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『101回目のコロ騒ぎ』  第六話 ドレミノソマチドの秘密と子供たちの救出

翌朝、テツオと愉快な仲間たちは、
身支度を整えると大型トレーラーに乗り込んだ。
 子供たちの生血を原料に造られるドレミノソマチドの
製造を阻止するべく、トラブリュー製薬を襲撃するために。

サムは軍事マニアでもあり、資産家のコネから
自衛隊の秘密組織『宇宙秘密作戦隊』の風鈴(ふうりん)将軍と
親しい関係だった。
 そこで、風鈴将軍の指示を受けて横田基地に向かった。
武器と特殊車両、それに特殊訓練を受けた兵隊と合流するために。

横田基地に着いた一向は、風鈴将軍が待つ指令室に案内され、
そこで、トラブリュー製薬の襲撃計画を立てた。
トレーラー運転手は、トラブリュー製薬の刺客だった
ばかりでなく、内部事情にも詳しかった。
彼は、お台場にある本社ビルの概略図を取り出し、
警備員の配置、役員室、秘密の地下通路など
詳細を一通り説明した。

作戦が決まった。
風鈴将軍が指揮を執る特殊戦艦『パイパニック号』は
お台場の沖合に待機し、ハトガオットットーミサイルで
援護射撃を行う。
 特殊部隊を連れた勇者テツオ一向は、本社ビル正面から
堂々と受付へと進み、ハルマそっくりのサムが、
「おれを殺そうとした社長に会いに来た」と
社長に連絡するように脅す。歯向かう者がいれば
振り向きざまに得意の「銭投げ」がさく裂するという計画。
 その間に特殊部隊は建物周辺を包囲し、
誰も出入りすることができないようにする。
『トラブリュー製薬を封鎖せよ!』作戦である。

そして、テツオたちは、ドレミノソマチド製造現場を破壊し、
社長室へ行って、ハルマそっくりのサムが脅しをかける。
あとは、テツオのカンフー、リツコの忍術、
トレーラー運転手の力王百烈拳で、社長一味をこらしめたあと、
秘密の地下通路(『北北西に進路をとれ!』)から
特殊車両でピルゲッツー別宅地下室に向かい、
そこにとらえられてる子供たちを救出する、
という完璧かつ大雑把な作戦だ。

一向は作戦通りに実行し、どういうわけか、
この不思議な作戦が成功してしまった。
無事に子供たちも救出した一向は、特殊部隊とともに
風鈴将軍が待つパイパニック号に帰還した。

一連の騒動の後、アツコ宅で突撃レポートを行った
あのレポーターたちが現場に到着し、一部始終を
お茶の間に向かって伝えた。
こうして、トラブリュー製薬とペナル亭の悪事が
明るみになり、何も知らなかった一般人もさすがに
気づかされることになったのだった。


この作戦で、勇者テツオと愉快な仲間たちは、
レベルアップを果たした。
 テツオはカンフーに加え、真空斬りを覚えた。
 アツコは『愛のうた』の♪を一気に半分獲得した。
 ヨウスケは新薬「惚れ薬」と「困惑コンニャク」を覚えた。
 リツコは新たな忍術「ハニーフラッシュ」を習得した。
 サムは放射能除去呪文「コドモクリーナー」を習得した。
 トレーラー運転手は「邪王黒龍波動拳」を習得した。

横田基地に到着した風鈴将軍と特殊部隊、
そして、勇者テツオと愉快な仲間たちは、
作戦の完遂と子供たちの救出を祝って
祝宴で盛り上がった。

祝宴が終わったころ、夜空に突然、
ホトケのオッサンが現れる。
「勇者テツオよ~!」

    ~ つづく ~

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