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教師の心得 第8条 心の底からおもしろがる

大人の予想を上回る子どもの反応は、ほんとうにおもしろいですよね。

もう負けてもいい、と思います。

勝とうと思っているわけではありませんが…

せっかく子どもたちと一緒にいろいろなことをしているのですから、心の底からおもしろがりましょう。

「困り感」にばかりに目を向けるより、おもしろいことをたくさん見つけていきましょう。

おもしろいことを引き出す働きかけをしていましょう。

子どもは、先生が自分のことでおもしろがってくれる、喜んでくれると、うれしくります。

うれしくなると、自分からどんどんチャレンジしていくようになります。

では、なにを、どのように、おもしろがればいいのでしょうか?

「へー」
「なるほど」
「そうきたか!」
「そこかー」
「なんで!?」
「やられたー」
「ほんと?」

そんな言葉を思わず出してしまうことを自分から見つけるのが、おもしろがる、ということです。

おもしろがるためのポイントは2つあります。
「子どもの見方」
「子どもの変化」

です。

① 子どもの見方をおもしろがる

子どもは私たち大人が考えないようなところを見ています。

しかし、「おもしろポイント」は、なにも働きかけずに待っていても見えません。

そこで、「こんな質問すると、こう答えるんじゃないかな」と、予想しながら、働きかけてみましょう。

◯ 仮説をもって見方を予想する

授業で新聞の広告を見ていると、「住まい」という言葉が出ていました。

そこで、「『住まい』ってなんのこと?」と聞いてみます。

「住むところ」と答えられれば合格だな、と予想しておきます。

ところが
『「住まい」って「住居」のことじゃないの?』
と答えました。

まさに「そうきたかー」
「住まい」より難しいだろ!
そんな言葉知ってるんだ!

子どもは本当におもしろいですよね。

◯教科書通りの答え

「机はなにでできている?」と何気なく子どもに聞いてみました。

「机は”机”でできています…」

まさに、教科書通りの自閉症スペクトラムの子どもの答えです。

天板を指でコンコンと叩いて、「これだよ」と聞いても、「机です」と答えます。

ここからが先生と子どもの勝負です。

どうすれば机の「材料・材質」に気づいてくれるだろう。

目に見えるヒントを出せばわかるのではないか?
と、窓の外に見える木を「あれだよ」と指差します。

すると、私の指先を見て「爪?」と答えました。

これも教科書通りの反応です。

思わず「やられた」と口から漏れてしまいました。
教師の指導力を試されているようです。

次に、木工室に連れて行き、板を見せました。
叩いて音を聞かせて、これはなに?と聞くと、「木です」と答えます。
加工前の材料は分かっています。

そこで、棒を4本立てて、上にその板を乗せました。
完成した形を「これはなに?」と聞くと、「机です」と答えました。

「テーブルです」と、答えなくてよかったです…
テーブルと言われたら、机との違いから示さなければならなくなるところでした。

あと一息です。

教室にある机に戻り、もう一度「これはなにでできているの」と聞きます。

「木です」

ようやく、コンプリートです。

まさに「なるほど」ですね。

子どもの見え方が見えた瞬間でした。

◯ほめない。驚く。

おもしろがるには、大切な心得があります。

それは、「ほめない」です。

ほめるのは、評価です。
もちろん、評価をされることが必要な場面もあります。

できているか、できていないか。

しかし、「何でわかったの!?」と驚かれた方が、子どもはうれしい気持ちでいっぱいになります。
馬鹿にされた、なんて思いません。

大人でも、「よく知ってるね!」って言われると、まんざらでもないでしょ。

せっかく子どもたちと一緒にいろいろなことをしているのですから、心の底からおもしろがりましょう。

「おもしろがりポイント」2つ目は、「子どもの変化」です。

② 子どもの変化をおもしろがる

子どもの変化とは、つまり指導の前と後の成長です。

◯コンセプトマップ

情報の授業で「はじめて歴史事典」づくりを題材にしました。

授業のはじめに、生徒たちは「歴史」と聞いて、なにを思い浮かべるのか、なにを知っているのかをアセスメントします。

コンセプトマップと呼ばれる図を描いてもらいました。


「歴史」を真ん中に置き、知っている事柄を線でつなげていきます。

ある子どもは、初めに出てきたのは「時代劇」「名作映画」でした。

この時点でもすでに面白いですよね。
確かに「歴史」です。

その後、自分の好きな物事の歴史を調べました。
なんとなく、「古いもの」「昔のこと」と感じていたことが、いつ、どんなふうに始まったのか、図書館の本やインターネットで探しました。

すると、自分なりに知識がつながっていきました。
断片的だった知識を、自分なりにカテゴライズできるようになりました。

◯ スキーマ

これは、「歴史とは」という定義ではなく、スキーマと呼ばれるものです。
スキーマとは、物事に関する知識のまとまりです。
それは、言葉だけではなく、色や匂い、映像でもかまいません。

目的をもって物事を見ると、つながりが増えたり、複雑になったりします。

このように、コンセプトマップは、頭の中のネットワークをみえる形にしてくれます。
すると、子どもと一緒に学んだことによる変化を面白がることができます。

指導の前と後とで比べる工夫を考えましょう。
この方法でやると、こんな風に変わったね、とおもしろがりましょう。


「子どもの見方」「子どもの変化」で子どもと一緒に楽しみましょう。

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