小さな会社がオンプレミスサーバーを導入するときに気を付けること
「性能ヨシ!容量ヨシ!価格ヨシ!」で悲劇を生まないために。
大量・大容量ファイルを保存したいが外部には出せない
手元で動く機械学習や高性能計算の環境が必要
クラウドサービスだとどうしてもコストがかかる
など様々な事情で社内にサーバーを置くことを検討されているかもしれません。
今回は、サーバールームなど専用設備が無い小さな会社がオフィスの中にサーバーを導入するときに気を付けた方が良いことを紹介します。
特に、サーバーの主目的である機能(機械学習であれば計算性能、ファイルサーバであれば容量)といった必ず考慮すべき機能に加え、経験が無いと気づきにくい社内サーバーの弊害やトラブルも紹介していきます。
目的をはっきりさせる
サーバーの目的を決めておくとよいです。1台でなんでもやろうとするのは極力避けたほうがよいでしょう。
例えば、機械学習用のGPUサーバーとWebホスティングのサーバーを1台にまとめてしまうと、「GPUが電力を食うので深夜に電源を落としたいが、ホームページも一緒に落ちてしまうので不可能」などの問題が起こります。
目的別にサーバを分け、それぞれどこまでの性能が必要か検討すると良いです。主目的に対応する基本的な検討項目は以下のようになるでしょう。
機械学習・高性能計算
CPU・GPUの性能や個数
メモリの速度と容量
ストレージの速度と容量
PCI Expressのレーン数
物理的にGPUなどが挿せるのか
CPUがサポートするレーン数が十分か
ストレージ
ストレージの速度と容量
HDD・SSDのRAID構成
ネットワークの速度と容量
バックアップを行う方法
Webホスティング
主にCPUの性能
メモリの速度と容量
ネットワークの速度と容量
本当に社内に置く必要があるのか?
社内のサーバーを外部化できないかは常に考えておくと良いです。AWS、GCP、Azureといったクラウドコンピューティングサービスであれば上記の目的と対応したサービスが揃っています。
また、サーバー内の環境をそのまま外部に持っていきたいという要望があれば、Virtual Private Server(VPS)を借りるという手もあります。
ユーザーのアクセス方法
社員が社内のサーバーにアクセスする方法を明確にしておきましょう。管理者であれば直接キーボードとマウスをつないで操作できてしまうかもしれませんが、それ以外のユーザーは基本的にネットワーク越しのアクセスとなります。
社内のLocal Area Network(LAN)内で完結させるのか、Virtual Private Network(VPN)環境を作り社外からのアクセスも可能にするのか検討しておきましょう。
社外からのアクセスにはビジネス向けのリモートデスクトップサービスを使うというのも一つの手です。
瞬電・停電への対応
通常のオフィスの場合、災害による瞬電や、建物のメンテナンスのための停電が発生します。突然の停電で慌てないようにあらかじめ対策を決めておきましょう。
瞬電の場合は、Uninterruptible Power Supply(UPS、無停電電源装置)を電源とサーバーの間にはさむことで対応できます。常時稼働が求められるサーバーの場合は導入しておいて損はないです。あくまでUPSは一時的な電源供給が目的ですので、停電が長引いた場合はサーバー上のプログラムを安全に停止させ電源OFFにする必要があります。UPSには停電が長引いたときにサーバーに通知してくれる機能を持つものもあります。
埃への対策
人の出入りがあるオフィスの場合、どうしても埃が溜まります。放置しすぎるとCPUファンに埃が詰まりCPUが高温になるなど予期せぬ挙動につながります。最悪の場合、火災にもなりかねないので定期的に点検と清掃を行いましょう。
埃はPCラックである程度は防ぐことが可能です。ラックと聞くと規格(1U, 2Uなどのサイズ規格)にあった固定式のPCしか置けないと勘違いされている人がいますが、通常のデスクトップPCなどを入れることもあります。
温度
特にCPUとGPUを多用するサーバーの場合は発熱量が大きいです。PCのファンよる排熱、ラックに入れる場合はラックの排熱、エアコンによる冷却が正しく行えることを確認しましょう。排熱量によっては常時エアコンを稼働させるなどの対応が必要になります。
騒音
サーバー用のPCは排熱の性能を良くするために強力なファンが取り付けられている場合が多いです。また、ラックにファンが取り付けられている場合はそのファンからも音が出ます。
人がいるオフィスに導入する際はどの程度の音が鳴るのか確認しておくとよいでしょう。高性能なサーバーを買ったのに、周りからの苦情によって性能を十分使い切れないなんてことも…
電力
上記の気を付けることをすべて踏まえたうえで電力を見積もると良いです。サーバーだけでなく、それを冷却するエアコン、ラック、UPSの電力使用量も確認して、余裕をもって稼働させましょう。
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