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デザイナー歴20年 僕が考えるデザインの定義

私は高校生の時からデザインを学び始め、その後約20年にわたってデザインの仕事に携わってきました。これまでの人生で、デザインは常に私のそばにあり、私の生活の一部となっています。

本日は、「デザイン」というテーマについて、改めて私なりの考えをお話ししたいと思います。

多くの場合、「デザイン」という言葉は幅広い分野で使われ、その意味するところは非常に広範に渡ります。そのため、デザインに対する定義は人それぞれ異なり、それで良いと私は考えています。

私が考えるデザインの定義においては、ビジネスとデザインは等価の関係にあると見ています。つまり、デザインは単に見た目を整えることだけではなく、マネージメント、ビジョンやミッションの設定、チームビルディング、マーケティング、クロージングセールスといったビジネスの各側面全てを包括する概念だと私は捉えています。

一般に、グラフィックデザインやWEBデザインがデザインの典型例として挙げられますが、これらは問題解決のための手段に過ぎません。そして、これらの手段を用いることになった背景には、何らかのきっかけや目的があるはずです。

例えば、企業が「WEBサイトを新しくしよう」「新しいロゴを作ろう」とデザイナーに依頼する場合、それらの要望は一見単純なものに思えるかもしれません。しかし、それらの要望には、より根本的な問題を解決しようという意図があることが多いです。私は、デザインがそのような根本的な問題解決に寄与できると考えています。

問題解決する手段を間違えない

ロケットイメージ

デザイナーとしての私の役割の最初のステップは、クライアントが解決したいと思っている問題を正確に理解することから始まります。その理由は、解決策を適切に選択するためには、問題自体を深く理解する必要があるからです。従って、私はこのプロセスを非常に重要視しています。

例えば、特定の企業が直面している問題に対して、新しい制作物を作り啓蒙活動を行うよりも、組織内のチームビルディング(これも広義な意味でデザインです)に注力すべきかもしれません。そのような場合、元々制作物に充てる予定だった資金を節約し、その分を採用活動や広報、社内エンゲージの施策に回すことがより適切な選択肢となるでしょう。

「ロゴを作成してください」との相談を受けることはデザイナーとしてよくありますが、時にはその依頼に違和感を感じるクライアントもいます。その理由は、彼らがロゴの作成を必要としていない場合があるからです。実際には、ロゴ制作に先立ち、別のアクションが優先されるべき状況もあります。

具体的には、オーディエンスの関心を引きつけるためのプレゼン資料を準備することが、彼らが最初に取り組むべき課題です。事業内容や提供できる価値をクライアントに明確に伝えるための資料が、最初に必要なステップであると私は考えています。

時には、「ロゴの制作に予算を割くのはもったいないのでは?」とクライアントに伝えることもあります。その予算を、他の重要な取り組みに使用するべきだと私は信じています。

クライアントとデザイナーは、経営の観点から一致する必要がある

多くの場合、企業の課題解決を目指す人々はデザイナーではありません。彼らが「デザイナーなら何でもできる」という誤った期待を抱くことが、一つの問題です。何が提供されるのか未知の中で、完成したものを長期的に活用する必要があるという不安もあります。

そして、完成した作品を見て「問題が解決されていない」とデザイナーを非難することはしばしばあります。これは非常に遺憾なことで、課題の特定、解決策の選択、デザインの定義はすべてクライアントの意思決定に基づくべきでありながら、提供されたデザインに対する評価を下すことは不適切だと私は考えます。

クライアントとデザイナーの関係は、同じ経営視点を共有していなければ、効果的な問題解決には繋がらないと私は信じています。それが私が「ビジネスそのものがデザインである」と考える理由です。

今後は、経営に深く関わることができるデザイナーを増やし、デザイナーの価値と報酬を向上させ、デザイナー業界を新たな段階へと引き上げていきたいと思っています。


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