「ごめん、自分がまちがっていたよ」と子どもにあやまれますか?(サッカー指導+アドラー心理学)

こんばんは。
ジョゼ佐藤です。
今回は、「指導者が自分のまちがいを認めること」についての話です。
先日、若手の指導者の方から、こんな相談をしていただきました。
私も若い頃、同じことで悩んだ話です。

高校生の外部コーチをしています。指導をして半年が経過するのですが、選手たちの上達が目覚ましくなく、試合でも良い結果を出せられなくて、関係も悪くなってきています。指導者である自分に間違いがあると思ってはいるのですが、指導者の立場の自分が選手に「ごめん。自分が間違っていたよ」というのは果たして良い事なのでしょうか?選手に謝ることで、選手から舐められたり、信頼感を失うこともあるんじゃないかと思っています。

とのことでした。
私もこの若手指導者の方と全く同じ状況で同じ悩みを抱えたことがありますので、即答で回答いたしました。

これは絶対に、選手の前で素直に自分のまちがいを認めて、しっかり謝罪をし、「やり方を変えていきましょう」と伝えたほうがいいです。

と。

私自身、指導者という職務と心理士という職務に就いていますが、そのどちらの仕事においても、自分に間違いがあると判断した場合は素直に自分のまちがいを認めるようにしています。
なぜなら、指導者が自分の間違いを素直に認めて、「やり方を変えよう」という意思を選手に示したほうが、選手の信頼感を失うこともなく、選手のやる気を下げることもなく、選手に『これは自分に利益がある(得をする)』ということを感じてもらえるからです。

これは絶対に、選手の前で素直に自分のまちがいを認めて、しっかり謝罪をし、「やり方を変えていきましょう」と伝えたほうがいいです。

するとその若手指導者の方は、素直に私からのアドバイスを受け入れてくれて、すぐに指導の中で選手たちに、

「この半年間の自分の指導の仕方は、自分から見てもまちがっていたよ。だからまずは皆に謝りたい。本当にごめん」

「君たちが練習に気持ちが入らなくて、試合も上手くいかなかったのは、自分のやり方が間違っていたからだと思う」

「だからこれからは、今までとはちがうやり方で練習をやってみようと思うんだが、みんなはどう思うかな?」

と伝えました。
するとそれまでいつも顔がこわばっていた選手たちの表情は次第にやわらぎ、笑顔を見せてくれる選手も現れるようになりました。

また、選手の中には、

『今まで自分は◎◎さんのことを“恐い人”だと思って話しかけられなかったけど、謝ってもらったからなんだか近寄りがたい存在じゃなくなりました』

と言ってくれる選手も出てくるようになりました。その若手指導者の方は、

「まだまだ自分には至らないところがありますし、練習はまだまだ改善点がたくさんあると思いますが、選手との関係は少し良くなった感じがしているので自分に自信を無くすことがなくてなんとか指導もがんばれています」

とのことでした。
本当によかったですね。

大人が「自分のまちがい」を認めると、子どもにどんないいことがあるのか?

大人が「自分のまちがい」を認めると、まず子どもたちに湧き起こるのが、

“自分に自信を持てるようになる”

です。アドラー心理学の基本的な考え方の『私は対等な人間関係を重んじます』という考え方が子どもにも伝わるので、子どもは自分自身への価値(自信)を持てるようになります。自分自身への価値を持てるようになると、「自分はがんばってもいい人間なんだ!」「自分はがんばって他人から否定されることなく自分を認められる人間になれるんだ!」などと思うようになり、自分に自信がつくことで自分のための練習や活動へのやる気が上がるようにもなります。

また、

“指導者だって間違えることもある”

=“人間誰だって間違えることもある”

=“僕も間違ったことをしたっていいのだ”

結論:自分も間違ったことをしても、素直に自分のまちがいを認めて、やり方を変えれば、いくらでもやり直すことができる

ということを学習できるようになります。
つまり、自分自身への勇気づけができるようにもなるのです。

逆に、大人が自分のまちがいをいつまでも認めない、いつまでも謝らない、自分の威厳を保とうとがんばってしまうことでは、いつまで経っても子どもは『自分自身への勇気づけ』ができないんじゃないかと思います。

先に述べた、

“自分も間違ったことをしても、素直に自分のまちがいを認めて、やり方を変えれば、いくらでもやり直すことができる”

ということを学習できないんじゃないかと思います。
子どもは常に成長する生き物ですし、大人もそうでありたいですし、指導者と選手がお互いに成長し、『新しいことに挑戦する』ということができてこそ、指導者と選手は共に成長ができると思います。

『新しいことに挑戦する』ということのために、自分のまちがいを認め、選手に謝り、やり方を変えていく

私だって指導をしていれば間違えることもありますし、指導のエラーを起こすこともあります。指導者を何年やったって、『完璧な指導』『100点満点の指導』なんてものは一生たどり着くことがないのですから、間違いやエラーを起こして当然です。
当然のことなので、そのたびに選手たちにはきちんと頭を下げて謝ります。これはお互いの信頼関係のためでもありますし、選手にその姿を見せることで「こういう人もいるんだ」とことを学習してもらうためでもあります。

指導者と選手が『新しいことに挑戦する』ということのためにも、この、アドラー心理学の考え方を用いた、

“自分も間違ったことをしても、素直に自分のまちがいを認めて、やり方を変えれば、いくらでもやり直すことができる”

ということを伝えていってみてはいかがでしょうか。

以上が、今回がテーマのお話になります。
ここまで熱心にお読みになってくださった方にとっても、教えている選手(子ども)たちにとっても、今日よりも明日のほうが少しでも成長をされていることを、私は祈願しております。

このたびはご清聴、誠にありがとうございました。
以上


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