コミュニケーションの取れない子どもの対応のしかた(心理学の『自己開示』の話)

こんばんは、ジョゼ佐藤です。
今回は、

コミュニケーションの取れない子どもの対応のしかた

です。
小話です。3分で読めます。
よろしくお願いいたします。

先日、私の妹からこんな相談をいただきました。

Y(甥、6歳、年長。以下、Y)が、幼稚園での自分の話を全くしてくれない。ウチが「今日、幼稚園でどんなことがあった?」と質問をしても、なかなか答えたがらないんだよね…

Yにはコミュニケーション能力をつけてもらいたいから、夕飯のときにはできるだけYの話の聞き役に徹して、話をしやすいようにはしてるんだけど、幼稚園の話に関しては話したがらないんだよね。
だからどうしたらいいのかと思ってるのよ。

とのことでした。
その妹の相談に対しての、私の回答です。

私:うーんと、この話でYのコミュニケーション能力に問題があるとは思えなくて、オレから見ると、親のN(私の妹)のコミュニケーションの取り方に工夫をする必要があるんじゃないかな。

N(私の妹。以下、N):というと?

私:Yは、幼稚園での話を「話したがらない」というよりは、「話し方がわからない」「自分のお母さんに何を報告したらいいか、わからない」んじゃないかな。

N:ほぉ。たとえばどんな?

私:例えば、Nは夕飯のときなんかに、「今日は仕事でどんな出来事があったか?」とか、「自分が幼稚園児の頃、どんな出来事を経験したか?」といった話を、親である自分から話したことはある?

N:言われてみれば、あまりしたことが無い気がする…

私:そんな気がしたよ。で、もしもNが夕飯のときなんかに、そういった《自分の話》をYにしていれば、YはそのNの話を「夕飯のときにする話のお手本」(話の仕方)と捉えて、自分が幼稚園の話をするときにもNのマネをして同じような話をしてくれるんじゃないかな?

N:うん。

私:たけど、Nやパパが自分から《自分の話》を率先してしないから、Yにしてみたらお手本がどこにも存在しないから、「話し方がわからない」「自分のお母さんに何を報告したらいいか、わからない」という状態になってしまうんじゃないかな。

N:言われてみれば、そうだよね。

私:そうなんですよ。だからオレは、Yと話す機会があったら、まずは自分から「オレはね、幼稚園の頃は嫌いな食べ物が多くてね、いつも給食を残しては、先生に怒られていたんだよ(笑)」とか「オレはね、幼稚園の頃は運動するのは好きだったんだけど、運動会でコケたり、鉄棒から落ちたり、失敗ばかりしてたんだよ(笑)」といった自分の失敗談を笑い話にして話してるよ。

N:へぇ…

私:だからそれを聞いてるYも、「ああ、おじさんてそういう人なんだぁー。それなら自分もそういう話をしたっていいんだよな!」などと安心して自分の話をするようになるんじゃないかな?

N:そうだね、そうかもね。

私:うん。これはね、心理学で言うところの『自己開示』という話で、まずは相手に、

◎自分がどういう人なのか
◎自分はどういう考え方の人なのか

ということを先に伝えて、相手に自分というものを知ってもらって、相手を安心させて、信頼関係を築き始めるということで、コミュニケーションを取る上で非常に大事な作業のことなんだよ。

N:ふうん。

私:特に幼い子どもなんかは、まだ『コミュニケーションの取り方』なんてものを教わっていないし、もちろん身に付いていないから、自分の親に対しても、「どうやってコミュニケーションを取ったらいいのか?」ということも理解していないよね?

N:そうだね。

私:それは単に、親が自分から《自己開示》をしていないから、子どものほうも、「自分の親が何を考えているかわからないから、自分のほうからは何を話したらいいのかわからない」(という不安がある)という状態なんじゃないかな。

それだったら、親が自分のほうから《自己開示》を積極的にやっていけば、子どもも安心して親に自分の考えを話したくなるし、お手本を示してもらえれば、尚更夕飯のときにも話しやすくなるんじゃないかな。

N:そうだね、それはやってなかったな…

私:自己開示って、難しい話をしなくても、ありのままの自分の考えを伝えるだけでいいんだし、難しいことじゃないから、今日から気軽にやってみたらどうだろう?

N:そうだね、自分の話なら簡単に話せるから、すぐにやってみるよ。

私:うん、がんばって!

~ 数日後 ~

N:あのさ、この前の《自己開示》の話。

私:うん、どうだった?

N:うん。まずは私が自分の仕事の話や幼稚園児の頃の話をしたら、Yも笑って聞いてくれるようになって。そしたらYのほうからも、すぐに自分の幼稚園での出来事の話をしてくれるようになったんだよね。《自己開示》をして自分の話をするのって、本当に大事なんだということがよくわかったよ。

私:そうだったんだ、それはよかったねぇ。

N:うん、それにすごく簡単だったし、Yは前よりもコミュ力が上がった感じがするし、本当によかったと思う。ありがとう。

【終】

とのことでした。

子どものコミュニケーション能力の向上のためには、まずは親が自分から《自己開示》をし、自分の話をすることで、「話の仕方」や「コミュニケーションの取り方」を子どもに教え示していく…これが子どものコミュニケーション能力の向上の第一歩の作業になるかと思います。

子どものコミュニケーション能力に不安のある親御さんは、子どものコミュニケーション能力に嘆く前に、まずは御自身のコミュニケーション能力、《自己開示》から考えてみてはいかがでしょうか。

私からは、これを読んでくださったあなたが《自己開示》をし、子どもとのコミュニケーションが今よりもっと円滑円満になることを祈っております。

このたびはご清聴を誠にありがとうございました。

以上

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