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ぼくはぼくの。


#創作ストーリー


ぼくの小さな手と暖かくて優しい白い手が重なって。

誰だろ?
ぼくがギューっとすると優しい白い手は優しくギューっと握り返してくれる。

森のくまさん歌ってる。
キレイな声だなぁ。
ぼくも一緒に歌ってる。

顔が見たいけど、眩しくてどうしても見れないや。

ふと、目が覚める。
『なんだ、夢かぁ』

いつも毎日のように、この夢を見てる。
ぼくが7歳のお誕生日迎えた日からずっと。
おんなじ夢なんだ。

1年生になって友達たくさんできて、お勉強も楽しくて。
もうすぐ2年生になる!
あの優しい白い手の人の夢はなんだろ。

ある日、ぼくは友達とケンカした。
つまらない事だったけど、でも、その子がぼくに言った事が許せなかったんだ。

それから、ずーっと仲直りしないでいる。
周りの友達は心配そうに僕たちの事を見てるのが分かるんだ。
でも、ぼくは謝ってもらわないと許せないんだ。

その子はぼくに
『ねぇ、君はなんでお父さんだけなの?お母さんいないの?かわいそう』

『かわいそう』って言ったんだ。

ぼくは、自分のことかわいそうって思った事なかった。一度だってない。

だって、お父さんはぼくが寂しい気持ちにならないよう、みんなと同じようにしてくれたもん。
遊んでくれた、お出かけもした。
みんなと何も変わらないのに。

『かわいそう』って。

それからまた。
夢を見たんだ。
あの優しい白い手。

『あなたは、かわいそうなんかじゃないわ。いつだってそばにいるから。身体があったかくなったり、心が優しい気持ちになったりするでしょ?いつだってそばにいて抱きしめてるからね。』

そう言って森のくまさん歌ってくれた。

おかあ……さん…??

お母さんだ!!

ぼくと一緒に手を繋いでお散歩して森のくまさん歌ってた。

そして急に眩しくなって目をつむって、気がついたら、お母さんいなくて。。

思い出した!!

ぼくは思い切り泣いた。
声をあげて泣いた。

ぼくの泣き叫ぶ声を聞いてお父さんがぼくの部屋に飛び込んできた。

ぼくは、夢の話をした。
すると、お父さんは部屋から出て行って、しばらくして戻ってきた。
手紙を持って。

『これ、お母さんに頼まれてお父さんがその場で書き留めたんだ。8歳の誕生日が来たら話すよう言われてたんだ』

お父さんは読んでくれた。

『8歳のお誕生日おめでとう。お友達とケンカしてないかな?ケンカはしてもいいけど、仲直りはしてね。もし、誰かに(かわいそう)って言われても怒らないで。人は色んな気持ちを持ってるの。自分の気持ちがいつも正しいわけでもないし、あなたを思っての言葉かもしれないから。いつだってそばにいるね。だからあなたはあなたの人生を胸を張って生きてね。いつだってあなたの手を握って歌うからね』

お母さんとぼくは交通事故に遭ったんだ。

ぼくは病院で治療受けてる間に、お母さんがお父さんに残した言葉だった。

ぼくは、思い出した。

お母さんの事。

事故に遭ってからその記憶がなかったみたいだけど。

優しい白い手。キレイな歌声。
忘れないよ。

あの子とも仲直りするからね。

ぼくはぼくの、人生。
胸を張って生きてく。
まだまだ小さなぼくだけど。

それでも、ぼくの人生はもう始まってるから。

       おしまい

🌸お読み頂きありがとうございます。
昨日、ぼーっとしてて、ふっと浮かんで来たお話しです。絵本ストーリー?になるのでしょうか?
色んな人の考え、気持ち、捉え方様々ですが。
自分の人生は自分のものですから。。ね😊

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