COVID-19 mRNAワクチンに関する古く論破された #デマ 情報を売り込むウェブサイトがあるようです。
SciCheck Digest
ドイツの製薬会社Bayerの幹部が、世界保健サミット2021で、バイオテクノロジーのイノベーションの例として、COVID-19に対して使用されるmRNAワクチンに言及しました。しかし、あるウェブサイトの投稿では、この幹部の言葉を文脈から切り離して使用し、ワクチンが遺伝子治療であると言ったと #喧伝 しています。
Full Story
CDCによりますと、メッセンジャーRNAワクチン（mRNA）を使ったCOVID-19の予防接種を米国で2億人以上が受けており、このワクチンは人のDNAを変化させることは出来ないと説明しています。
このmRNAワクチンは、被接種者の細胞にスパイク・プロテインの作り方を指示し、COVID-19の原因となるウイルスから体を守る免疫反応を起こさせることで効果を発揮します。メッセンジャーRNA（mRNAの "m "はメッセンジャーを意味する）は、DNAのある細胞核に入ることが出来ず、DNAと交わったり統合したりするための酵素も持っていないと、フィラデルフィア小児病院のワクチン専門家Paul Offit博士が、ワクチンが利用可能になった直後に投稿したビデオで説明しています。
「メッセンジャーRNAがDNAを変化させることはあり得ません。その可能性は小さいどころかゼロです。」と彼は言います。
イギリス、カナダ、オーストラリア等、他のいくつかの国の保健省も、mRNAワクチンは人のDNAを変えないと説明しています。我々はまた、他の 多くの人々 がなした ように、ワクチンをDNAを変えることが出来る「遺伝子治療」であるという #大嘘 な主張について書いてきました。
しかし、この #デマ は根強く残っています。
Valuetainmentというウェブサイトが最近、この #デマ 主張を掲載したのですが、これは元々数ヶ月前に話題になったものです。
Valuetainment社は、実業家のPatrick Bet-Davidが運営しており、1月にフロリダ州に440万ドルの事務所を購入し、そこでウェブサイト事業を展開しています。Bet-Davidは以前にもワクチンの使用を思いとどまらせたことがあります。Joe Roganの番組に出演した際、彼はCOVID-19の注射を受けるつもりはないが、軍隊にいたときに少なくとも11種類のワクチンを受けたことがあると述べたのです。「私自身、沢山のワクチンを接種してきた。私が少しずれているのは恐らくそのためだ。」と述べました。
6月20日、Valuetainment社は、「mRNAワクチンが暴露された！Bayer社 はCOVID-19ワクチンが遺伝子治療であることを認める」という見出しの記事を掲載しました。
これは、ドイツの製薬会社Bayerの幹部であるStefan Oelrich氏が、《世界保健サミット2021》で講演した10月24日のビデオに基づくものです。
講演の終盤で、Oelrich氏は医療イノベーションの一般受容性について語りました。
Oelrich氏談（2021年10月24日）：
今夜はイノベーションについて色々とお話を伺いましたが、《万人のための健康》、それは確かにライフサイエンスのエコシステムのあらゆる面にイノベーションを埋め込み、現在の勢いを活かしてCOVID-19以外の問題にも取り組んでいくことだと思います。この危機の間、私達はワクチンをその完璧な例として見てきましたが、バイオテクノロジーの分野におけるイノベーションは、他の多くの病気、特に［非感染性疾患］に対する私達の見方を根底から覆すものでもあります。私達は今、前向きに考えているように、単に症状を治療するだけでなく、それらの病気の多くを治すことを考えることが出来るのです。イノベーションは、私達が忘れがちなことですが、特に豊かな国々では、全く異なるレベルでの持続可能性でもあります。何故なら、本当に意味のある方法でイノベーションを推進するために飛躍し、投資し、リスクを取って［研究開発］に投資した人々は、投資をした人々のために雇用保障と繁栄を生み出すことによって、持続可能性も手に入れることになるからです。このことは、このあたりの地域にとっても本当に重要なことだと思います。私達Bayer社は、細胞・遺伝子治療において飛躍的な前進を遂げています。最終的にはmRNAワクチンがその一例です。細胞・遺伝子治療について、私はいつも言っているのですが、もし2年前に一般の人に「遺伝子治療や細胞治療を受け、それを自分の体に注射してもいいと思うか」というアンケートを取っていたら、恐らく95％の人が拒否していたでしょう。今回のパンデミックによって、多くの人々が、以前には考えられなかったようなイノベーションに目を向けるようになったのだと思います。
Valuetainment社は太字の部分だけに注目し、Oelrich氏の発言を引用して、「最終的にmRNAワクチンは、遺伝子治療を販売するための一例である」と述べているのです。音声と文脈から、彼は 「販売」ではなく、「細胞」と言ったことが分かります。
医療における創意工夫の価値を強調し、新しい治療法や予防法が一般に受け入れられつつあることを賞賛した彼のスピーチの文脈からすると、彼はワクチンを、Bayer社が取り組んでいる細胞・遺伝子治療のような他の開発への道を開く新技術の一例として使ったように思われます。
Oelrich氏のスピーチについて、Bayer社から明確な返答は得られませんでした。しかし、イタリアのニュースメディアOpenは11月にこの主張について書き、英語に訳すと以下のようになるBayer社の回答を掲載しました：明らかに口が滑った。Bayer社によれば、mRNAは総じて言えば遺伝子治療ではない。
同社はまた、COVID-19ワクチンがどのように機能するかを説明するページをウェブサイトに設けており、そこには、mRNAワクチンが何らかの形でDNAを改変することが出来るという神話を否定するセクションが含まれています。
従って、現在流布している主張は、安全で有効であることが証明されているワクチンに関する既に論破されたデマの焼き直しに過ぎないのです。
編集者注：SciCheckのCOVID-19/Vaccinationプロジェクトは、ロバート・ウッド・ジョンソン財団からの助成金によって実現されています。同財団はFactCheck.orgの編集上の決定を制御することは出来ず、我々の記事で示された見解は必ずしも同財団の見解を反映するものではありません。このプロジェクトの目標は、COVID-19とワクチンに関する正確な情報に触れる機会を増やし、誤った情報の影響を減少させることです。
Sources
Centers for Disease Control and Prevention. “COVID-19 Vaccinations in the United States.” Accessed 23 Jun 2022.
Centers for Disease Control and Prevention. “Understanding mRNA COVID-19 Vaccines.” Updated 16 Jun 2022.
National Health Service. “Why mRNA vaccines aren’t gene therapies.” 11 Jun 2021.
Australian Government Department of Health. “Is it true? Can COVID-19 vaccines alter my DNA? No, COVID-19 vaccines do not alter your DNA.” 10 May 2022.
Fichera, Angelo. “Texas Doctor Spreads False Claims About COVID-19 Vaccines.” FactCheck.org. Updated 10 Feb 2022.
Children’s Hospital of Philadelphia. “Can mRNA Vaccines Alter a Person’s DNA?” 10 Feb 2021.
World Health Summit. “KEY 01 – Opening Ceremony – World Health Summit 2021.” YouTube. 24 Oct 2021.
Puente, David. “No! A Bayer executive has not admitted that mRna vaccines are gene therapies.” Open.online. 10 Nov 2021.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？