見出し画像

新橋レトロビルをゆく(東京)

新橋といえば、かつては「サラリーマンの街」と呼ばれていました。酔っぱらいのオジサンがテレビカメラの前でクイズやインタビューに答える。そのトンチンカンな発言がお茶の間の失笑を買うという、「これが昭和だ、文句があるか」的なストロングスタイルも時代の流れとともに姿を消し、今はどうなんでしょうかね。

そもそも最近では「サラリーマン」という単語自体がなくなったし。かといって、「ビジネスパーソンの街」という雰囲気でもない。自分は新橋にそこまで関心を払ってこなかったので、昔も今もよく知りません。しかし、聴くところによると何やらカオスなビルが存在するという話。となれば、行くしかあるまい。昭和の残滓をこの目に焼き付けるために。


ハイ、到着~。サラリーマンの街となれば、平日夜の仕事帰りが本来の姿なんだろうが、そんな時間はないので土曜の昼下がりに訪問です。普段とはちがう顔も見えるかもしれないしね。


地理的には銀座から歩いてこれるくらいの距離にあります。しかし、両者の印象はずいぶん違う。


駅を出ると、いきなり人の気配がない。この街はふつうの繁華街と逆で、仕事帰りの会社員で平日が大賑わい、そして土日は休み、っていうことなんだろうか。


ガード下を覗いてみると……


なかなか聞きなれない単語がでてきました。


そして業務用鳩。ここはビジネスの街。古き良き時代の通信手段も息づいている、といったところでしょうか。


そして目の前に現れたのは、今回の目的地のひとつ、新橋駅前ビル(2号館)です。1966年の建物なので、およそ60年物。なかなかの老朽化っぷりです。


近くには地下街へ下りる階段もある。うん?


おいおい、国鉄とか書いてあるよ。営団地下鉄の文字も見える。この看板、はずしたら結構高値で売買されるんじゃないの?😆


それでは気を取り直して、2号館、入場です


エントランス周辺はお洒落でシックな内装です。まずは地下へ降りてみましょう。


役所や図書館と見まがうような、威厳すら漂わせる空間。ここは――


あ、やっぱり新橋だ。飲み屋と飲食店が気さくな表情で出迎えてくれます。


しかし今日は土曜日、しかも日中とあってどの店も閉まっています。


家?


新橋では靴磨きの看板をけっこう見かけるけれど、営業的には厳しいのかもね。
とにかくどの店も閉まっているので地下をあとにし、階段で上を目指します。


踊り場にある階数表示もテープでの補修が目立つ。1Fのエントランスで見たシックな雰囲気はなんだったのか😵‍💫


上のほうは基本的にオフィス用のスペースです。いろんな協会があるんだね。しかし、壁といい扉といい、強度的に大丈夫なんだろうか。バーンッって蹴ったら抵抗なく開きそうな気がする🥴


途中フロアを横目に見つつひたすら階段をのぼり、ようやくここが最上階。扉はロックされていて開きませんでした。残念。


このフロアにあるのは機械室のみ。不安をあおるレタリング。


反対の窓からは町が一望できる。目の前に見えるのは駅前ビル1号館です。今度はあちらへ移動してみましょう。


エレベータで一気に地下2階まで降下する


B2は駐車場でした


チョイチョイ、立入禁止の警告看板を目にする。警備室にいったらそのままお縄コースです。


怒られないくらいの範囲で(笑)ウロウロしてみる。スロープを伝ってB3へ下りていきます


気づけば、いつのまにか1号館の敷地に到達していたみたい。



螺旋階段を覗くと階下に吸い込まれそう


このフロアの周辺はどうやらタクシー会社の待機場(?)らしく、車も侵入できてだだっ広い空間もあって、という不思議エリアになってました


扉と窓だけの謎空間。向こう側はボクシングジムみたいな感じ。どうなってんだ、ここ?😨


もうゲームの世界だね。FPSでこういうダンジョン見た記憶あるわ


ふたたび人の温かみが感じられる空間へ


B1に戻ってきました。さっきにくらべれば、活気に満ちている。この安心感よ。


けっこうお客さん入っていました。


そして、また階段を延々と登っていく。防火扉には勝手口がついている。しかし、これも相当年季の入ったシロモノだよ。


壁はところどころ塗装が剥離しており、天井の材質もアレの吹付ボードかしら、ちょっと不安


1号館も上のほうはオフィスフロア。それにしてもいったいどういう色彩センスしているんだ。いや、もしかしたら一周回ってポップアートなんだろうか。


近くの女子トイレの入り口には、こんなものが。ランプが光ったとて、このフロアには人の気配がないんだが。平日はちがうのかな?


