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反体制ハードボイルド小説『黒ヘル戦記』

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『情況』(変革のための総合誌)に掲載された連作小説。 一九八〇年代から九〇年代にかけて、首都のど真ん中にキャンパスを持つ外堀大学はたびたび学園紛争に揺れた。正門にバリケードを築き… もっと読む
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#中核派

「黒ヘル戦記」の番外編【短編小説】1985年、夏の一日

「黒ヘル戦記」の番外編【短編小説】1985年、夏の一日

1985年、夏の一日

【あらすじ】
 1985年、五郎は外堀大学に入学した。病気で高校を留年したため、2年遅れての大学進学だった。外堀大学には同じ高校の卒業生、秀樹がいた。同じ歳の先輩・秀樹のおかげで、五郎の大学生活は順調にスタートした。「この借りはいつか返す」と五郎は秀樹に約束した。しかし、夏のある日を境に秀樹は姿を消す。ゲリラ戦を戦うため、地下に潜ったのだ。そして、秋、二つの事件が起きる。1

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黒ヘル戦記 第七話 失踪者(後半)

黒ヘル戦記 第七話 失踪者(後半)

『情況』2022年冬号に掲載された反体制ハードボイルド小説

 1985年11月29日、マルゲリ全学連の決死隊は浅草橋駅を襲撃した。船戸健一はその実行部隊の一人。船戸は公安の追跡を振り払い、そのまま逃亡生活に入った。
 この物語は、人生の大半を逃亡者として過ごした男の愛と戦いの記録である。

 1 活動家の世界には「ゲバ名」というものがある。ゲバ名は活動家が使う偽名のことで、有名なところでは、レー

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