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シリーズ/統計で見る理美容業の現状⑤ 他産業と比較した理美容の売上(収入)金額~総務省統計「令和元年経済センサス基礎調査より」~

 昨年12月25日に公表された「令和元年経済センサス‐基礎調査」より、理美容業の経営環境を俯瞰するシリーズ最終回。今回は年間売上(収入)から割り出した「1事業所当たり」「従業者1人当たり」の売上を、産業別で比較した。隣の芝はどれだけ青く見えるのか。

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 理・美容業のみの売上(収入)をクローズアップした際、利益を出すのが難しい業態であることに触れた。1人の美容師が労働時間内にマンツーマンでのサービスを提供するというビジネス形態は、こなせる客数に限界があり、さらに売上を高めようとするならば、相応の価値を乗せて料金に反映させるしかない。

 こうして他の産業との比較でも、従業者1人当たりの売上は高いとは言えず、同じ「生活関連のサービス業」の平均の3分の1前後にとどまっている。もっとも売上額の大きい産業の多くは、それ相応の設備投資が必要になるため、利益効率が悪いと一概には断定できないが、いずれにしてもビッグビジネスにつながりにくい職種であることは否めないところだ。

 1事業所当たりの売上としては、「医薬品・化粧品小売業」と同程度であるが、少ない人数でのサービスが可能なので、従業者1人当たりの売上は大きい。従業者1人当たりの売上で似通っているのは「宿泊業、飲食サービス業」だが、こちらは生産性に直結しないサービスの労働力を数多く必要とするケースが顕著に見られ、事業の規模感としては、理美容を大きく上回っている。