1号館をあとにする


新橋にはもうひとつ特徴的なビルがあります。SL広場を抜けて歩いていくと――


つきました。ここ、ニュー新橋ビルです。ファサードだけ見れば、わりと新しめの商業ビルと勘違いしてしまいますが、1971年竣工。ゆうに半世紀を超えております。


変則的な台形の商業ビルです。お店が入っているのは4Fまで。5Fからはオフィスエリアです。地下もB1は飲食店が軒を連ねていますが、その下はほぼ駐車場。


よっしゃ、気を引き締めていざ入場。この時点ですでに亜空間の雰囲気ガモガモです。


敷地が変則的なので、通路もおかしなことになっている。かなり難易度の高いダンジョンです。格安チケット、金券ショップ、飲食店などが雑然と並んでいる。


湘南クッキーという、聴きなれない商品の自販機も置いてあります。何それっていうのもあるし、なぜここに、っていうのもある。インバウンド観光客がワイワイやっていましたが、結局買わずに立ち去っていきました。正しい選択だと思います😝


しかし去年までとは打って変わって人手不足は深刻みたいね。困っているのはわかったが、こんなところに求人ポスター出しても、主婦が目にすることはないと思いますけどね。


しばらく歩いていくと「商店街」が目の前に現れました。具体的なところは何も伝わってこないんですが――


階下に目をやると、憩いの地下街があるじゃない。よし、まずは地下から攻略していこう


B1はこんな店舗構成です。右側の凡例によると、黄色が飲食店、緑がゲーセン、青が喫茶店。


薄暗くて、最近のおしゃれなアミューズメント施設とは一線を画すものでございます。まさに昭和のゲーセン。しかし、画面ではよくわからないけれど、けっこう混んでいたんだよね。


ベースボールレストランという新しい事業形態。


ここ、なんとなく既視感があったんだけれど、いま思い出した。むかし訪れた大阪駅前ビルと同じ空気だわ。


階段の脇に隠し通路あり。おれは見逃しませんよ。


テナント用のゴミ捨て場でした


でも、こういう冷たい雰囲気がスバラシイ


地下からあがり、1階を通過して2階へ向かいます。案内表示にはHappy Roadとある。


さわやかスマイルのまち? なんだろ。よくわかんないけど、なんか明るい雰囲気だよね。


そしておれは2Fに足を踏み入れたのだが――


あれ、なんだ? お姐さんが店の前に立っている。マッサージ? そして周りを見渡すと……


YABEEEE! 完全にド風俗街じゃん。通路も狭いから客引きの圧がハンパない。完全にバイオハザードやっているかんじ。冷静に写真なんて撮っていられません。


さすが昭和サラリーマンの街。ちょっと階段を降りれば、みんなでご飯食べたりチケット買ったりしているのに。このギャップがすさまじいわ。


3Fはどうなっているんだ? 医療施設などのフロアか。急展開すぎてついていくのがしんどい。


ここも、休日だからなのかシャッターが目立つ


内科? 外科? なんとなく元気になりそうなのはわかった。


PCRも、もはや誰も受けていないだろうなぁ。


そして、こんだけ医療機関が密集しているフロアの端っこにあるのがここ。どーなってんだ🤪


新橋のゴッドハンドも――


帰郷中でした。う~ん、残念。


4階はもう案内すら出ておらずノーヒントです


こんなところに囲碁会館があった


年齢層はかなり高め


これほど見るものを拒むフロア案内図も珍しいよ。目がチカチカするわ😵


鉄道グッズを扱っている店があり


駅名の表示板など、けっこういい値段で販売されていました


とつぜん現れた木製の扉。民家? 高級クラブ? でも、ニュー新橋ビルだしなぁ🤔


そしてダンジョン脱出! 企業戦士たちの安息地を垣間見た気がしました。駅前再開発に合わせてこのビルも取り壊される予定なんだけれど、ずいぶん前から足踏み状態となって今に至る。でも、正直時間の問題なので、亜空間を感じられたい方はお早めに🥳。