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もりんの量子宇宙論


ダークエネルギー


 
 宇宙は平らで、空間一立方メートルあたり水素原子が約5個分の質量(エネルギー)に保たれているとされる。もしそうなら、宇宙が急速に膨張しているという事実を踏まえると、その水準を保つためにも、その分の質量(エネルギー)も供給され続けなければならないはず。

 とすれば、宇宙は点(無)から急速に吹き出され膨張したことが分かっているが、今でも依然として宇宙エネルギーがこの宇宙に吹き込まれていると考えることもできるのではないか。今話題となっているダークエネルギーとはこのようなものではないかと推測される。
 
 ところで、この物質的宇宙を球体の表面上に展開する二次元的な世界に置き換えるなら、ダークエネルギーは宇宙エネルギーの主要な柱として、宇宙そのものを生み出すその球体の中心部から湧き上がり、表面上に展開する物質的宇宙の至る所に働きかけているのではないか。そのため三次元の現象世界に住まう私たちにとって、その中心はどこなのかは空間的には全く特定できないはずなのである。
 
 

空間とは


 
 「空間」の概念は宇宙エネルギーの広がりにその根拠を持つと考える。
 
 人間などの高等生物が持つ知覚のための直観形式を通してフラットな三次元の枠に直観的世界を描き出すことになることから、空間(三次元の世界)が実在するという錯覚に陥り、宇宙が消滅しても空虚な空間という枠は残り続けるものと反省内で想像してしまうことになる。
 
 しかし実際には、その枠を満たすエネルギーの場は均質的でもフラットでもなく、濃淡があり歪んでもいる。その歪みのためにこそ、高次元の空間を想定せざるを得なくなるのではないか。
 
 ところで、発現されたこの宇宙を被統一面とするなら、「超空間」(宇宙エネルギーが全く消滅した真空)は、その被統一面の外にあるのではなく、統一面(無としての点)の内奥に存在するのかもしれない。
 
 その真空は、エネルギーが立ち上がる前の静寂な状態を指すが、その背後の統一面にはマトリクスとしての隠された別の力が存在するのではないか。したがってこの真空は、何も無い地点ではなく、宇宙の発生源に接した地点であり、宇宙の生成・消滅が幻影のようなものだとするなら、その発生源こそが実在そのもの(絶対有)であると言うことができるのである。
 
 宇宙エネルギーを風に譬えるなら、風を起こしている源の中心部(マトリクス)は、台風の目のように風が凪ぎ無風状態のようなポイントとして存在するのかもしれない。物質現象として実証することはできないが、その可能性は否定できない。
 
 

時間とは


 
 私たちが持つ「時間」の概念は、宇宙エネルギーの働き・変化にその根拠を持つと考える。
 
 そのため、宇宙が消滅し変化自体が無くなれば、反省内でバブルのように様々な宇宙が永遠に発生し続けるものとして無限に続く時間を想像することができるとしても、少なくともその宇宙内での事実としての時間は消滅するはずである。
 
 精神現象においても、私たちは漠然とした感覚を原因として統一を向け諸直覚を表し統合した知覚の状態を結果として認識する。そのようにして直覚・知覚を継起させ直観的世界を描き出すが、それらの諸「存在」の継起性が時間の概念の主要な内容となっている。

 その表象作用での離散的継起性において、物質現象内での運動・変化をもたらしていたものと同じ宇宙エネルギーに基づく働き・変化が認められ、時間の経過を覚えることになるのである。
 
 

因果の法則


 
 宇宙エネルギーは様々に働きかけ変化し続けている。その働きかけの中で私たちは、三次元の広がりの中で変化・運動する感覚を土台とした物質現象を描き出すことになる。そしてその変化は因果の法則に遵う。
 
 すなわち、ある変化は突然そのような結果を現すわけではなく、原因となる諸要素が先行していなければならない。そうであるなら、変化(時間)の進む方向は当然原因から結果への一方向でなければならない。(ここで注意しなければならないのは、変化の順番とその情報の到達の順番とを混同してしまうことから因果の法則を疑問視してしまうことである。)
 
 精神現象においても上述通り因果律が働いている。すなわち漠然とした感覚を原因として統一を向け諸直覚を表し統合した知覚の状態を結果として認識しているのである。
 
 

