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村の一人暮らしのおばあちゃんに手紙を書くとしたら

Oさんへ

いつもごひいきにしていただき、ありがとうございます。
これから勝手なことを書きますが、読んでやってください。

この手紙の目的をいいます。
「息子さんに、この築120年の家をぜひ残してもらうように頼んでほしい」ということです。こんなオンボロどうして残さなきゃいけないの、お金がいくらあっても足りないよ、と思われるかもしれない。でも、古民家のあるいなかは日本らしさを象徴する重要な風景なので、壊されてなくなってしまうのが耐えられない。
古民家が解体されるたびに、日本の魅力が少しづつ失われているイメージだ。現代建築だらけのいなかには日本の魅力を感じないんです。

じゃあ、あんたが買い取ってくれるかいと言われると、そうしたい思いはあります・・・としか言えないです。でも、活用してくれる人を探すことはできます。
あんたにいわれる前に、これはうちのO家の問題なんだよとおっしゃられるのでは、と想像します。確かにそうなんだけど。

うまく着地する場所をこれから、お話しますのでこのまま読みすすめてくださいね。

まず、この伊賀地方に残る、築100年以上の古民家とよばれる日本家屋が、ほかの地域には見られない希少な建物であるということを知っていただきたい。ほかの地域の建築のプロたちが口を揃えて、「ぜんぜんちがうわ」と羨ましがっている事実があるのです。

ほかの地域の建物なんて、まじまじとみたことがないでしょうから、わからないでしょう。でも、多くのプロがいっているので間違いない。
何がそんなにいいのかは別として、この建物はつぎの世代に受けつがれるべきものなんです。地域の遺産として。いってみれば世界遺産のちっさい版です。そのことをOさんと相続される息子さんにわかっていただければいいんです。
ただ家を保存するだけでなくて、末永く使ってもらえたら、建てられたご先祖様もよろこばれるのではないですか。

少子高齢化で地方のいなかは消滅しはじめています。それは仕方のないこととあきらめることも、なんとか、持続可能ないなかを作っていこうと行動することも自由です。

ご自身が生まれ育ったこの地域で、幼いこどもたちがそこかしこで遊んでいるすがたを、もう一度見たくないですか。
「おばあちゃん、いっしょにあそぼ!」って
保育所が復活したりしてね。

何も住んでもらわなくても、いいんですよ。働きながら遊びにくる家族もいるんです。貸別荘のようなイメージですね。いまのしごとはパソコンがあればできる仕事が多いから、ここでもできるのです。なので、会社ごとこちらに引っ越してくるひとたちもいるんです。

それと、外国人にとっても人気なんですよ。日本のいなか体験って。もう日本人以上に、興味しんしん、日本愛がすごいんです。その人たちのために古民家宿も用意しましょっ、ね。おくどさんでごはん炊いて、お味噌汁ととれたて野菜の煮ものでいいじゃない。
だんだん楽しくなってきました。

でも不安ですか、ご安心ください。行動する体力がないなら、体力のある人に託せばいいのですから。

国も「地方創生」というかたちで応援しています。
いっしょにいなかを盛り上げていきましょう。
Oさんは心のなかで応援してくだされば、それでじゅうぶんです。

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