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チャーハン親子

息子が4歳、娘が2歳頃から、住んでいた都市で一番大きなホテルの有名な中華料理の店に行く様になりました。
常日頃から、そんなRichなお店なんかには、子供を連れて行けないと、縁がなかったのですが、ある時、主人が宴会で利用した時、子供を連れて行っても大丈夫じゃないかと思ったらしく、二人を連れて食事に行く事になりました。

本格的な中華料理店で、支配人らしき年配の黒服の出迎えがある店で、店内は、紅木の赤黒い中華紋様の柱や、欄間が豪華さを演出しています。
テーブルと椅子も同じ色調の豪華なセットで、店内は広くゆったりと配置していました。

こんな感じのお店です。


それでも一応、お子様用椅子もあり、二人とも喜んで座りました。
メニューを見ても子供達が食べられそうな物が、無いと思っていたのですが、主人がメニュー表を広げたところには、
チャーハン
が、並んでいました。
「これなら、子供達も食べられるぞ」と
家族4人で、二種類のチャーハンを頼んでみました。
「五目チャーハン」と「海老チャーハン」です。
高級店なのにチャーハンは、値段も安くて、たっぷりありました。
初めての本格中華で、2人はジッと出来ない雰囲気のところ「静かにしてないと食べられないからね」と言うとおとなしく取り分けるチャーハンを待っていました。

とても美味しい「チャーハン」で、子供達も美味しかったのでしょう。
もう一皿追加して、おまけにデザートにアイスクリームを付けました。
バニラでウエハースが乗ったアイスクリームです。

二人ともいつもより沢山食べて大満足だった様です。

ふと、下を覗くと、ニワトリでも連れてこなければならない位、ご飯粒がパラパラ散っています。
デザートを2人が食べている間に私がテーブルの下に潜ってご飯粒を拾い集めました。
2人ともおとなしく食べたのですが、「チャーハン」と「アイスクリーム」だけ注文する客ですよ、掃除くらいしないと申し訳なく思いました。

それから度あるごとに2人は「チャーハン」が気に入った様で「パラパラチャーハン!行こう、行こう」と誘いましたが、そんなに外食は出来ません。
それでも、二、三ヶ月に一回は行っていたと思います。
メニューは毎回同じです。
なんとなく、支配人にも覚えられ、顔を出すと
直ぐにニッコリと子供用の椅子を用意してくれる様になりました。

段々、行くたびに
あの、チャーハン親子がまた来ましたよ
と言われてる気がしてきました。
本当にそこの「チャーハン」はとても美味しかったのです。

子供達も大きくなり、「チャーハン親子」は店に行かなくなりました。
そこの店も、いつの間にか無くなってしまいました。
何故無くなったのかはわかりません。
多分コロナの影響でしょう。
チャーハンの味を懐かしく感じました。

先日、子供達と中華料理を食べに行った時、「チャーハン」を注文して取り分けていたらそんな昔を思い出しました。

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