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北アルプス夏のオートルート(上高地~黒部ダム)2024.9/6~9/8

上高地~槍ヶ岳~黒部五郎岳~薬師岳~室堂~雄山~黒部ダム

【夏のオートルート】
渋谷駅からの夜行バスで上高地バスターミナルに着いたのが5時30分。バス内の冷房が効きすぎていたので降りてからも思ったほど寒く感じない。

相変わらず登山者と観光客でごった返す河童橋からの穂高連峰は薄雲に覆われていたが天気予報通りすぐに晴れてきそうだ。

早朝の河童橋

明神館までの梓川左岸は災害通行止めで右岸を巻いて通る。この週末は涸沢でイベントがあるようで徳沢や横尾にもフェス用のテントやのぼりが並んでいた。

横尾を過ぎるとだいぶ追い抜く人が少なくなり今度はすれ違う人が多くなってくる。樹林帯を過ぎ槍沢の渓が開けてくると雲もすっかり晴れて槍の穂先がドーンと見えてくる。
気温も一気に上がってきてやはりまだ夏が終わっていないことを実感。

槍沢からの穂先

ジグザグの九十九折を汗だくになりつつ上高地から4時間半で大勢で賑わう槍ヶ岳山荘に到着。コーラを買って小休憩する。
穂先はいつものように渋滞してるので割愛した。

よく見えないが人がいっぱい
西鎌尾根

西鎌尾根からはグッと人も減ってきて歩きやすくなってくる。
後立山やこれから向かう薬師岳方面の山々が一望のもとに見え、どの山もどっしりと構え存在感を放っている。

双六小屋まで降りてきて大休憩。新穂高から登ってきた登山者でこちらも溢れかえっている。
ラーメンを注文したが高山病のせいか食欲が進まず頭も少々痛い。
まあ高山に来るといつも初日はどこかしら体調が悪いことの方が多い。

双六岳への登り
三俣蓮華岳
黒部最源流と水晶岳
みんな大好き雲ノ平と薬師岳

双六岳に登ると室堂までのオートルートの全容が見えてくる。
いつ来ても素晴らしいエリアだね、ここは。
とにかくここら辺の山々の開放感がたまらなく好きだ。
みんな大好きの雲ノ平もよく見える。
双六から黒部五郎岳を経て太郎平までが北アルプスで一番好きなの縦走路かもしれない。

さて三俣蓮華岳からの長い下りの末15時半黒部五郎小屋に到着。少しくつろいでCCレモンを飲んでいると急に頭痛と吐き気が…。
最初はCCレモンに毒でも入っていたかと怪しむぐらいの苦痛に悶絶するも2時間ほどの仮眠でスッキリと解消された。
今日は早く寝ることにしよう。

翌朝は3時前出発で今日の長丁場に備える。
一番好きな縦走路を闇夜に歩いてしまうのはもったいない気もするが先を急ぐ。
遠く北ノ股岳や雲ノ平に灯る他の登山者たちのヘッドライトがチラチラ動いてるのを見ると親しみと安堵感を覚える。

太郎平到着

赤木山の登りで夜が明けてくるが曇りがちで薬師岳の頂は分厚い雲に覆われていた。
黒部五郎岳に向かう多くの登山者とすれ違いながら太郎平小屋には6時半着。ここでカップラーメン休憩。

虚無の薬師岳山頂

薬師岳への登りは樹林帯から始まるが、薬師平を過ぎると森林限界を越えガレ場歩きとなる。
こういう単調な登りではガスにまかれ視界がない方が一心不乱に登れて楽だったりする。GPSも地図も一切見ないほうがいい。
ガスガスで虚無の薬師岳山頂は人が多かったので写真だけ撮ってスルー。

北薬師岳の下り

ここからスゴ乗越までの降りはいつもなら登山者の数もグッと減ってくるところだがこの日は結構な登山者とすれ違った。
聞いてみると昨晩のスゴ乗越は30人ほど泊まっていたそうだ。
標高を落とすにつれ視界も開けてくる。上廊下の河原がよく見えた。
天気が悪いせいかライチョウの数も多く楽しい。

上廊下の通称黒五ダムと呼ばれる河原
スゴ乗越小屋

スゴ乗越小屋で水を補給し、さてここから五色ヶ原までが今回のルートの核心だ。
スゴノ頭、越中沢岳、鳶山と地味に単調な急登の連続で体力を削られる。ここはいつ来ても辛い記憶しか残らない。
這う這うの体で辿り着いた五色ヶ原山荘で大休憩。水を補給しようとしたが水源の枯渇で500mlのペットボトルしか売ってなかった。
ここでテン泊したら水代だけですごい金額になりそうだ。

