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元祖平壌冷麺屋note(137)

娘とドニエでモーニング。新しい男性バイトの子が入っていた。機敏な好青年。

冷麺屋の買い出し中、肉屋のとなりの長田教坊前で、チングドゥルのパクさんチョさんが旧正月を祝してのライブを行なっていた。パクさんと目が合ったので会釈。

トンタクタク、トンタクタキとチャンダンを聞いていると、自然に踊り出しそうになる。

Nさんの旦那さんがご来店。年末から寝たきりだったNさんが、老衰で天国へ旅立ったらしい。冷麺屋には、ボクが生まれるずっと前から、半世紀以上、ほぼ毎日来られていた。

温麺(小)のスペシャル(ロースは別皿)と小ライスという「いつもの」メニュー。Nさんセットと名付けたいくらいだった。

温和なNさんが、一度だけ怒ったことがある。うちのオモニが亡くなった時に、そのことを従業員が知らせてくれなかったことが悔しくて、三日間、お店に来られなかったのだ。

Nさんは、天国でオモニと久しぶりに再会できただろうか。

アボジが旦那さんにお香典を手渡しながら、「男性は妻が先に亡くなったら、三年以内の死亡率が高い」という話をしていた。少し泣いているように見えた。

夜の冷麺屋は、ずっと忙しかった。悲しいときは、忙しいほうが良いのだった。

長いながい間、ご来店、ありがとうございました。


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