出会ったどの痴漢よりも怖かった。あのおばあちゃんが考えていることがちっともわからなかった。ただただ、私は嫌がらせをされたのだろうと思った。


改札を通り抜けるとほっとして、別の路線に向かうほんの少しの間、半ベソになりながら旦那さんに電話をかけた。誰かに助けて欲しかった。




おばあちゃんにどんな意図があって、マタニティマークのついてる私の目の前の座席でも何でもない地べたに座ったのだろうか。杖で小突き続けた意味は何だったのか。憎しみのこもった眼差しは、妊婦が嫌いなのか、はたまた若い女性が嫌いなのか。

何もわからない。

ただ、今は何事もなく今日を過ごせた自分と、帰り道は一緒に帰ってくれた旦那さんに感謝したいと思う。

いただいたサポートは、1000円をこえたら家族でおやつパーティーを開かせていただきます。その様子をまたnoteにupしますね^^いつも読んでくださり、どうもありがとうございます!