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元祖平壌冷麺屋note(155)

毎朝、一番目に冷麺を食べにきてくれる老夫婦のお客さんが、「今まで冷麺屋にきて、覚えていることなんかないけど、今日は忘れへんわ」と話しながら支払いをされていた。

お食事中、日本が世界野球に優勝した瞬間、拳をあげて喜んでいたのだった。

「ユニヴァーサル野球協会」とか「優雅で感傷的な日本野球」を思い出したけど、それを読み直したくなったかといえば、そうでもない。どちらも野球とは程遠い内容だったから。

侍JAPANという呼称には違和を感じるけど、その場にいた、お客さんたちが嬉しそうだったので、それが嬉しかった。

娘が終業式で、友達からお手紙をもらっていて、その中に「お父さんが冷し中華屋さんやってていいなあ」という文があったので、「ボール!」と架空の審判が宣告したけど、それは「冷麺屋あるある」なのだった。

「ピョンチャンラーメンくれるかあ?」という二重のファールボールも、たまに飛んできたりする。

担任の先生からは「いつも朗らかな笑顔で、友達に優しく接する姿が印象的でした。次の授業の準備を早くしたり、黒板の字を手際よくノートに写したりと、みんなのお手本になりました」との評価をもらっていた。

一年間、お疲れさまでした。最後の登校日は、遅めに咲いた桜が、満開だった。


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