【経済】専業主婦/扶養内パート激震!?遺族年金改正案
こんにちは葵です。
数ある記事の中からご覧頂きありがとうございます。
さて今回は、遺族年金改正案についてみていきます。これは特に働き盛り世帯大打撃の大幅改悪となるので、現時点でわかっていることをまとめてみることにしました。
資料収集目的も兼ねているので、画像やグラフ多めの記事になると思います。
お時間のあるときにでもゆっくりお読みください。
そもそも遺族年金とは?
遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、もらえる条件が人によってそれぞれ異なります。
■遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、国民年金の加入者や老齢基礎年金を受け取る資格のある方が亡くなったときに、遺族へと支給される年金のこと。
対象者は子どものいる配偶者とその子どもです。
つまり、子どもがいなければ配偶者であっても対象にならず、遺族基礎年金は受け取れません。
また、子どもが成長して対象でなくなると、子どもも配偶者も対象外となり遺族基礎年金は支給されなくなります。
子どもがいる間は生活に必要な収入を遺族年金という形でサポートするよ、ということですね。
■遺族厚生年金
対して遺族厚生年金は何かというと、厚生年金保険の加入者や老齢厚生年金を受け取る資格のある方、あるいは障害厚生年金を受給中の方が亡くなったときに、遺族へ支給される年金です。
こちらの場合は子どものいる配偶者と、その子ども以外にも対象であれば優先順位が高い順に遺族であれば支給されます。
優先順位は
子どものいる配偶者→子ども→子どものいない配偶者→父母→孫→祖父母
となります。
対象になれば、子どもがいない配偶者でも両親、祖父母、孫まで支給されるのですから優しいですよね。「遺族年金は残された家族への思いやり年金」なんていわれたりしますが、これをみると納得ですね。
ちなみに誰がいくらくらい貰えるのかなどさらに細かいルールがあるのですが、今回は割愛します。
何が変わる予定なの?
この思いやり年金、ある年代を境に思いやりがなくなってしまうかもしれません…。
では実際にどの辺りが改正されそうなのかをみていきましょう。
■なぜ今回の改正案が出たの?
厚生労働省の「第6回社会保障審議会年金部会」資料によると、遺族年金の改正理由として挙げられていたのは以下の理由をあげています。
特に「男女差の解消」という所に焦点が当たっているようです。
どういうことかというと、現在の制度は「男性が一家の大黒柱」という考えのもとで作られていて、支給の有無に男女差があります。
具体的には、
・妻は夫が亡くなった時点で30歳未満の人は5年間、30歳以上の人は生涯受け取れる
・男性は妻が亡くなった時点で55歳未満の人は受け取れない
男は55歳までは奥さんが亡くなってもバンバン働いてね、というわけです。
…結構な格差があるわけですね。共働きが当たり前になりつつある現在、国は不平等だとしてここにメスをいれたいわけです。
では、男性も女性に合わせて支給額や年齢の壁が撤廃されるのでしょうか。
なんと女性の箇所にあった、
こちらの方に男女とも合わせる方向に話しが進んでいるそうなのです。
しかも性別に関わらず60歳未満は5年支給です。
やや改悪です。
配偶者が亡くなった時点が59歳以下だったら5年で支給が終わり、60歳以降は生涯支給になるとのこと。
加えて今までは夫が亡くなった時点で40歳以上だった妻に64歳までの間、年間およそ60万円が上乗せして支給される「中高齢寡婦加算」という「もう一つの思いやり制度」が存在しますが、こちらも段階的に廃止していく方針だそうです。
懸念はまだあります。2つめの
養育する子がいない家庭。
現在成人年齢は18歳ですから、つまり子なし夫婦だけでなく、子ありでもお子さんが18歳以上の場合は子なしと見なされて5年支給になるということです。
これがどういうことかというと、子どもを2〜3人産み育てながら扶養内パートをしている妻が、3人目が20歳になったら子どもが全員成人=子なしとみなされる上、妻自身が60歳になる前に夫がなくなったら5年しか遺族年金が支給されない、ということなのです。
専業主婦や扶養内パートでやってきた女性が40歳未満ならまだしも、60歳間近でいきなり正社員で働けるのでしょうか。
また、このような年齢、経歴の方を雇ってくれる所はあるのでしょうか。
そうした、専業主婦や扶養内パートとなった女性の柔軟な働き方や採用の仕方、法整備を行わずにとりあえず支給だけ減らすのはどうなのでしょうか。
医療福祉職として10年以上働いていると、本当に色々な事情の家庭があると痛感します。
子どもの身体が弱い、あるいは障害があって外で働けない人や去年までは正社員だったけど介護で退職し専業主婦になった人だっています。男性もそうです。みんながみんな元気にフルタイムで働けるわけではありません。
だからこその福祉や、このような制度があるはずなのです。
働きたくないという理由で専業の人もいるのでしょうが、それ以外の様々な理由で専業主婦(夫)をしている人もまたいるのです。
共働きが当たり前というけれど
とのことですが、実際はどうなのでしょうか。
これは、厚生労働省HPに載っている共働き世帯数の推移を表したグラフです。
確かに、2000年代から綺麗に専業主婦世帯と共働き世帯が逆転しているようです。
では、その内訳はどうなのでしょう。
確かにこの36年間において共働き世帯は増加しています。中身はというと、妻がフルタイムの家庭は36年間で5.4%の増加。比較的横ばいです。
それでは週35時間未満のパートタイマーはというと、170.6%の大幅増です。
つまり、これらの資料から読み取れることは、
専業主婦は年々減っていて、共働き世帯は年々増えている。
共働き世帯の内訳はというと、フルタイム就業者はやや横ばいに推移し、それ程増えていない一方で、扶養内含めたパートタイマーが大幅に増えている、ということです。
この現状と今回の改正案。
皆さんはどのように感じているでしょうか。
どの年代に影響があるの?
改正案が成立した翌日からスタート…なんてことは絶対にありません。
事実、年金支給年齢が60歳から65歳に変わったときもゆっくりゆっくり時間をかけて少しずつ移行していました。
今回の遺族年金改正も、
40歳未満の方は多大な影響を受けるそうです。
夫が1日でも長生きしてくれるのを願うか、そもそも結婚しても出産せず、独身の頃のように共働きで自分の年金をひたすら積立ていくしか道はなさそうです。
婚姻率も出生率も大幅に下がりそうな結果になりそうなのですが…。
繰り返しますが、まだ改正案の段階です。
今回の世論の反応なども含め、もう少し弱者に配慮した、今までの思いやり年金に近い形で施行されることを願います。
最後までご覧頂きありがとうございました!
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