エントロピーの拡大


 
 ところで、エントロピーの拡大が「時間」の方向性を決定しているとする考えがある。
 
 確かに、これも宇宙エネルギーの変化に関係しており、時間性を示す事実ではある。しかし方向性を決定しているのは、前述通り因果の法則である。
 
 この説においては、宇宙エネルギーが初期において出尽くされ、そこで生成された宇宙は、その後エントロピーの拡大に任せるままとなっているとの考えが前提となっているのではないか。
 
 しかし今でも宇宙エネルギーが時空を超えたところから湧き上がり続けているという宇宙観からすれば、その宇宙(生命)エネルギーによって新たな秩序が断続的に生まれ続けてゆくことになるはずである。
 
 すなわち、確かに初期に発生した秩序の渦が大きいので、全体的には宇宙はエントロピーの拡大の方向に向かうのであろうが、流入するエネルギーが一定量ある以上、新しい秩序の渦は生まれ続けるはず。イメージとしては、その大きな渦が徐々に崩れてゆく中で、それより小さい渦が次々と生まれそして崩れてゆく様子が繰り返されているのではないか。
 
 

エネルギーの量子化


 
 三次元の広がりの中で変化・運動する物質現象を描き出す私たちにとって、「時空の場」は正に時間・空間で限定された局所的なエネルギーの場と読み替えてもよいと考えている。
 
 したがって「時間」・「空間」の量子化の問題は、宇宙エネルギーの量子化の問題であり、物質現象や精神現象は、ある特定な強さを持つエネルギーの働きかけにより生成・消滅を繰り返しながら、離散的・断続的・段階的に進展するものと考えられる。
 
 すなわち、物質現象では、宇宙エネルギーの波動の海からエネルギーを得て波が励起して素粒子が生成し物質現象の土台となる。物質現象の変化は一定の強さのエネルギー量に対応して離散的・断続的である。
 
 また精神現象である表象作用においても、この離散的・断続的・段階的な性質は認められる。例えば漠然とした感覚に統一(エネルギー)を向け直覚を表す場合でも、常にその直覚の状態を保つことはできず、断続的に諸直覚を表していって知覚の状態を得、諸知覚の継起によって直観的な世界を描き出している。
「虚空を掴む」第一部 表象機能 参照
http://www.asahi-net.or.jp/~jh4m-mrmt/A.philosophy/a-a-2.html

 
 

宇宙の意志


 
 表象機能や直観形式の制約から、宇宙は感覚を土台とした物質で満たされ、それらの相互関係によって運動・変化する物質現象こそが宇宙の実相であると考えてしまいがちである。
 
 しかしその物質現象の背後にそれを支える力が働いているのではないか。
 
 前述通り、時空を超えた点から宇宙エネルギーが吹き込まれているとするなら、そのエネルギー(ダークエネルギー)は、物質現象としての三次元宇宙のある特定された空間から湧出するのではなく、濃淡はあれ、全宇宙の至る所から湧き上がっているのではないか。
 
 すなわち物質現象の地平線上にある量子の世界でも、素粒子の生成・消滅に影響を与え、また、物質の発展形である人間の精神現象の内奥においても、そのエネルギーは生命の泉として湧き出しているのではないか。
 
 そして上述のように、一定量のエネルギーを吹き込み続け新たな秩序の渦を作り続けるのは、物質を生み出しその発展形として動植物や人間等の高度の生命体を創り出そう、叡智的な世界をこの秩序の中で描き出そうとする意志がこの宇宙にはプログラミングされているのではないかと思われるのである。
 
 ところで宇宙の意志とは具体的に何かと問われるなら、現に発現されている個々の現象から推測するしかないだろう。
 
 宇宙の意志は、個別相においては五つの発展段階を形成する諸欲求として発現されていると私は考えている。すなわち物質的欲求・生存的欲求・性的欲求・知的欲求・宗教的(至高の彼方へ至らんとする)欲求である。
 詳細は以下の拙論(「両性具有論」)を参照。
http://www.asahi-net.or.jp/~jh4m-mrmt/A.philosophy/a-b-3.html
 
 人間の場合、上位の諸欲求を満たしてゆくべきなのに、物質的欲求の罠にはまり、自らを滅ぼそうとしていることについては、拙論(「私有財産の起源とその発展」)を参照。
http://www.asahi-net.or.jp/~jh4m-mrmt/A.philosophy/a-b-2.html
 
 
 もし私たちが宇宙の意志を体現できず、この地球上で叡智的な世界を発現できないまま環境破壊や核戦争などで他の生命体を道連れにして滅ぶなら、「親の心子知らず」とは正にこのことなのだろう。


おわり
 
 
 

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