越中沢乗越への下り
五色ヶ原

室堂まではまだ獅子岳、鬼岳、龍王岳といった山々を越えなければならないが、さっきの苦行に比べれば遥かに楽に感じる。
何より岩場登りなので楽しい。
龍王岳を越えるとようやく室堂が見えてくる。折しも雄山のガスがちょうど晴れ山頂を望むことができた。

雄山が挨拶してくれた
振り返ると龍王岳

一ノ越経由で4時半雷鳥平キャンプ場着。この日は土曜日ということもあってかなりの数のテントに愕然としてしまった。
何気に無雪期に泊まるのは初めてだったのだが、どうやら登山者と同じくらいキャンパーも多いようだ。
テントでひとりボリボリ行動食をかじってる横で男女の嬌声や美味しそうな焼き肉の匂いが漂ってくるのはなかなか辛いものがある。

雷鳥平キャンプ場

翌朝は4時出発。今日もまた分厚い雲に覆われてるなか出発。
一ノ越に登り返し濃霧の雄山山頂に登拝。東一ノ越経由で黒部ダムに下山する。
一ノ越では最近熊がウロウロしてるらしく、山岳警備隊のポストでも徘徊する熊の写真を掲載して注意を喚起していた。
早朝の濃霧の中そんなところを歩くのはちと気が引けたが、まあ日曜だしクマも家でゆっくりしてることだろう。

雄山山頂でお参り
濃霧のなか黒部ダムへ下山

東一ノ越からの下りは年々藪っぽくなり歩きづらくなる一方だが、それでも有り難いことに整備の手は入っているようで迷うほどではない。
正面に黒部湖と針ノ木岳を望むタンボ平の雄大さは一筆に値するものだと思うのだが、これだけ藪っぽいと敬遠されるのも無理はないか。

今日は景色あまり見えないタンボ平

黒部平駅を横目に過ぎなおもガンガン下っていくと樹相が低木からブナ林や天然杉へと代わってくる。
このブナの森に入ったときの安心感ときたら我が家に帰ってきた時のよう。
高山の風景は美しく雄大だとは思うがどこか居心地の悪さを感じてしまうのは、そこが本来人の住む世界ではないことを本能が感じているのかもしれない。

ブナ林に癒される
黒部ダムに下山

まだ閑散としている黒部ダムに着いたのが8時半。
今回も長旅ではないがアルプスの夏の終わりに濃密なひとときを過ごせた。

よく「アルプスは飽きた」などとしたり顔で語ってしまうことがあるが、それは結局自分が慈母のような大きな存在の上っ面だけ舐めまわして逆張りを張っているだけの子供に過ぎないんだろうな。

飽きた飽きたと言いつつ来年もそのまた次の年も行ってしまうのだろうから。

【装備】ベースウェイト4.45kg
<ギア>
パーゴワークス・ラッシュ30
NEMO・ホーネットエリートオズモ1p
Y.S.ULスリーピングマット100cm
モンベル・ドライ シームレス ダウンハガー900 #5
デカトロン・アルミポール110
スントコア

<アイテム>
エバニュー・ウォーターキャリー2 L
ペツル・スイフトRL
プロテクトJ1
テーピング
Shokz・OpenRun
薬(バファリン・ガシンサン・絆創膏)
歯ブラシ
サングラス
ハッカ油
日焼け止め
耳栓
熊鈴
モバイルバッテリー10000A
モンベル・ペラペラ折りたたみ食器
ダイソースプーン
ペットボトル×2

<シューズ>
アシックス・ゲルトラブーコ12

<ウェア>
パタゴニア・ダックビルキャップ
ファイントラック・ドライレイヤーウォームT
インスティンクト・トレイルスキン
モンベル・メリノパンツ
インナーファクト・5本指ロングソックス
ワークマン・カーフサポート
BD・トレイルグローブ
ファイントラック・ドライレイヤーアームカバー
ファイントラック・ドライレイヤーグローブ
モンベル・EXライトウィンドシェル
レインウエア(モンベル・ピークドライシェル、バーサライトパンツ、テムレス)
Buff
モンベル・EXライト サーマラップ ジャケット
山と道・ライトアルファタイツ
着替え

<食料・補給>
粉末経口補水液
アミノバイタルゴールド
カロリーメイト
ラムネ
柿の種
Huel(グラノーラ、ミックスナッツ、ドライフルーツ)
練り梅

いつかアルプスを駆け巡っていた日々の想い出を懐かしく思い出すのだろう


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