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【英語】定冠詞のキホン(1)

英語の定冠詞には色々な使い方があります。
この記事ではその中でも特に重要な2つの使い方を紹介します。

ずばり、
「同じものの中で、ある特定のものを際立たせる」
「異なるものの中で、ある特定のものを際立たせる」
です。

ここから先は「the orange」という言葉を例にして、それぞれの使い方を順に見ていきたいと思います。

①同じものの中での特定

1つ目は、「同じものの中で、どれか特定のものを際立たせる」です。

カテゴリー:オレンジ 区分はここまで!(=サブカテゴリーは無し)

上のように、たくさんのオレンジがある場面を想像します。
実際は1つ1つは少しずつ形や大きさが異なるのですが、これらの違いには目を向けず、全て同じ「オレンジ」であると見なします。

「the orange」は、この「オレンジ」というカテゴリーに属する「ある特定のオレンジ」を際立たせるときに使います。

オレンジだらけの中から、特定のオレンジに目をつける

この使い方は分かりやすいと思います。
定冠詞はよく「その」と便宜上和訳されることがありますが、まさにこの使い方がそれに該当します。最も一般的な使い方ではないかと思います。

②異なるものの中での特定

一方で、もう1つの使い方は、「異なるものの中で、ある特定のものを際立たせる」です。

①と異なる点は、同じカテゴリーに属するもの同士の間に違いを認める点です。いわば「サブカテゴリー」を導入した場合ということです。

これも例をお見せしながら説明します。


今回は、カテゴリーの中に更に区分(=サブカテゴリー)をつくる場合です

たとえば、皆さんの目の前にさまざまな「果物」があるとします。

しかし、「果物」と言っても、先程とは違って目の前にあるのはオレンジばかりではなく、ブドウやリンゴ、バナナ、ピーチなど、バラバラです

この時「the fruit」と言っても、聞き手にはどの果物か分かりません

「ブドウでもリンゴでもなく、私が言いたいのは『オレンジ』です」
と言いたいときには、どうすれば良いでしょうか?

そう、「the orange」と言えば良いのです

他の果物と区別して「オレンジ」と言いたいときに「the orange」を使うのです。

カテゴリー:果物 サブカテゴリー:オレンジ、リンゴ、バナナ、ブドウ、ピーチ

このように、あるカテゴリーの中に属するもの同士を対比するときに「the」を用いるのが、「the」の2つ目の使い方です。

そして、この用法の場合には、「the orange」と言う場合でも、その上位カテゴリーである「果物(the fruit)」が念頭にあります

2つ目の用法の使い方いろいろ

この「the」の使い方は身近なところで見つけることができます。

たとえば「方角」

「the west」「the east」「the north」「the south」
これらは基本的に定冠詞をつけます。

これは、「the west」と言うとき、「東や南ではなく『西』」と、他の方角との対比が話者の頭の中にあるためです。

ほかには「起きてから寝るまでの時間帯」

「in the morning」「in the afternoon」「in the evening」
この場合は基本的に定冠詞をつけます。

英和辞典や英英辞典を調べると気づきますが、
「morning」は「目覚めてから正午ごろまで」
「afternoon」は「正午から午後6時(日没)ごろまで」
「evening」は「日没から寝るまで」

が基本的な意味(第一義)として書かれています。

つまり、「起きてから寝るまでの時間帯」を3つに区分しているわけです。

「night」は英英辞典では「通常、人々が寝ている時間帯」であり、
上記の「起きてから寝るまでの時間帯」には入りません

区分の必要がないため、「night」は通常「at night」と無冠詞です。

もちろん、これらの単語は実際にはもっと広い意味と時間帯を指すので、あくまで「基本の意味」と捉えてください。

カテゴリー:起きてから寝るまでの時間 サブカテゴリー:朝、昼(午後)、晩

更には「演奏する楽器」

演奏する楽器に定冠詞がつくのは、オーケストラや吹奏楽など、合奏に参加する別の楽器パートと区別するためです。

「play the trumpet」という時は、
「あのトランペットではなく、そのトランペット」という意味ではなく、
「(クラリネット等ではなく)トランペット」という意味なわけです。

カテゴリー:楽器 サブカテゴリー:トランペット等々

***

「同じもの同士の中で、ある特定のものを際立たせる」
「異なるもの同士の中で、ある特定のものを際立たせる」

この2つの使い方は定冠詞の根幹なので、是非覚えてください。

同じ「the orange」でも、
「あのオレンジではなく、そのオレンジ」という意味で使う時と、
「リンゴではなく、オレンジ」という意味で使う時
があるんですね。

これから何回かに分けて定冠詞の使い方について記事を書いていきますが、中心となるのは2つ目の使い方のほうです。

1つ目の使い方は、定冠詞という概念のない私たち日本語母語話者でも比較的理解しやすいものだと思います。

定冠詞を「その」「例の」と和訳するのは、まさにこちらの使い方に則っているわけですし、「ザ・日本人」といった「ザ」の用法はまさにこの1つ目の使い方ですよね。

ですが、2つ目の方は結構厄介なんですね。

「その犬(the dog)」という言葉を聞いたとき、

頭の中に「あの犬」「この犬」が比較対象として浮かぶことはあっても、「猫」「パンダ」「ライオン」等が比較対象として浮かぶことはあまりないのではないでしょうか。

「the dog」には大きく分けて2つの可能性がある

そのため、これからは2つ目のほう、つまり
「カテゴリー内に違いを認める場合に、ある特定のものを際立たせる」
にフォーカスしようと思います。

それでは、導入編は以上です。

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