スペインの外出禁止生活の実態とは
スペインでの隔離生活がはじまり早3週間。
元々お家で仕事できるし、引きこもり生活が好きなわたしは『やったー、ずっと家にいられるぞーー』くらいの気持ちだったのですが、
甘かった。やってみたら全然そんなハッピーはなかった。
なんなら不眠で寝られない日々が3日くらい続いている。3日間で寝たのは計6時間くらい。(いまはなんとか寝られるようになりました)
そこで今回はコロナくんで変わった生活について、回想録の意味もこめて綴っておきます。
少しの体調不良でビクビクしながら生活する日々
最初は一緒に住む相方が咳をしはじめて、「うわーコロナだーー笑」なんて冗談をかましながらのほほんと暮らしていたのですが、
あるときわたしも咳が出てきて、しまいには朝起きたあとに咳で息苦しくなり「えっ、これやばいやつ……?」と心配に。
そこからは倦怠感があるとか胸のあたりが痛いとか、ちょっとした体調不良でも「コロナだったらどうしよう……」と疑心暗鬼にかられるようになりました。
たぶん普通の日常であれば「風邪かな〜」とか「ちょっと疲れてるのかな〜」とかでそのまま過ごせるんですが、世の中がこんな状態だとそうは落ち着けません。
ほかのルームメイトに迷惑をかけたらどうしよう……と不安になることもあり(1人は医療従事者なので、もし移してしまったら大変なのです)、肩身の狭い思いで生活していました。
念のため家の中でも部屋から出るときはマスクと手袋着用、触ったところは除菌みたいなことをしてた日もありました。
症状が次々と当てはまり、弱っていくカラダ
最初はちょっとした体調不良から始まったのですが、だんだんと咳や胸の痛み、血がまじった痰が出てついに発熱。
どうしようもないくらいの倦怠感におそわれて、もうひたすらベッドに寝たきりでした。
少し前から鼻に違和感があって匂いを感じることが難しくなっており、何かを食べても味を楽しめず食欲もわかない。唯一カラダが欲したのはフルーツのみで、あとはもう栄養をとって免疫をつけるためにできるだけ食事をとっていました。
スペインではコロナの症状にかかったら特定の連絡先に電話をして指示をあおぐことになっているのですが、その番号にかけても一向に誰もでません。もちろんみんなかけるので、つながるのはかなり難しい。
結局私立病院の緊急窓口に電話をして症状を伝え、どうするべきか聞いてみると「解熱剤(パラセタモール)を飲んで、息苦しくなったり血の痰がもう一度出たりしたら病院に来て」とのこと。
感染者との接触経験や海外渡航歴を聞かれたので、おそらく条件に当てはまらない場合は病院での検査ではなく自宅療養のようでした。
乱れていく生活習慣
自宅待機期間は夜がなかなか寝られず、毎日朝7時8時くらいに寝て15時16時頃に目がさめる生活が続きました。
体調不良や相方の夜勤生活も影響したのですが、とにかく外に出られずカラダを動かさないので夜になってもカラダが疲れていないのです。だからあんまり眠気もこない。
寝っ転がっておくことしかできないので、ひたすらベッドでテレビを見る、何か食べる、寝るの繰り返し。
夕方に起きたら日本時間の夜0時を過ぎていることが多いので、日本にいる家族や友人からの生存確認にも「あ、、連絡返せないまま日本の一日が終わった、、」な状態が何日か続きました。ごめんなさい。
変な時間に寝て起きる生活から、不眠の生活に入り、今はなんとか夜に寝て朝起きる生活に調整できるようになってきました。
夜眠れて朝起きたときの喜びたるやもう。太陽を浴びたい!という一心でした。
ずっと家にいる生活はあまりに自由すぎて、一瞬でも気をぬくと生活習慣が乱れていくので注意が必要です。
すっかり変わってしまった街の様子
体調が戻ったあとゆっくりと休み、動けるようになったので買い物のため近くのスーパーと八百屋さんへ。
17日ぶりの外の世界。
本当に一歩も外へ出ていなかったので、さぞかし爽快感がすごいんだろうな〜〜と楽しみにしていたのですが、現実はそうではありませんでした。
朝10時頃でしたが通りにはほとんど人がおらず、みんなが寝ている早朝5時の世界みたいな感じ。
これまでマスクをしている人なんて街で一切見かけなかったのですが、今となってはマスクをしていない人が目につく始末。
スーパーに入るとまずは消毒をして手袋着用。商品に触るのでさえも少し緊張してしまいます。レジに並ぶのも間隔を十分あけて。
