【英語】間接目的語って何だろう
こんにちは。
再び、英文法にただ文句を言うだけの記事です。
「間接目的語」。。。
英語を学ばれた際に皆さん誰もが耳にしたことのある用語だと思います。
「give」や「send」「buy」など、2つの目的語を取る動詞を習うときに、突如として現れた「間接目的語」。
対になる概念は「直接目的語」。
普段は「目的語」として知られる文法用語の本名です。
間接目的語は、例えば下記のような文に現れます。
護衛のように、必ず「直接目的語」を後ろに連れ添います。
決して独り立ちできない目的語なのです。
I give my girlfriend a ring.
I buy my girlfriend a ring.
この場合、どちらの文でも「my girl friend」が「間接目的語」、「a ring」は「直接目的語」となります。
5文型(懐かしい…)で言う、第4文型の「SVOO」の文です。
ちなみに、この間接目的語は、文から消えることができます。
第3文型(だっけ…?)「SVO」の完成です。
I give a ring to my girlfriend.
I buy a ring for my girlfriend.
この「to my girl friend」の部分も「間接目的語」だと説明している英語サイトを見かけたのですが、大間違いです。
文法用語を使うのであれば、正しくは「前置詞句」です。
その証拠に、ちゃんと「to」や「for」という前置詞で始まっています。
細かいことではあるのですが、ここは口を酸っぱくして言っておかないと、
「自動詞」と「他動詞」の区別ができなくなります。
「他動詞」は「目的語を取る動詞」と定義されるのに、
前置詞句までも「間接『目的語』」であると説明してしまうと、
例えば「I talk to my sister」という文では「to my sister」が目的語だから、「talk」は他動詞だ、なんてことになりかねません。
(talkは自動詞です。目的語がないためです)
こういう言説がまかり通っているところを見ると、
英文法は単純である分、分かりにくいのかな、と言う印象を新たにします。
閑話休題。
改めて考え直してみると、「間接目的語」ってSVOOの文でしか出てこないんですよね。
不思議だと思いませんか?
と言うのは、日本語では「に」を使う場面はたくさんあるからです。
でも、英語の「目的語」って、ほとんどが「直接目的語」なんですよね。
ゲルマンの言語本来の複雑さをある程度残しているドイツ語から類推すると、
I help you. の youや、
She looked him in the eye. のhimも、きっと間接目的語なんでしょうが、
今の英文法では、これらは全て「直接目的語」です。
というか、「間接」「直接」という断りがない限り、英語のあらゆる目的語は全て「『直接』目的語」と言ってよいでしょう。
それだけ、この「間接」「直接」という区別は、実はSVOOの文型を離れると、ほとんど意味のないものになるのです。
実は、「give」や「send」と言った、「間接目的語が必要」と教わる動詞でも、間接目的語が不要な場合があります。上の書き換えの例のほかに、
I give my best.(頑張ります)
Please send my regards. (よろしくお伝えください)
と言った場合です。
なので、やはり他動詞にとって一番大事なものは「直接目的語」であって、「間接目的語」は英語の動詞全体で見るとレアケースなわけですね。
じゃあ、なんでわざわざ「間接目的語」なんて専門用語を習わされるのか。
逆に、「間接目的語」なんていう、レアな概念をわざわざ持ち出さないといけないほど、
「SVOO」の文型は英語としては古風なものということかもしれません。
昔に比べて、そして他のヨーロッパの言語に比べて、英語の単語はちょっとしか形が変化しません。
「間接目的語」と「直接目的語」も、別に単語の形を見ただけでは区別がつきません。見分けることができるのは「順番」だけ。
これだと相当意思疎通に困る上に、表現の幅も狭くなるので
本来間接目的語だったものは、「to」や「for」などの前置詞を付けることで、意味をはっきり分けるようになりました(僕の邪推です)。
これは、日本語で言えば、「に」という多くの意味を持つ助詞の意味を明確にするために、「において」「に対して」「によって」と言った言い換えが存在することと、少し似ているかもしれません。
多義的だと、意味の区別が曖昧になり、文意が分かりにくくなるのです。
ということは、SVOOを取れる動詞は、その中で淘汰されずに生き残った文ということになります。
どんな文かというと、少し抽象的な言い方になりますが、
「登場人物(物でも良いです)が2人いて、その2人が『してあげる・してもらう』の関係になる」
という場合です。
「give」には、与える宛先が(多くの場合)必要です。
「buy」は、「買う」動作自体は主語1人でできるのですが、「誰かのために」とか「誰かの代わりに」買うときには、この「してあげる・してもらう」の関係が生まれます。
これについて言えば、目的語が二つあっても、その関係は明確であり、結局このまま残った、ということなのでしょう。
なので、「間接目的語」というのは、本来は英語でもっと多く使われていたはずですが(昔は英語の名詞なども今よりずっと変化していたので)、
時代が下って英文法がかなり簡略化されてしまったため、変に目立つ言葉になってしまったのだと思います。
ちなみに、SVOOからSVOへの書き換え問題で、「to」か「for」かどちらを選べばいいか、という問題、学生時代によくやったと思います。
あの見分け方は割と簡単です。
「for」には「~のために」だけでなく「~の代わりに」という意味があります。
SVOOからSVOへ書き換える際に、「~の代わりに」と訳して違和感がなければ「for」を使い、違和感があれば「to」にすればいいのです。
I buy a ring for my girlfriend.
「私は彼女の代わりに指輪を買う」
贈り物のはずなのに何か立て替えている感がして変なのはさておき。
よくよく考えてみれば、彼女が自分で指輪を買う「代わりに」、自分が指輪を買っているわけです。
同じ理由で、「to」を本来使う「send」に「for」を使うと、次のように意味が変わります。
I send an email to him. 私は彼に向けてメールを送る。
I send an email for him. 私は彼の代理でメールを送る(誰宛てかは不明)。
「間接目的語」。。。
「目的語(O)」がほぼ「直接目的語」と同義である中で、ひときわ異様に響くこの言葉。
昔英語がもっと複雑だった時代を今に伝える名残なのかもしれません。
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