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サロンコラムを無料配信①。「新潮流2022」。

こんにちはジャーナリストの氏原です。
明日はいよいよクリスマスイブですね。

何がいよいよかは分かりませんが(笑)、2022年もラストスパートといったところでしょうか。

そんな年の暮れに、今回は僕がオンラインサロンに投稿しているコラムの一部を無料開放したいと思います。サロンを開設したのが2020年の10月。スタートから毎週1本、2000字以上のコラムを配信してきました。

僕がWEB記事で配信しても、甲子園期間を除けば、同じ媒体ではせいぜい2本までと考えるとかなりの量があります。

普段はこちらのnoteにてサロンコラムを有料販売しているのですが、今回はいつも読んでくださる皆さんにお礼を込めて、数本を無料配信したいと思います。すでに販売している分は避けるようにします。なので、よかったら、じっくりお読みください。また、感想の方もTwitterなどでご意見くださると嬉しいです。

第1回目の今日は2022年9月に「新潮流2022」と題して4本を配信しましたが、その第1回「投手マネジメント新時代」をお送りしたいと思います。

今回のテーマは、夏の甲子園を終えたばかりの今は、やはり、今大会で起きたことは振り返らなければいけないのではと思いました。仙台育英の初優勝で幕を閉じましたが、この優勝をどう受け止めるかは非常に大事なことではないかと思います。


昨年、智弁和歌山が優勝したときに「ひょっとしたら、高校野球界は一気に変革が進むのではないか」という話をしたと思いますが、「一気」とは言わないまでも、確実に進歩の方向へ向かっていると思います。


今大会はかなりいい方向だと感じたので、仙台育英の戦い方などここで既に話していることも多いですが、しっかりと整理しておきたいと思います。題して「新潮流2022」。第3、4週にはトレーナーの佐藤さんに登場していただき、トレーニングについての新潮流についても、少し触れてもらいたいと思います。


第1週目の今日は「投手マネジメント新時代」にしたいと思います。


新潮流2022 第1回 投手マネジメント新時代


今年の夏の甲子園優勝は昨年の智弁和歌山に引き続き、継投が上手くハマった優勝でした。

ただ、昨年はコロナの出場辞退があったりして、智弁和歌山に風が吹いていたのも事実ですし、多少エースに登板が偏っていたところはありました。

ところが今年の仙台育英はさらに進化系といいましょうか。
かなり上手くできたのではないかと思います。

今年の仙台育英は4人の140キロ投手をそろえました。聞けば、ベンチ外を含めると14人の140キロ投手がいたそうです。強豪私学はどんな選手が入学してくるかわからない公立校などと違って、いい選手が入部するのをある程度予測できるのは事実だと思います。

だから、「素材がいいんだ」と片づけることは可能であるとは思います。

とはいえ、14人も140キロ投手を育てられるのでしょうか。

これはプロにも共通して言えることですが、いい選手が入ったからといって必ずしも逸材になるとは限りません。いい育成をしない限り戦力は充実しないのです。

つまり「素材」で片付けてしまっていいのかということです。

そう言ってしまったら、成長はないような気がします。既存の選手を伸ばす努力をしたのだろうかと問いかけた時に、なんと答えられるかです。それこそ、仙台育英に入部した投手と同じ素材がきたとして、育成ビジョンを持っていますか?という話なのです。

そうでもないのに「素材が違うから」と言ってしまうのは言い訳に過ぎないような気がしてならないのです。

そして、今回の仙台育英が実現した継投策で忘れてはいけないことがあるのも事実です。

というのは今回の継投は選手がいたからこそできたものとはいえ、須江監督が執った采配を多くの指導者ができたのかというとあまり見たことがないんですよね。

つまり、素材がいるからといって、この采配ができるのか、できないのであれば、結局、素材がいても同じではないかということなのです。

ですので、素材がいるとはいえ、仙台育英の須江監督が施したマネジメントについて、整理する必要があると僕は思うのです。

今まで見たことがない采配

今回の仙台育英の継投策で度肝を抜かれたのは準決勝戦です。

この試合は大会も終盤に差し掛かっていることもあって、両先発の出来が試合を分けました。仙台育英の先発は高橋煌稀。聖光学院は初戦に先発して、3回戦でも登板があった小林でした。仙台育英の方がエース格で、聖光学院は2番手の投手でした。

試合は2回表、仙台育英が猛攻をかけて11得点。ほとんど試合を決めたと言ってよかったです。

その攻撃がどのようだったかは置いておいて、ここから見事だったのが仙台育英の采配でした。

なんと、高橋を2回限りで交代させたのです。

確かに、2回に二桁得点を挙げれば、勝利は確実なものになるでしょう。だから、エース格の投手をこのまま登板させる必要がないことは誰でも想像はできます。しかし、だからと言って、すぐに変えられるでしょうか。僕は4イニングぐらいまで引っ張るのが定石ではないかと思います。

実際、信頼のおける投手だとなかなか変えづらいのが現状ではないかと思います。

「決勝のため」だからと割り切れる決断。

それを受け入れられる選手の方も簡単ではないと思います。

報道などでは仙台育英の投手陣の球数ばかりが語られます。

これまでの優勝チームでは考えられないほど少なかった、と。

確かにそうなんですけど、僕は、そこよりもこの決断に度肝を抜かれました。

仙台育英・須江監督は優勝後にこう語っています。

「初戦の2回戦を終えた時点で、一番安定しているピッチャーは誰と言われたら高橋だった。そして一番ボールにキレがあり、威力があるのが斎藤蓉だった。そして一番経験が豊富なのが古川翼。この3人を軸にどこで回していくかっていうことを考えていました。そして、万が一有利な展開やイニングを送ってほしい展開の時は湯田と仁田が備えていると言う形にしていました」

この狙いを見事に遂行して、決勝戦を迎えた時点で、これまでの甲子園の常識ではあり得ない状況を作り出していたのです。

その状況とは、斎藤蓉、古川が中3日の十分な休養があり、準決勝で30球程度を投げただけの高橋が中1日で控えている、というものでした。

球数が少なかったことはもちろんのこと、これほどの休養を得ていた投手陣が高いパフォーマンスを出して優勝したということでした。

斎藤は7回を100球ほどで投げ切り、高橋が最後を締めたのでした。

素材を作ること。その上で、どういう采配をしていくべきなのか。
そのマネジメント法を示した優勝だったと僕は思っています。

今後も、投手起用においては、このようなマネジメントが主流になっていくのではと思います。

投手を育てるのは簡単なことではありませんが、今の時代は複数投手をどう起用していくかで、新たな勝ち方というのが模索されていくのではないでしょうか。県大会の1回戦でベストな状態を組めるのは当たり前です。しかし、試合は1試合ではありません。まだまだ続くので、大会を勝ち上がっていくために複数投手をどう起用していくか。

これからは「投手マネジメント新時代」に突入するのではないかと思います。

本日は以上です。


▽昔は通じなかった記事


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