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元祖平壌冷麺屋note(24)

<喜>
中学教員時代の教え子が来店。お連れの女性と焼肉している途中「ソンセンニーム!」と呼ばれたので、席の隣に座った。「実はボク結婚したんです」と、向かい合わせのフィアンセを紹介してくれた。チュッカヘよ(おめでとう)!いつ、結婚したの?「月曜です」。一週間前ですやん、と厨房のアボジたちに報告したらアボジが二人に瓶ビールと烏龍茶をサービスした。教え子の成長と近況を直接、見られるのは、冷麺屋で働いていて、一番、嬉しく思うひと時だ。

<怒>
開店前からお店の前に人だかりが出来ている。仕入先から自転車で戻って来たら、開店五分前から、お客さんたちが店内に入っていった。お店の席数は、一階の四席と、二階の五席。コロナ以来、相席を控えているので、最大で9組しか入られない。30分以上も前から並んでいたのに、入れなかったためか、怒鳴り散らしている薄サングラスの<ミスター・孤狼の血>に捕まってしまった。よほど空腹なのか、猛暑にあてられたのか、とにかく太陽に向かって吠えまくっている。アルカイックスマイルで対応した。順番にご案内するので、お待ちくださいね。吠える犬は噛まない。

<哀>
娘を就業前に、妻の実家である、加古川のじいじ、ばあばに預けに行くときは、まず喫茶L(エル)でモーニングするのが通例だ。隣の中華料理店「まんぷく」のミヤタさんがオーナーのためか、モーニングBセットは、トーストに代わり「肉まん」。これが、アイスコーヒーとよく合う。長田の三国志ツアーに参加し(横山光輝の地元、鉄人の作者)、冷麺屋にも一人で来てくれた、女性店員さんから、お伝えすることがあると言う。11月頃に、埼玉に引っ越しするとのこと。それを聞いた娘の表情が消えた。訪ねるたびに、よく遊んでくれていたからショックだったようだ。店員さんは、娘のイラスト付き名刺をお守りにしれくれているくらいの娘ファンでもあり、報告の際は、涙を浮かべていた(ように見えた)。しばらくは、ドニエ9、エル1だった割合を、ドニエ7、エル3くらいにしようかと思う。

<楽>
カウンター席には、サイン色紙を並べているけど、「小曽根真」さんのサインを言い当てたお客さんは、初だった。中年夫婦の方に問われ、小曽根さんが三年前にご来店したときのことを話したら、そこから話に花が咲いた。そのご夫婦は、結婚式の後に三ノ宮東門街にあったジャズバーで、小曽根真さんの父である小曽根実さんが隣の席にいらしていて、二人の結婚したばかりであることを聞いて、カクテルをおごりで注文してくれたそうだ。その振る舞いが、とてもお洒落でカッコ良かったらしい。それからお客さんと、ジャズ談義、音楽談義と発展し、来年の楽団演奏会に必ず行きますよ、と約束までしてくれた。終業間際の、楽しい時間となった。

そういえば、妻との新婚当時は、冷麺屋さんの常連客の方が、金粉入りのワインをプレゼントしてくれたのだった。

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