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ルカ福音書2:22∼40「シェガレ神父の説教」

聖家族 ルカ2,22〜40 
シメオンとアンナ 渋川 2023
 
 マリアとヨセフは当時の習慣に従って幼子を奉献のためにエルサレムの神殿に連れて、鳩の二羽という貧しい庶民の生贄を捧げました。
 長い旅のため疲れきった3人はやっと着いた時にシメオンという高齢者の男性が現れて、3人を温かく歓迎しました。救い主をひたすら待っていたシメオンは聖霊に導かれて幼子を見て、腕に抱っこして、神をたたえ、「わたしはこの目であなたの救いを見た」と言い、家族の3人を祝福します。そして彼はマリアに向かって、幼子が受ける運命の困難さを率直に予言します。この子はある人にとって「つまずきの石」とされて迫害を受けるが、ある人にとっては頼りになる「貴い隅の石」とされます。マリア自身にも「剣で心を刺し」ことを予言します。 
もう一人の高齢者アンナと言う人が登場し、3人の聖家族を歓迎します。84歳の彼女もシメオンと同様に毎日神殿に通い、祈りをし続け、「エルサレムの救いを待ち望んで生きていた」と言われています。夫から死に別れていた彼女は、聖書に身寄りのない独り暮らしの「やもめ」がよく出て、社会の中の最も弱い人の典型でした。その後生まれた初代教会では、アンナのようで主人が早く死別された未亡人は温かく保護されて、祈りに専念していました。 聖書は、救いを待ち望んでいたシメオンとアンナは正しい人だと強調しています。「主よ、今こそあなたは、お言葉どおりこの僕を安らかに去らせてください」というシメオンの賛歌は、今も「寝る前の祈り」とされて、どの修道院でも一日の祈りを締め括る美しい歌です。シメオンのこうした祈りは、天国の憩いを願うわたしたち自身の祈りともなれるではないしょうか。わたしたちも見えない聖霊の導きによって、シメオンやアンナのようにイエスと出会う喜びを味わい、安心して死を迎えられたら幸いです。
渋川教会を始め、世界のどの教会でも、シメオンとアンナのような、教会に奉仕する高齢者の方は多くいます。彼らは教会にとって貴重な宝で、世代間の橋渡し役を果たし、豊かな経験に根ざした知恵を次の世代に伝える大切な役目をもっています。また彼らは教会共同体の記憶となり、遺産を守っている方です。今日は彼らに感謝すると同時に、すべての家族の上に神の祝福があるよう祈りたいと思います。

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