『チャックと栗の木』 第一話 出会い
とある広大な丘陵地に、
マロンタワーと呼ばれる巨大な切り株が
観光名所となっている村があった。
その村で両親とともに農業を営んでいた、
謎めいた魅力のある女性がいた。
彼女の名前はミチと言った。
ミチは冒険好きな性格としても有名だった。
農業の傍ら、暇を見つけては、
マロンタワー(大きな栗の木)の下で
歌ったり踊ったりしながら、
しばしば、タワーの根元にある洞窟を
探検していた。
「大きな栗の樹の下で~ ♪
あるある探検隊! 洞窟探検隊!」
その洞窟には、普通の人々には見えないが、
ミチには謎のリス(妖精)が見えていて、
そのリスに会いに行くのも楽しみの一つだった。
ミチには動物や植物と会話する不思議な
能力があったが、このリス(妖精)だけは、
“モノ”を語ってくれなかった。
ある日、マロンタワーに興味を持つ青年が
ミチが暮らす村を訪れた。
彼の名は、チャック。
チャックは見た目は普通の好青年だったが、
お口にチャックされたかのように、言葉を
発することができない障害を抱えていた。
チャックはマロンタワーの根元にある洞窟に
気づくと、好奇心に駆りたてられるように中に入っていった。
そこで、
「大きな栗の樹の下で~ ♪
あるある探検隊! 洞窟探検隊!」
と歌いながら、リス(妖精)と遊んでいたミチに出会った。
“ミチとの遭遇”である。
~ つづく ~
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