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24-13 苦悩論③ - セルフメタ習慣

こんにちは。「部屋から始まるミニマリスト」のJOWNです。

さて、この「苦悩論」シリーズも今回で最終回です。思考と感情の関係性から読み解いた、僕なりの「悩み」の考察を続けてきました。

前回は思考を途切れさせて感情に身を委ねる「思考のシャットダウン」をすることで、地続きのネガティブな思考状態をリセットする術について語りました。

今回は自分に向き合い、日常的に自分の「悩み」を正しく認知しようという試みを考察します。普段から自分の本音に向き合う姿勢を持つことで、深い悩みになる前に小さなもやもやに対処するということです。

そうならないようにするには、常に「自分」という主観的な立場ではなく「第三者」という客観的な立場から自分を見つめ直すことが必要です。

「メタ」という概念。

「メタ」という言葉を聞いたことはありますか。

「メタ(meta)」とは「高次の」「超越的な」と言った意味を持つ概念のことです。

「高次の」というのは物理的な次元の拡大を指すのではなく、現実世界の事物と異なる次元の存在を指します。たとえば「神」「キャラクター」「仮想空間」などを指したりします。

このことから昨今では、ある事柄と交差することがないような「客観的立場」からの視点での考察や思考のことを指すようになりました。

「アニメ」で分かる「メタ」。

「メタ表現」の図。昔のアニメではよく見られた。

みなさんは、アニメの冒頭でキャラクターが「アニメを見る時は部屋を明るくして離れてみてね!」というフレーズを視聴者に伝えている場面を見たことありますか?

これ、よく考えてみるとかなり変な表現ですよね。

彼らは我々と同じように日常生活を営み、我々現実世界の人間のことなど当然理解していないはずです。

ところが、この発言により彼らは自分達がアニメの登場人物であることを理解し、画面の向こう側にも我々がいることを知っていると解釈ができます。

この不思議な表現を「メタ表現」、俗に「メタい」といって視聴者や読者にその作品の別角度の面白みを与えることができます。

他にも『銀魂』はメタ表現が多い作品として有名ですね。漫画やアニメはストーリーの深みを楽しむのが一般的ですが、作者や製作陣の都合を暴露する変わったギャグ路線の表現も人気の理由になっているようにも思えます。

このようにして「メタ」とは、その事柄に別の視点を授けて新しい知見を発見するのに有効な概念であると言えるんですね。

「メタ認知」で自己コントロール。

「メタ認知」の図。自分を冷静に正しく認知。

そんな「メタ」ですが、ここではやや実用的な「メタ認知」についてお話しします。この言葉がこの記事の最も重要なキーワードになります。

自分の存在を「自分から」見るのが普通の自己認知ですが、あえて「他者から」見た自分を認知することが「メタ認知」です。自分を他人化することで、冷静に判断できる思考領域に移行させます。

その結果、自身の考えや感情に向き合う姿勢を身につけ、自己コントロールスキルを養うことができます。最近では「アンガーマネジメント」などのトレーニングで導入されることもあり、現代社会で十分通用する認知です。

「人間の成長」と「メタ認知」。

「メタ認知」は子どもの自律性と大きく関わりがあります。

子どもは小さい頃は自己中心な認識のもとで行動することが多いです。

他人のモノを取ってしまったり、他の子を泣かせてしまったり、泣き喚いてモノをねだったりなど自分の本音を一方的に訴える問題行動が多いです。他者のことより自分のことしか見えていない状態だからです。

ところが心の成長に伴って「メタ認知」機能も備わってくると、子どもは自分と周囲を「比較する」ことができるようになります。

すると周囲の状況から自分の言動を見直し、問題行動の角が取れて自律した精神を養い、落ち着いた行動や思いやりのある気遣いができ、人間的に成長できるんですね。

思考は、思っているほど「まとまっていない」。

「悩み」に突入している状態とは自分の思考や視野が狭く考えも過主観的です。この状態はいわば思い込みに近い状態であり、自分で歪んだ根拠や理由を作り出し自分を苦しめています。マイナス方向の自己中心的な活動です。

