仕事とお金

毎年のように、「何の為に働くのか」というアンケートがあり、
その結果が公表されています。

たいていの場合、1位は「お金のため」「生活のため」です。
そういう人は「宝くじで1等前後賞10億円があたったら」という質問に、
会社を辞めると答える割合が多くなります。

私は「それでいいのかな?」と考えます。
お金のためにしても生活のためにしても、それは「自分のため」です。
そうすると、自分の利益のために不正をも厭わないということになるでしょう。
実際に自動車会社のリコール隠しとか、食品製造業の賞味期限偽装とか、
「今の自分(自社)の利益のため」に不正が行われていて、
さらに、それが見逃されています。
内部告発などによって明るみに出てから大騒ぎになりますが、
その前に「自分の利益のため」という感覚から離れて、
「消費者のため」と、発想を逆転させれば、不正はなくなるでしょう。

以前の記事に書きましたが、私は最終消費者の利益を優先します。
元請に対しても卑屈にはなりません。
最終消費者(企業研修の場合は研修を委託した企業)のために、
言うべき事は元請に対してもいいますし、
元請の指示でも、最終消費者のためにならなければ、断ります。
(まぁ断るまでしなくても、講義には元請は入ってきませんけど)

現在、私は企業から直接請け負うことが出来るように準備しています。
教育のプロとして、研修を成功させる自信もあります。
SEが本業で、新入社員研修の時期だけ講師をするという人には、
「教え方」が拙い人が少なくありません。
私が選ぶ講師は「教え方」「接し方」から教師教育をしていきます。

お金(報酬)は、結果として受け取るもので、目的ではありません。
『幸せの新しいものさし』という本があります。
(博報堂大学幸せのものさし編集部著 PHP研究所 2010年)
この中にアパレル業で
 「売らなくていい。お客様の相談相手になれ」
と指導した店長の話が出てきます。
アパレル業では「こういう服が欲しい」と言われて、扱ってない場合
別の商品を勧めるなんていうことが多いですが、
「そういう服なら○○屋さんが扱っていそうですね」と言えれば、
お客様としては「まず、この店に行ってみよう」となります。
そして欲しい物があれば、購入します。
店舗の第一選択肢になればリピーターは付いてきますから売上が伸びます。
「今」の売上は低くても、将来の売上が大きくなります。

私は飲食店のアルバイトを経験しましたが、
このアパレル店の店長と似たような事を言われました。
マクドナルドが「ご一緒にポテトはいかがですか?」と営業していた時期です。珈琲一杯の顧客も粗末にしない、常連を優待することもしない。
座席の間が広く、座りやすい椅子で、くつろげる空間
ややもすると、客単価が安い店では客席数を増やすために間隔を狭くしますが、その店は客単価400円程度なのに広い間隔でした。狭すぎると「落ち着けない店」になって、客足が遠のきます。

これも「今の売上」ではなく、将来の売上まで考えた営業手法です。
「今の利益」に固執せず、大局的に考えることは、
店や会社だけでなく、個々の労働者にも必要なことではないかと思います。

ただ、私はこのような発想をしているので、会社には疎まれます。
極貧生活をしていた時期もありますし、今もカツカツですが、
自分の矜持として「お金は結果。目的は顧客満足」を貫いています。

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