八百屋さんではつい癖でいつも通りに買い物をしていると、お店の人から「お嬢ちゃん、ちょっと距離あけて!」と声をかけられます。買い物中は常に周りに気をつけながら買い物しなければならないのです。
ちなみに他のスーパーは開店時から閉店まで常に列ができています。一度に入れる人数を制限しているため、スーパーに行っても入るまでに数十分待たなければいけません。
人との繋がりが失われた喪失感
外に出た帰り道、買い物の荷物を大量に抱えた女性が歩いていて、中に入っていたものがいくつか道に落ちて一生懸命拾っている様子に出くわしました。
とっさに「手伝いましょうか?」と声をかけたのですが「No!」と言われて終了。確かに人のものに触ることなんてできないし、そもそも近づくこともできない。
当たり前のNoだったのですが、周りの人に気軽に話しかけられない&困ったときに手助けもできないという事実にすごく悲しさを覚えました。
外に出てわたしがすべきことは、周りの人に近づかない、下手に話しかけない、できるだけ早く済ませて早く家路に帰る。それだけ。
正直外に出るだけでなぜか罪悪感のようなものを感じ、ただ買い物のためだとしても警察に見つかったら怖いな……罰金になったら嫌だな……なんて考えながら渋々外に出る。いいことなんて何一つありません。
家にずっといるなんて嫌だ!なんて声も聞きますが、今となっては「家にずっといるのが嫌=外に出られれば楽しいと思える」だけでも十分マシだと思います。
もう今は家にいて、何も気にせずいつも通りのような生活を送る方が圧倒的にマシなのです。外は怖い。色々と気にして疲れちゃう。
いっとき日本には帰れないという追い込まれ感
もしいま日本にいる家族に何かあったら。それでもわたしは日本に駆けつけることができません。
スペインから日本に帰る飛行機は運行停止しているので、帰る術はなく。どこかを経由して運行している便でなんとか帰国もできるとは思いますが、正直スムーズに帰れるかどうかは一か八か。
それに日本へ帰ったところで、スペインから帰ろうもんなら14日間の自主隔離が必要になります。ましてわたしの父は慢性疾患持ちなので、そんな父と会うことなどできません。リスクが高すぎて怖い。
おそらくこの状態は夏頃まで続くかもしれません。下手したら今年はずっと。5月6月に日本へ帰ろうと考えていた矢先だったのですが、すべて取りやめ。
まさに袋の鼠。出ようにも出られない。
秋くらいには日本に帰れたらいいなあ〜
辛い時期だけど、いいこともあるよ
コロナくんのおかげで誰もがみな辛い時期を過ごしていますが、いいことがないわけでもありません。
最初に感染者が増えはじめて街の様子が変わりだしたとき、もはや戦争に備えるような気分でお米やパスタ、缶詰などの日持ちがする食べ物を中心に買い揃えました。
相方も自宅勤務となり、もう1日中家で一緒に過ごすことになるので、「よし、この辛い時期を一緒に乗りこえよう」みたいな妙な結束感が生まれます。
たぶんわたしが一人ぼっちでスペインに住んでいたら、心細すぎるのと退屈なのと相まってかなりきつかったはず。体調不良で動けないときも色々とサポートしてくれたので、一緒じゃなければ飢え死にするところでした。
一緒に過ごせることの幸せをひしひしと感じています。
それに家でたくさん時間ができたことによって、今まではできなかった勉強やゆっくりと過ごす時間がとれています。コロナくんのおかげで世界の情勢や政治・経済などにもさらに興味が出てきて、新しい世界をのぞいている気分。
元々引きこもりが好きなので、家にいることの閉塞感みたいなものは感じていません。いつまで続くかわかりませんが、度重なる外出禁止期間の延長も「まあそうだよね〜」くらいで特にストレスでもありません。幸い。
ただあまりに動かなすぎて、家から歩いて10分くらいの八百屋さんに行ったときに脚が筋肉痛になったのはビビりました。実に恥ずかしい。家でも運動します。しなきゃ。
おそらくコロナくんによる生活の制限、世界の変化はどなたの人生史にも残る大きな出来事です。
あとになって「あのときは大変だったよね」と笑って過ごせるように、今はなんとか耐え抜いてこの時期を乗り越えたい。
今じぶんが健康でいられること、周りの大切な人たちが不幸ごとに遭っていないこと、時間を過ごせる家があること、インターネットのおかげで他の人とつながれて仕事ができること、すべてに感謝を忘れず。この先も笑顔でいられますように。
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