しかし、意外にもそれらは自分自身でも把握していないことが多いです。論理立てて説明させると、必ずどこか不鮮明で不合理な部分があったりします。思考の言葉がまとまっておらず感情ばかりが増大するから起こることなんですね。

人間の頭の中の考えは、思っている以上に整理できていない状態。
ここがこの「苦悩論」で最も重要なポイントと言ってもいいでしょう。

整理できていない言葉に訳もなく惑わされる状態が、「悩み」をなかなか解決できず自分を追い込んでしまう理由にもなっているのではないかと思います。

「悩み」と「メタ認知」。

ここで力を発揮するのが「メタ認知」です。

思考が整理された状態にしてから認識することで、感情的にも正しく現状に向き合うことができます。「悩み」は基本的にすぐに解決できることがありませんが、解決することではなく正しく「悩み」を捉えるというのが重要なポイントです。

その認識の違いだけで精神的に大きく変わることがあります。受け入れる覚悟のハードルが下がる効果は十分に期待でき、次のアクションを起こしやすくなることもあります。

「メタ認知」する方法3選。

簡単な「メタ認知」でセルフチェック。

では具体的にどうやるのかというと、方法的には難しくありません。すぐにでも実践できると思います。

誰かに相談すること
最も一般的な方法です。

相手という「メタ」により、思考を「口語」に変換する過程で自分を正しく認知します。ただし注意するのは、このときに相手には質問攻めをしてもらうようにします。

問答するうちにやがて不鮮明で不合理なつながりが会話の中に出てくると思います。そこに気づきや悩みの種が転がっていることもしばしばです。つまり、この過程で認識できずにいたことを掬い上げる可能性が生まれます。

ただし連日の相談やしつこいくらいに相談するのは相手のプライバシーや感情もありますので、控えるようにしましょう。

●メモ、日記をつける
自分一人でできる方法です。思考を「文字」に変換することで、文字から自分をメタ認知します。メモや日記が「メタ」の役目を果たします。

人の思考は時間と共に、刹那的に流れることも多いです。1時間前に考えていたことすら思い出せないのが人間です。書いていくものは思いついたものでもいいので、メモを取ることでその時間の経過に対抗できます。

また文字という形状的な言葉を見ることで、不鮮明な部分を明らかにできます。口語とは違いしっかり形に残るので、見返しもできます。

●独り言を呟く
これも自分一人でできる方法ですね。

相談するときと同じで、実際に思いついた言葉を口語にすることで、自分をメタ認知します。

最大の特徴は、実践までのハードルの低さですね。自分一人で道具もないので、非常に簡便です。みなさんも独り言をしている時、あるのではないでしょうか。

独り言は思考の整理に非常に重要な活動の一つと言われています。また他にも集中力を高めたりアイデア出しにも大きな効果があります。

欠点はやはり、社会的にマイナスのイメージがあることです。人が多くいる時は悪目立ちすることもあり、昨今では警戒の目で見られることも多いです。癖にならないよう、なるべく一人でいる空間の時だけに限定しましょう。

さいごに : 正しく自分を知る。

「悩み」は解決する、というスタンスは非常に素晴らしいものですが、解決することに囚われ「悩み」が深刻化することも珍しくありません。

結局のところ、「悩み」とはストレスのようなもので、解決が難しいことに対してはその負担を軽減することに集中する方がよほど自分にとって都合がいいんですよね。

「悩み」を解決できない自分を責めることはありません。

もちろん解決できそうな問題は早急に取り組むのがベストですが、どうしても解決が難しそうな問題は気疲れを起こし、生活に支障が出ます。

「悩み」を解決することは極めてハードルが高いことを認識し、自分の思考と感情から心のバランスを良好に保つことが重要なのではないかと思います。

そのために、自分自身の本音を正しく理解する習慣は身につける必要があることを忘れてはいけないでしょう。

本日の記事はここまで。3部にわたる「苦悩論」を展開しましたが、最後まで読んでくれた方、少しでも読んでくださった方、本当にありがとうございました。

また次回、お会いいたしましょう。

それでは、また。

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