手伝ってもらう側の人

雨の中、自転車で傘も差さずに信号待ちをしていたら、
スッと雨が止んだ
誰かが傘に入れてくれたのだ
知り合いかと思って思わず顔を見たら、全然知らない方で、
驚いてお礼を言うと、彼女はにっこり笑った
素敵な傘と素敵な人
そこから黙って信号が変わるのを待った
時間と景色がまるで、美しい映画を見ているみたいだ

私は見知らぬ方に助けてもらうことが多い
若い頃からそうだった
バックパックを背負おうとしてかける紐が片っ方みつからないと
後ろの人がかけてくれたり
スーパーで指が乾いてビニールが開かないと、
隣の人が代わりに開けてくれたり、
そういう事例には事欠かない

私も少しでもそれを返したいと思うのだけど、
私の親切はいつも空回りだ
席を譲ろうとして断られたり
何かしようとして怪訝な顔されたり
そうして、勇気がなくなってしまうのだ
私も濡れている人を見ると傘に入れてあげたいな、と思う
重たい荷物を持っている人がいたら持ってあげたいなと思う
でも、モジモジしてできたことなんかない

私に親切な方たちはきっと、
いつも同じように誰かに親切で、
私のように思うように親切を受け取ってもらえないことだって
あったはずなのだ
それなのに、すごいなぁ

全ては私がおっちょこちょいで、雑なせいなのだけど、
知り合いも私を心配する
冗談なのかよくわからないけど
夫は一人行動する私をすぐに迎えにくるし、
ママ友は結局私のフォローをしてくれる
全然平気なのにな
雨に濡れても、持てないくらいの荷物持ってても
少しくらいの忘れ物も、電車を乗り間違えても
全然大丈夫なのに
自分でやればいいし、申し訳がないなとつらく思うのだけど
親切にそんなふうに思っては悪い気がして、
結局どんな心持ちでいるのがいいかわからない

どうして、私はこんなに歳を取っても、
親切にされる側なのだろう
いつか変わるときは来るのだろうか

私は誰かに助けてもらうことが多い
統計をとった訳じゃないから、わからないけど
それを今は幸せだと思っている


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