第四話 てるてるひめ物語 第一幕 宇宙病院 銀河第三病棟で テラがベッドに横たわっている。氷の袋が天井から吊るされて、テラの頭に当てられている。その頭からは湯気が立ち上がっている。 病室の観音開きの窓からは、お月さんと星たちが心配そうに覗き込んでいる。 星形の検診器を頭に付けた禿げ頭で度の強い丸いメガネをかけた医師と、同じく太った看護婦さんとがテラに付き添っている。 テラが苦しそうにしてその担当医に話しかける。 「先生、地球時間でちょうど二百年程前から、微熱が出始
第三話 ときじくの樹 エコビジネスを立ち上げた女の子が雑踏の中でミミズを売っている。まるで弁当売りの様相である。かなり疲労の様子が滲んでいる。 「弁当~~、弁当、じゃなかった、みみず~~、みみず、いらんかえー。とっても働き者のミミちゃんよー。大地を耕し豊かにするミミちゃんだよー。みみず、みみず~~、いらんかえー」 そう大声で周りの通行人に呼びかけてから、そのままその重そうなトレイを肩から下ろして地面に置き、近くのベンチに腰を下ろしながらブツブツと独り言を漏らした
第二話 マトリクス(子宮) 宇宙の根底、すなわち太母の子宮から精霊たちが青い地球を覗き込んでいる。アルビノーニのアダージョの曲が静かに流れている。 すると男の子の声がする。 「人間は何処から来て、何処に行こうとしているのでしょう」 古代の繁栄した街のイメージが浮かび上がる。 高く積み上げられた塔が街の中央に聳えている。 すると、天から光が放たれ塔を粉々に打ち崩す。 更に、洪水が街全体を呑み尽くす。 一艘の箱舟が波に翻弄されている。 しばらくする
あらすじ 現象界(物質界)にいるA子は霊界の話とシンクロする不思議な夢を見る。霊界では、てるてるひめが宇宙創造神てるてるかかさまの御杖代(みつえしろ)となり、縁(えにし)ある人々や精霊たちと協力し合って地球上にフトマニ・クシロを築き、地球の危機を救おうとしていた。 第一話 ニルヴァーナ 「死に切れた人とはどんな人かしら、死んでも生まれ変わり六道輪廻の内で踊り続けなければならないなら」 所詮この世は虚仮、太く短く生きてやろうと思っているA子。ある寺の一人娘で東洋哲学専
あらすじ 現象界(物質界)にいるA子は霊界の話とシンクロする不思議な夢を見る。霊界では、てるてるひめが宇宙創造神てるてるかかさまの御杖代(みつえしろ)となり、縁ある人々や精霊たちと協力し合って地球上にフトマニ・クシロを築き、地球の危機を救おうとしていた。 第一話 ニルヴァーナ 「死に切れた人とはどんな人かしら、死んでも生まれ変わり六道輪廻の内で踊り続けなければならないなら」 所詮この世は虚仮、太く短く生きてやろうと思っているA子。ある寺の一人娘で東洋哲学専攻の十九歳
歴史の記録の多くは、勝者にとって都合の良いように修正・改竄されて残される。 しかし敗者の情念は、民衆という土壌の地底深くに時代を越えて脈々と流れ続ける。 その屈折した深層の闇に光を当て、敗者の視点から民族の歴史を知ることは、これからの日本を立て直し、更には全世界を導く上で、省略することのできない重要な作業となる。 始原の風景 おそらく縄文時代以前から、今の日本列島には幾重もの移住の波が打ち寄せていたことだろう。 先住民として定着した人々は、自然そのも
ダークエネルギー 宇宙は平らで、空間一立方メートルあたり水素原子が約5個分の質量(エネルギー)に保たれているとされる。もしそうなら、宇宙が急速に膨張しているという事実を踏まえると、その水準を保つためにも、その分の質量(エネルギー)も供給され続けなければならないはず。 とすれば、宇宙は点(無)から急速に吹き出され膨張したことが分かっているが、今でも依然として宇宙エネルギーがこの宇宙に吹き込まれていると考えることもできるのではないか。今話題となっているダークエネルギー
豊年祭 今から40年以上も前の経験である。 7月の下旬ごろ、新城島に住んでいた住民とその子孫たちが、西表島や石垣島などから新城島に集まり、豊年祭を執り行っていた。 ニライカナイから来訪神を迎えるため、日が落ちた夕暮れの浜辺で西方に向かって祈りを捧げた後、御嶽に来訪神(アカマタ・クロマタ)が現れるらしい。 その後、アカマタ・クロマタが夜通し各家々を巡り祝福を授けるのだが、待ち受ける間、村人が二手に分かれて掛け合いでアカマタ・クロマタの登場を待ち望んで謡を歌い続
リニアはその経済性・安全性等が疑問視されるも、JR東海のドン故葛西会長の夢とされ、また経済活性化策の一環として、大手ゼネコンと沿線各地域の経済団体が推進し、各地方公共団体も支援体制を整えてきた。 2011年、リニア交通政策審議会の検討・答申を受け、国交省はJR東海にリニアの建設を指示。国策民営会社による「公共事業」が本格的に動き出すことになった。 しかし、その交通政策審議会にほとんど毎回来場し傍聴された方によると、その審議会は始めからリニアありきで進められ、委員の