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「退学させろ!」と学校に要求するのはムダ

学校(高校)に対して、
あの生徒を退学さえて欲しい。
と言う保護者がいます。

学校側が、毅然とした態度で「ムリです」と言えれば良いのですが、クレーマーの保護者に言われると腰が引けてしまい、「検討します」なんて言ってしまったりします。

生徒を退学させるかというのは、誰かから言われて、「はい、分かりました」となるような話ではありません。
中には、「いじめをしたら退学」「飲酒喫煙で退学」などとする学校もありますが、これはいじめや非行の防止という効果を狙っている場合が多いでしょう。

高校が生徒を退学させられるケースは、
(1)学力不振で卒業が厳しい
(2)理由なく登校していない
(3)素行が悪く、改善も見込めない
(4)学校の秩序を乱している
(5)生徒の本分に反している
となります。
法律に書かれています。

学校は教育機関です。
退学させるというのは、教育機関が仕事を放棄するということになりますし、生徒という身分を一方的に剥奪するということになりますから、かなり厳しく制限されています。

過去には、暴力行為に及んでも、裁判で退学無効と判断されたこともあります。
つまり、暴力行為は、(程度にもよりますが)生徒の本分に反していないし、学校の秩序を乱していないし、素行は悪いかもしれないが改善が見込めないとは言えない、というのが裁判所の見解ということです。

そもそも、学校が生徒を処分するときは、罰を与えるのが目的ではなく、更正させることを目的とします。
つまり、どう頑張っても、学校に対して生徒への罰を求めるのはムリがありますし、仮にいじめ等を理由にしたとしても、被害生徒の保護者が望む程度の罰は与えられない可能性が高いでしょう。
仮に生徒(またはその保護者)に罰を与えたいのなら、警察に告発するか、裁判で訴えて損害の賠償を求めるか、という選択になります。

罰を求める保護者とそれを拒む学校の対立が時折見られますが、どんなに気に入らない生徒がいても、「退学させろ!」と学校に求めるのはムダということです。

もちろん、行き過ぎた行為をすれば、訴えられることを覚悟で退学処分にすることが有るかもしれませんし、自主退学を勧告することも有るかもしれません。
何よりも、進学・就職の時に推薦を貰えなくなったりと、何かと弊害も出てきます。
生徒側も、退学にならないから何をやっても良いということではなく、生徒としての本分を忘れずに行動する必要はあります。

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