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連絡帳の書き方

〜連絡帳は、文章力ではなく、コミュニケーション力〜

特別支援学校では、毎日連絡帳を書いています。担任の先生と保護者が、お互いに子どもたちの様子を伝えるためです。

その日勉強したこと、上手にできたこと、ちょっとやらかしちゃったことなどなど…
自分の言葉で伝えることが難しい子どもたちですので、保護者は学校の様子を知る大切なツールです。

もちろん、保護者からは、家での様子、体調のことなどを書いてもらうことで、学校生活を健康に過ごすための貴重な情報のやりとりとなります。

ところが、書き方一つで誤解を招くこともあります。
先生としては、そんなつもりではないのに、と思っていることも、文章では伝わらないことも多いです。
また、その書き方では伝わらないな、ということも…

以前は、先輩先生が、その都度「こう書いた方がいいよ」「それは書かない方がいい」と、教えてくれましたが、今は先生同士で教え合うことが少なくなりましたね。

しかし、連絡帳で保護者とのよいコミュニケーションがとれれば、子どもたちの指導をさらに充実させることができます。

では、どう書けば効果的になるのでしょうか。

…と、気をつけることを書き出したら、すごい量になってしまいました…
とりあえず、35のヒントのリストにしました。眺めてみて、ピンとくることがあれば使ってみてください…

① 連絡帳の意義

・ コミュニケーションツール
・ 情報の共有
・ 伝達・確認
・ 成長記録

 「日々の成長が書いてあるから」と、入学からずっと連絡帳を保管している保護者もいます。こんなことができるようになった、この日はどこに行った、など、後で読み返せば、貴重な記録ですよね。
・ 元気の素
 1人目のお子さんであれば、保護者にとっても毎日が冒険ですよね。なにがほしいのか、なぜ機嫌が悪いのか、家庭でもどうしていいかわからないことがたくさんあるでしょう。
そんなとき、連絡帳に、「学校でこんなことができるようになりました」と書いてあれば、明日も頑張ろう、と思えますよね。

② 連絡帳の鉄則

・ 子どもを尊重する
 言わずもがな、です。子どもたちへの想いが文章には現れます。先生は、自分の子どもをどう見ているのか、文章で伝わります。子どもを一人の人格として認める、当たり前のことを常に意識して指導にあたりましょう。
・ 保護者の気持ちを想像して書く
・ 個人ではなく学校組織の一員として書く

 時々、「学校から言われているからからできません」のように、自分は学校の者ではありません、と受け取られるような書き方をする先生がいます。先生は学校の職員です。たとえ自分の考えと異なることでも、組織として対応することが社会人として必要です。保護者は、学校の先生だからこそ、どんな人かも知らないあなたに大切な子どもを預けているのです。
・ 保護者の書いてきたことに必ず答える
 コミュニケーションの基本はキャッチボールです。ボールを相手に投げ返さなければ、続きません。様子を伝えてくれているなら、そのことに一言でも返しましょう。むしろ、学校の様子を事細かに書くより、保護者の一言に返すだけで、子どもが学校でどういうふうに先生と過ごしているのか、行間から読み取れますよ。
・ 保護者にしてほしいアクションを具体的に示す
 明日持ってきてほしいものがあれば、はっきりと書きましょう。言葉も「準備してください」ではなく、「持たせてください」と、保護者の動作がわかるような表現にしましょう。
・ 学校生活のなかで光っていたことを書く
 「先生のその指示わかりやすいですね」と言われて、教師としては当たり前ではありますが、やっぱりうれしいですよね。保護者は、自分の子どもが学校で活躍しているのを知ればうれしいのは当たり前です。さらに、そのことに気づくのは教師の指導力でもあります。子どものいいところをたくさん見つけて報告しましょう。
・ 保護者が心配していることに答える
  例えば、「朝早く起きてしまいました」「朝晩咳してます」などには、学校での様子を「やはり眠そうでした」「日中は暖かいためか、あまり咳は出ていませんでした」など、保護者の見方を否定しないように様子を書く
・ 子どもの安全な指導が優先なので、たくさん書けない、と年度初めの保護者会で説明しておく
 連絡帳で伝えることは大切、ですが、なにより子どもの指導が学校の本分です。「うちの子は話せないので、詳しく教えてください。」という保護者もいます。しかし、安全に子どもたちを指導するのに、連絡帳に時間をかけるのは本末転倒です。そこで、年度はじめの保護者会で宣言しておきましょう。そうしておいて、時々余裕があるときに少し丁寧に伝えることで、指導もきちんとしてくれる、子どもの様子も見てくれている、と信頼を得ることができます。
・ 信用を積み重ねて信頼を得る

③ 連絡帳の極意

・ 5W1Hを書く
・ 主語+動詞+目的語の文を書く
・ 副詞は数字に置き換える

・ 「問題行動」は解決策と合わせて書く
 →すでに保護者と取り組みを共有できてる問題行動なら書くが、そのあとに必ずその時にはこうやって解決を試みました、と書き加える
・ 推測は根拠を元に書く
・ 誤解されそうな案件、怪我などは「電話します」と書いておいて必ず電話する
・ すぐに答えられなければ「確認して明日お伝えします」と書く
・ わからないなら「わからない」そして「いつまでに返事をする」と書く
・ 問題が起きそうな内容や不満が書いてあったら、コピーをとって学部長・管理職と共有する
・ 子どもの目の前で「◯◯がんばりました」と書いてあげる
 =子どもとのコミュニケーションツール

④ 連絡帳べからず集

・ 否定形は使わない ←否定形ですが、ダメなものはダメ すべきことを書く
 「ピンクの象を思い浮かべないでください」…思い浮かべますよね。
・ 伝聞体で書かない
 → 言い切る
・ 言い訳は書かない
  →学校での生活は、自分が見ていない活動のことで
  も、担当の先生に確認したことを”言いきり”で
  書く。伝聞は、無責任な印象を与える。 
・ これくらいはわかってくれる、と思わない
・ 曖昧なことは書かない

・ ネガティブな表現は使わない
 =「暴言」「脱走」「乱暴」「おもらし」「騒ぐ」「叫ぶ」など
  例えば「おもらし」は、「失敗しました」と書き、理由を必ず加える…リフレイミング
・ 略語や業界用語は使わない
・ 必要以上に謙らない
・ 必要以上にくだけない
・ 連絡帳を書くとき、子供に背中を向けない
・ 子どもに「今連絡帳書いてるから忙しい」と言わない

 =本末転倒
・ 「そんなことすると連絡帳に書くよ」と脅しに使わない
 =マルトリートメントは×


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