【覚書】ベンジャミン・ロス監督『ザ・ディレクター[市民ケーン]の真実』(RKO 281, 1999)
スコット・ブラザーズ、プロデュースによる『市民ケーン』制作秘話といったところか。原題のRKO 281とは、映画会社RKOの281スタジオで当該映画が撮られたところから来ている。
デイヴィッド・フィンチャーの『Mank/マンク』(2020)とは異なり、本作におけるジョーゼフ・L・マンキーウィッツとオーソン・ウェルズの仲は(多少の諍いはあるにせよ)良好で、二人でアイディアを出し合った後にそれをマンキーウィッツが脚本にまとめるといった様子が描かれる。
また、ウェルズが、RKOの株主を説得するために、ユダヤ人(の集団としてのハリウッド)がヒトラーの如き独裁者に(自由を求めて)立ち向かう物語として『市民ケーン』を読み替えてみせるシークェンスがある。