『ビジョナリー・カンパニー ZERO』を読んだ
上司から言われたことを、きちんとこなす。それも立派な仕事ではあると思うのですが、「なぜそれをやるのか」「その技術はニーズがあるのか」。そんなことが気になって仕事に集中できないことがあります。
エンジニアという立場ではありますが、
「プロジェクトを俯瞰して自ら方針決定にかかわっていきたい。」
「プロジェクトの方針が、チーム・会社の求めているものに合致しているのかを自分で考えられるようになりたい。」
そんな働き方の実現の第一歩として、以下の書籍を読みました。
この本は、「永続する偉大な企業を作るには何をするべきなのか」を説いた本です。タイトルにもある通り、偉大な企業となるためには「ビジョン」が重要であり、その「ビジョン」を構成する要素として「コアバリュー」・「パーパス」・「ミッション」の3つが重要であること、また如何にしてそれらの理念を決定するのかが紹介されています。
ただ、今回私は会社を作る側の人間(経営陣)の視点ではなく、会社を支える一社員として、如何にして「会社への貢献」と「自己実現」を両立させることができるか。そんな視点で読み進めました。
私自身がこの本を通じて得た学びを二つ、共有しようと思います。
自分の知識の浅さ、視野の狭さ
主にこの気づきは、本書の第7章「戦略」から得たものとなります。
この章では、企業のパーパスを実現する上での「ミッション」を如何にして遂行するかが書かれています。内容をざっとまとめると以下になります。
戦略とは
ミッションを遂行するための基本的方法論
効果的戦略を策定するための4つの基本原則
戦略はあなたのビジョンに直結するものではなければならない
戦略はあなたの会社の強みや固有の能力を生かすものでなければならない
戦略は現実的でなければならない
戦略策定には,実現の鍵を握る人々を参加させるべきだ.
会社の強みと弱みを理解しよう
自社のリソースを明確にすること
キャッシュフロー,外部資本へのアクセス,希少な原材料,製造能力,人材
社内で生まれるクリエイティブな成果への感度を高める
外部評価
業界と市場のトレンド
市場はどのようなセグメントに分かれているのか,あなたはどのセグメントで競争しているのか.
現在の製品ラインと,将来の製品の市場セグメントはおおよそどれくらいの規模なのか
あなたの製品の市場セグメントは成長しているのか.安定しているのか,それとも縮小しているのか,その原因は何か
あなたの業界の支配的トレンドはどのようなものなのか,トレンドの根底にある要因は何か
一番重要なこととして,ニーズの変化について顧客からどんな話が出ているのだろうか
技術のトレンド
競合評価
社会環境と規制環境
マクロ経済と人口動態
国際的脅威と機会
総合的脅威と機会
私自身がこれまでの活動で把握できていたのは、せいぜい「技術トレンド」程度でした。その技術ベースの思考から、さらに広い視野でプロジェクトを俯瞰する必要があるのだと再認識しました。特に「業界や市場のトレンドは如何にして変化しているのか、会社の業績はどうなっているか、競合他社はいるか」を認識することによって、時代の流れをつかむということ、「会社の強みは何か、実現する上でのキーパーソンはだれか」といった企業・組織に対する深い理解が必要なのだと感じました。
人間関係の大切さ
本書において、折に触れて言及されていたことがあります。それが人とのかかわりの大切さです。そもそもこの本の冒頭は、著者であるジム・コリンズの恩師であるビル・ラジアーとの出会いから始まります。また第2章は、「最高の人材がいなければ、最高のビジョンに意味はない」というタイトルでスタートし、ビジョンを達成するために優秀な人材が重要であることを述べています。ここで言う優秀とは、能力があるだけでなく、ビジョンへの共感,自分のキャリアを投げうってでも尽力しようとする気概を持った自分のことであると解釈しました。そんな中で、私が一番心に残った話は、第1章で述べられていた以下の2点です。
私はこれまで、「自己実現の答えの発見と実現」には、自分自身が広く物事を知り、実践することこそで成せるものだと、心のどこかで考えていました。しかし、人との関わりの中で得られるもの、発見できるものがたくさんあるはずだと、本書を通じて改めて気づかされました。
話はそれますが、今後心にとどめておきたい考えとして以下の2点も残しておきます。
終わりに
この本は、起業を目指す人だけではなく、企業に勤める人、いや、すべての人が読んでおいて損はない本だと思いました。
「自分のコアバリューを持つこと」「会社のビジョンを理解すること」「有意義な人間関係を築くこと」、まずはこの3点を実践していくことから私自身初めて行こうと思います。
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