見出し画像

【映画評】ケン・アナキン監督『ロビン・フッド』(The Story of Robin Hood and His Merrie Men, 1952)。

 ディズニーがイギリスで作った実写版ロビン・フッド映画である。監督はエロール・フリン主演の『ロビンフッドの冒険』(1938)とは異なる映画を目指したというが、物語構成それ自体に新味は全くない。但し、アニメーションと実写の合成の仕方、あるいは鏑(かぶら)矢や吟遊詩人の導入による音と映像の同期の仕方がディズニー色を感じさせる。
 ケヴィン・J・ハーティーのディズニー製ロビン・フッド映画に関する論文を読んでいたら、本作は赤いコスチュームを着た「内部の敵」を告発する「赤狩り」、「マッカーシズム」の映画だという。ほとんどのロビン・フッド映画が「ニューディール」的「大きな政府」を志向するのとは対照的だ。これはつまり、ウォルト・ディズニーの反共思想を色濃く反映するかなり異色なロビン・フッド映画なのである。

〈引用文献〉Kevin J. Harty, “Walt in Sherwood, or the Sheriff of Disneyland: Disney and the Film Legend of Robin Hood”, The Disney Middle Ages: A Fairy-Tale and Fantasy Past, eds. Tison Pugh / Susan Aronstein, New York: Palgrave Macmillan, 2012, pp. 133-152. 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?